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2006.1.30
 
 


インド活用の重要性とは…

 2005年11月、奥田経団連会長はインドの財務相に、日本企業のインド投資拡大に向け、道路や電力などのインフラ基盤整備を要請した。
 と言うより、インフラ構築を日本に援助してもらおうと設定された会談だった可能性もあるが。(1)

 しかし、日印関係は、IT分野における米印関係や、日中関係のようには、緊密な繋がりを図る施策には繋がりそうにない。
 「インド、日本企業にとって最後の巨大市場」だから、このチャンスを生かさないと遅れをとってしまうとの発想が強いようだ。(2)

 確かにその通りだろうが、インド経済の発展の原動力はIT産業という点にもう少し関心を払うべきだと思う。
 なんといっても、インドのソフトウエア産業は、その規模の巨大さで群を抜く。金額より、人の数で考えるとよい。しかも、この産業分野への人の流入はますます増えている。
 それこそ、世界を飲み込むような勢いがある。
 日本のビジネスマンは、この感覚が湧かないようだ。
 おそらく、中国と違って、交流が余りに少ないからである。せいぜい、幕張地区でインド人のエンジニアが目立つ位のものだろう。

 IT分野での、インドの強さは、中国とは比べものにならないと思う。

 なかでも、プログラム作成、サーバー部門の運営、情報システムを利用するサービス(英語コールセンター等)のすべての分野で活動している点が強みは、そうそう真似できるものではない。インドなら、どのようなプロジェクトでも、豊富なスキルがあるマネジャーが見つかるのである。
 ソフトについては、様々な活用スキルが揃っているということだ。従って、コールセンターのような、安価なオペレーションの受託業務だけでなく、高度な開発業務も受託可能である。
 銀行の情報システムや、巨大メーカイの国際ネットワーク構築も受託できる。
 この辺りが中国と大きく違う訳だ。

 インドには、プロジェクトマネジメントや、複雑で錯綜したシステム構築ができる能力が備わっており、安価で雇えるエンジニアがいくら豊富でも、中国は競争相手にならないのである。

 ところが、日本企業はこの力を使おうとしないようだ。
 と言うより、試してみたが、インド人をコントロールできないから諦めたのかもしれないが。
 もし、そうなら、このことは禍根を残すかもしれない。

 プログラム開発は企業の情報システムだけではないからだ。

 モノ作りで戦う企業にとっても、ほとんどの場合、中核製品には高度な組み込みソフトが搭載される。そして、製造プロセスではコンピュータが溢れかえっている。
 インドがこの分野を席巻する可能性も否定できないのである。

 組み込みソフト開発は今や転換期を迎えており、今後、どう展開するかよく考えておく必要があろう。その流れにのるのはインドかもしれないのである。

 現段階は、組み込みソフトの能力の範囲で製品を設計する状態である。換言すれば、現在使える技術でできそうなことの限界に挑戦していく開発が主流である。
 しかし、CPUの能力は飛躍的に向上し続けており、設計自由度は格段に上がり、価格も下がるだろう。昔のCPUはそのうち手に入らなくなるだろう。こうなると、今まで蓄自社が使ってきたCPUに係わるスキルはたいした意味を持たなくなる。
 転換点を迎えるわけである。

 そうなっても、インドのIT分野のエンジニアより質の高い仕事ができる準備はできているだろうか。
 よく考える必要があろう。

 --- 参照 ---
(1) http://economictimes.indiatimes.com/articleshow/1311750.cms)
(2) http://www.nikkei.co.jp/news/main/20051130AT1F3002430112005.html


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