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2002.11.16
 
 


開発力で勝負する中国家電企業…

 燦坤実業( TSANN KUEN(CHINA) ENTERPRISE CO.,LTD.) の2002年度前半の業績が好調だ、といっても、どんな企業がピンとこない人がほとんどだろう。(日本では、紹介記事をめったに見かけないが、「厦門燦坤実業」名の保証書が入った特売品は広がり始めている。)

 この企業は、世界中に進出しており、電化キッチン小物製品業界ではよく知られている。リーダーとの定評あり、と言ってもさしつかえあるまい。

 もちろん、OEM中心の事業展開だが、自社ブランド「EUPA」も急速に普及しつつある。(http://www.tsannkuen.com/usa/u-made/about/about.html)

 特に有名なのは、生産量世界1位と推定されるコーヒーメーカー事業での成功だ。世界中で見かけるフィリップスブランドは同社製である。大手小売のWalmartやKmartも顧客だし、日本市場でも、OEMを含めて、シェア2位は間違いあるまい。ガラスポットの自製まで始めたようだから、コスト競争力は圧倒的といえよう。
 しかし、同社は、コーヒーメーカー専業ではない。ワンストップショッピングを目指しているから、製品ラインは広い。フードミキサー、電気鍋、アイロン、加湿器、トースター、オーブントースター、グリル等、多種多用な製品が溢れている。

 これだけの情報だと、電化小物製品の下請製造企業と見なしがちが、実際は、開発型企業である。
 コーヒーメーカーの成功も、価格だけでなく、デザインの魅力が大きく寄与したと言われている。アイロンやトースターでも業界トップに迫る勢いだが、機能やデザインでの優越性がシェア獲得に繋がっている、と見られている。

 つまり、この企業は、低コスト生産能力だけでなく、研究開発力で競争力を向上させてきたのである。その方針は、歴史からも読み取れる。
 ローテク領域なのに、研究開発費は対売上比5%に達している模様だ。研究開発部門開設は古く、1979年だ。1990年には、シカゴにも設置している。現在、米、日、独、台湾、中国にデザインセンターがあるという。市場ニーズに合わせた開発に徹底注力を貫いているといえよう。(http://www.iccinfo.com/EUPA_Pages/EUPA_Profile/EUPA_Profile_Right.html)

 中国本土での「安価な製造」を活用しているが、この企業の武器は「知恵」である。「安価な製造」だけでは、同業他社に勝てるとは限らないから、当然の方針だ。
 ということは、日本企業も、このような展開が可能な筈だ。ところが、コストでとても勝てない、と称し、次々と市場を明渡しつつある。「知恵」で戦う自信がないのだろうか。
[国際的製品開発の仕組みも独特である。(発祥元台湾のTKE、中国上場TK(china)E、厦門燦坤実業、米国のEURA間でのグループ運営)---例えば、EURAはデザインとセールスエージェント機能を担当している。]


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