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2002.8.12
 
 


電子通関の模範はシンガポール…

 2001年10月に開催された第9回APECで、税関の通信ネットワークを構築しようとの提案がなされ、首脳声明にも採択された。 (http://j.people.com.cn/2001/10/22/jp20011022_10539.html)

 この件については、日本が熱心に提起した、との噂が流れている。しかし、IT先進国では当たり前の課題を、IT後進国が提案するとは思えない。
 経済大国日本の動きの鈍さを指摘した声明と見るべきだろう。

 アジアの国々は、早くからIT戦略を策定しており、欧米の技術を学びながら、電子通関体制構築に向かって一直線に進んできた。貿易立国の国なら当然の動きである。
 もちろん日本にも、動きはあった。97〜99年の「技術検証プロジェクト」、98〜99年の「ガイドラインプロジェクト」、99〜2000年の「システム開発と実地検証プロジェクト」と進み、TEDIクラブによって電子化が推進されてきた。しかし、普及が進んでいる、と言える状況にはない。(http://www.tediclub.com/index_j.html)

 現実を見れば、日本の後進性は明白だ。

 中国を見てみよう。
 2002年に入り、広州や北京で試験運用が始まった。そして、2002年4月には、上海で、輸出入企業100社が「電子通関」と「ワンストップ税関申告」を使い始めた。一挙に本格稼動である。(http://j.people.ne.jp/2002/04/01/jp20020401_15778.html)  WTO加盟に伴い、中国は貿易量の多い沿海部の10省・市・自治区において、全面的に電子通関システムを導入する方針なのだ。5年程度で完璧な体制を構築する目論みのようだ。(http://www.mol-logistics.co.jp/weekly/2002/112/cwd112.htm)

 日本と自由貿易協定を締結したシンガポールに至っては、通関システム構築は1989年にさかのぼる。もちろん世界初だ。通関手続きは1回の電子書類提出で済むようになり、20分以内で手続きが完了するようになった。その後、スピードアップ化し、数分で処理できるまでになる。そして、1998年、ついに、インターネット上で処理が可能になった。もちろん、24時間アクセス可能である。
 現在は次ぎの段階に進んでいる。他のグローバル・システムとの連結が着々と進んでいる。(http://www.tradenet.gov.sg/trdnet/index.jsp?catName=5&artName=10&url=/html/1_TradeNet_Procedures.html)

 一方、日本は、通関システムはあるが、メインフレームと専用線からなる仕組みだ。当然、利用料金は高い。参加者も限られ、書類ベースの業務が大幅に残る仕組みだ。しかも、財務省が管轄する通関手続きと、国土交通省が管轄する輸出入の港湾手続きは全く別のシステムである。
 この状況を変えようとの動きが本格化したのは、2001年6月だ。当時の経団連副会長が、すべての手続きを統合したワンストップ税関申告のシステム構築について、IT戦略本部に提案したのである。そして、2002年1月にようやく具体的な方針がまとまった。(http://www.keidannren.or.jp/japanese/journal/CLIP/index.html)
 2003年にはなんとか実現の運び、といわれるが、全容はわからない。


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