↑ トップ頁へ

2004.6.15
 
 


中国が抱える爆弾…

 2004年6月「2003年中国環境状況公報」の内容が開示された。水系の水質は前年並に留まっており、汚染からの回復は難しいようだ。黄河/珠江流出海域や3大湖は相当酷い汚染状況のようで、一向に対策の効果が現れないようだ。おそらく自浄能力を越えており、深刻な状況と考えてよいと思われる。(1)

 もともと、中国政府は、社会発展第十次五カ年計画で、持続可能な発展の主目標を4つにまとめた。(2)
 ・2005年の全国総人口を13.3億人以内に抑えること。
 ・生態系の悪化の勢いを抑え、森林被覆率を18.2%、都市の緑化被覆率を35%に高めること。
 ・都市と農村の環境の質を改善し、汚染物質の排出総量を2000年より10%減少させること。
 ・資源の節約と保護において明確な成果を上げること。

 大気汚染だけは好転してきたようだが、水系への汚染物の排出量の抑制は難しいのだろう。このままでは、とんでもない状況に陥るかもしれない。
 と言うと、汚染問題対策が最重要と考えがちだが、実は、本質的課題ではない。
 今の経済成長を続けることは不可能であるにもかかわらず、この流れを抑えることができないことが、最大の問題なのである。

 なんといっても、どうにもならないは、人口が多すぎる点だ。たとえ人口を13億に抑えることができたとしても、経済が伸びれば、これ対して、水、原油/天然ガス、鉄/アルミニウム、穀物、のどれをとっても、供給体制が整う状況にはない。中国国内の資源量では需要にまったく対応できそうにないのである。
 早晩、資源不足に見まわれかねないのが実情である。
 先進国に追いつけモデルで、大衆消費社会を構築しているが、需給バランスが崩れて、経済破綻が発生しかねないのである。
 これは中国政府(国家環境保護総局)も十分わかっている筈だ。今のままなら持続可能な発展は不可能なのである。

 例えば、5億台を越える自動車が広大な大地を疾走するようになったら大事だ。間違いなく世界はガソリン不足に見まわれる。中国発のエネルギー危機が発生しかねないのである。
 と言うより、そこまで経済力がつく過程で、なんらかの問題がおこるだろう。農地は減少し続けており、穀物輸入が激増しているからだ。このため、世界の食糧需給も激変する可能性が高い。

 しかし、わかっていても、どうにもならない。脱石油エネルギーとリサイクル経済化が必要なのは明かだが、その体制がつくれる目処は全く立っていない。そして、中国の都市化の急速な流れは変えられそうにないのである。
 この先、一体どうなるのか、誰もわからない

 --- 参照 ---
(1) http://www.zhb.gov.cn/649094490434306048/20040603/1051049.shtml
(2) http://www.zhb.gov.cn/japan/3_4_1.htm
 

 アジアの先進性の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
 
    (C) 1999-2004 RandDManagement.com