↑ トップ頁へ |
2002.8.11 |
|
|
中国脅威論(5)…特に驚くのは、先端技術領域では中国企業は脅威でないとの判断だ。特段の根拠も示さず、どうして断言できるのだろう。先端技術領域での勝利の鍵は「人材」と、人材を活用して知恵を生み出す構造だ。 日本企業も、質が高いエンジニアを多数抱えることで抜群の競争力を発揮した時代があった。しかし、競争相手も優秀なエンジニアを多数抱えるようになると、競争力はすぐに低下した。 今でこそ、先端産業の競争力が抜群の米国だが、80年代は全く違った。もともとエンジニアを目指す優秀な人材が少なかったのに加え、多くの技術者が軍事研究に流れたから、産業技術分野で人材は量も質も不足していた。競争力が弱かったのは、当然のことといえよう。 ところが、米国は、90年代にこの流れを一気に変えたのである。ハイテクベンチャー創出の仕組みを作り、国内はもとより、海外からも、優秀な人材を大量に先端技術産業に引き寄せた。実際、シリコンバレーでは沢山のアジア技術者がが働いている。今では、こうした海外のエンジニア無しでは、米国先端産業は成り立たない状態にある。 この技術者達が米国から帰還したから、韓国や台湾で発展が始まったのである。米国先端産業と連携し、波に乗り、大成功を収めたといえる。 中国も同様な路線で進むことになろう。 それだけなら中国は台湾や韓国の後塵を拝するにすぎないが、中国には台韓を凌駕するポテンシャルがある。それは、技術者の「数」である。 今や、中国は、高等教育を受けたエンジニアの大量生産国である。しかも、最優秀な人達が集まってくる。日本とは違って、人材の流動性も高い。この人材を活かしきれれば、凄まじい力が発揮できる筈だ。 「数」の力は、すでにインドの例で明らかだ。コンピュータサイエンス分野で技術者を大量に生み出し、僅かな期間で、世界に冠たるソフト開発産業を立ち上げたからだ。 一方、日本は、技術者の「数」も「質」も、最盛期を過ぎている。しかも、現在先頭を走る米国産業との関係では、アジア諸国より密とはいえない。知恵を生み出す独自の構造を工夫している企業も極く一部にすぎない。唯一の動きは、90年代末に始まった、産学協調だ。 これでは、鍛えぬかれた研究者・エンジニアの個人的頑張りだけが、優位発揮の根拠と見なさざるをえまい。しかし、90年代を通して、皆頑張ってきたのだ。これ以上、頑張れるのだろうか。 アジアの先進性の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
|
(C) 1999-2004 RandDManagement.com |