表紙 目次 | ■■■ 詩の気付き 2014.6.8 ■■■ 小生は、ラップ、演歌、唱歌系の音楽プログラムは好きになれないので、滅多に聴かない。 ところが、たまたま部屋に流れてきた声を耳にして、日本の唱歌の魅力に気付いた。・・・ 「リート・デュオが紡ぐ日本のこころ」 白井光子(メゾ・ソプラノ)&ハルトムート・ヘル(ピアノ) (NHKクラシック倶楽部[2014.6.6]) まあ、発端は、次の歌。有名らしい。 (作詞)山村暮鳥[1884-1924] 「六つの子供の歌」 ---"たあんき" "ぽーんき"(作曲)中田喜直 好みのタイプの詩。原題が歌用に変えられているのが一寸寂しい。 --- 「田圃にて」 --- たあんき、ぽーんき たんころりん たにしをつツつく鴉どん はるのひながのたんぼなか たあんき、ぽーんき たんころりん われもひとも生きもんだ あんまりひどくしなさんな たあんき、ぽーんき たんころりん 鴉はきいても知らぬ顔 はるのひながのたんぼなか 小生は、詩は、音楽無しの方が良いと思っていたが、その考えは間違いだったか。もっとも、良く考えれば当たり前。 詩は、どのように詠むかでその印象は全く変わってくる。それこそ、ニュース原稿を読むような調子で詩を聞かされるのはたまったものではないし、矢鱈に感情移入した言葉だらけだと辟易するもの。しかし、残念ながら、たいていはその手のモノが多い。従って、勘違いしていたことになろうか。 声に出すからこその詩であり、歌曲はそれを高めるものでもあるからだ。 その場合、伴奏者が、謳われる言葉に十分配慮しているかで、相当な差がでそう。 そんなことがよくわかった。 まあ、唱歌と言ってもピンキリ。 「お国のため」型や、異国情緒による「西洋風」を打ち出したものも多かったに違いない。 現代まで生き残っている唱歌は、その手のものは少ないようで、たいていは故郷郷愁型。春夏秋冬の情景が題材であり、自然感覚が乏しい都会の人々に、そんな抒情的表現が心に沁みるということか。 これは下手をすれば、花鳥風月や、風俗のステレオタイプなものに堕してしまう。それこそ、演歌のワンパターン化している酒とお涙モノのようなもの。 唱歌が、それを防いでいるのは、一重に「清々しさ」を貫いているからではなかろうか。 従って、歌い手に合わせた選曲は極めて重要だと思う。年末の第九や蝙蝠とは違うのだから、万人に好かれる曲を歌ってもらうのは、止めた方がよいと思うのだが、どんなものか。 と言えば、どうしてこの番組に驚いたかもご理解いただけるかも。・・・ マチネ・ポエティクとロンデルという単語がタイトルに登場したからである。 この言葉は、自己を消失させたかのような、日本的な情緒没入「詩」を大いに嫌う意志そのものではなかろうか。 ---番組のプログラムから--- *** 20世紀の歌 *** (作詞)三好達治[1886-1942] 「木菟」(作曲)中田喜直 「少年」(作曲)諸井三郎 (作詞)萩原朔太郎[1886-1942] 「抒情小曲集」 ---"ほうずき"(作曲)三善晃 「抒情小曲集」 ---"五月"(作曲)三善晃 (作詞)北原白秋[1885-1942] 「日本の笛」 ---"追分" ---"ちびつぐみ" ---"山は雪かよ"(作曲)平井康三郎 「曼珠沙華」(作曲)山田耕筰 「鐘が鳴ります」(作曲)山田耕筰 「六つの子供のうた」 ---"雪女"(作曲)團伊玖磨 「からたちの花」(作曲)山田耕筰 (作詞)野口雨情[1882-1945] 「六つの子供の歌」 ---"ねむの木"(作曲)中田喜直 (作詞)佐藤春夫[1892-1964] 「5つの抒情歌」 ---"しぐれに寄する抒情"(作曲)大中 恩 (作詞)小川未明[1882-1961] 「六つの子供の歌」 ---"烏"(作曲)中田喜直 *** 現代 *** (作詞)加藤周一[1919-2008] 「マチネ・ポエティクによる4つの歌曲」 ---"さくら横ちょう"(作曲)中田喜直 「2つのロンデル」 ---"さくら横ちょう"(作曲)別宮貞夫 (作詞)大木実[1913-1996] 「抒情歌」 ---"花季"(作曲)團伊玖磨 (作詞)岸田衿子[1929-2011] 「日本のおもちゃのうた」 ---"おまつりはどこ"(作曲)中田喜直 (作詞)冬木京介 「冬の日」(作曲)石桁真礼生 (作詞)大木惇 「野の羊」(作曲)服部正 (作詞)堀内幸枝[1920-] 「村祭」(作曲)中田喜直 *** 伝承 *** 「中国地方の子守歌」(作曲)山田耕筰 (「東京・春・音楽祭−東京のオペラの森2012−」のサイト) ・・・曲目解説あり http://www.tokyo-harusai.com/program/page_945.html 詩の気付き−INDEX >>> HOME>>> (C) 2014 RandDManagement.com |