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2000.11.18
 
 


魅力的なシ大図書館…

 シンガポールは、米国の一流大学や高度医療病院の誘致に熱心なことで知られる。これを、安易な、手っ取り早い施策展開と見る人がいる。

 通常、歴史が浅い大学は蔵書を欠く。いくら最新の施設を揃え、教員に高給を出しても、図書館のようなインフラが弱体であると質の高い人はなかなか集まらない。その場合、ブランドの吸引力で、優秀な頭脳を集めることが多い。シンガポールもそうではないかと考えがちだ。

 シンガポールは新しい国家だから、こうした状況にあると見がちだが、全く違う。少なくとも、シンガポール大の図書館は、東大の図書館より魅力的と言えそうだ。

 データを示されるとよくわかる。(平松茂実 「シンガポール大学とマラヤ大学およびその図書館-アジアセンターとしての機能と有用性-」 高千穂論叢 34(2/3) 1999年11月)
 蔵書数は、東大が300万冊、シンガポール大は200万冊だという。前者は日本語中心であることは言うまでもない。後者は欧米中心の資料が揃っている。もちろん、中国、ASEANについての資料の量について比較するまでもなかろう。
 さらに驚くことは、日本に関する英文蔵書も整備されているのだ。日本を英文で調べるなら、シンガポールが最良の地なのである。
 しかも、図書館は電子検索可能なだけでなく、開架式だという。国会図書館のような閉架式の不便さは、研究者なら誰もが感じている。間違い無く、シンガポール大図書館は研究者を引きつける。

 英国のオックスフォード、ケンブリッジの蔵書には「失望」したが、シンガポール大図書館は魅力的、という感想が現実を端的に物語る。

 こうなると、優秀な研究者はどこに行きたがるかは自明である。この結果を始めから予想し、政策的に着々と実現しててきたのがシンガポール政府である。


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