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■■■ 曼荼羅を知る [2019.1.28] ■■■
[2]胎蔵曼荼羅 釈迦如来

曼荼羅の中心は思弁的な仏格、大日如来であり、釈尊はあくまでもその一角を占めるにすぎない。聖書で言えば、唯一神ヤハウェと救世主イエスの関係に当たるのだろう。

曼荼羅では、釈迦如来の下、39尊もが結集している「釈迦院」と呼ばれる区画が存在している。
当然ながら、主尊には鳥居の原型との説もある門柱(トーラナ)が設置されている。

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┼┼┼┼┼┼┼┼│ ←釈迦院
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┼┼┼┼│ ←中台八葉院
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想念の世界に映る中台八葉院とは違い、現実性濃厚な多数の尊像が並んでおり、具体的な実践者の行為を自らのものとして受けとめよということだろう。

39尊は以下のような配置。
 9-[後列左]-1 中央 1-[後列右]-9
 8-
[前列左]-1 五尊 1-[前列右]-8

●主尊と4待尊
  釈迦牟尼如来…"仏"
 (背後左右)
  虚空蔵菩薩…"僧"
  観自在菩薩…"法"
 (前方左右)…魔を降伏させる力量誇示
  無能勝金剛
  無能勝妃

現実社会で"仏法僧"を敬う風土を作り上げることを意味しているのだろう。換言すれば、教団組織運営の歴史を想起し、これから切り拓くべき地平を思い描けと言うことになろうか。

先ずは、如来の"徳"とはどのようなものか、釈尊の説法と功徳の内容を尊像として表現している。
●仏徳尊
[LF1] 一切如来宝…如意宝珠
[LF2] 如来毫相…白毫相
 (無量心)
[LF6] 如来悲
[LF7] 如来愍
[LF8] 如来慈
[LB1] 如来爍乞底
[LB8] 如来喜
[LB9] 如来捨
[LF6] 如来舌
[LF7] 如来語
[LF8] 如来笑
[RB1] 如来牙

 (独覚)
[LB2] 栴檀香辟支仏
[LB3] 多摩羅香辟支仏
[RB2] 輪幅辟支仏
[RB3] 宝幅辟支仏


頭頂が盛り上がっているのは、頂髻に天蓋があるのと同等らしく、気高さを意味していそう。"智慧"の塊であることを意識するための尊像なのだろう。5智慧3功徳の8尊像が並ぶ。
●仏頂尊
[LF3] 大転輪仏頂
[LF4] 光聚仏頂
[LF5] 無量声仏頂
[LF1] 白傘蓋仏頂
[LF2] 勝仏頂転輪
[LF3] 最勝仏頂転輪
[LF4] 高仏頂
[LF5] 摧砕仏頂


こうした抽象論を踏まえて、具体的な人物像をじっくり眺め、そこから自分の力を磨き込めということ。10大弟子を選ぶことになるが、選択には多少の柔軟性があってもよかろう。
●弟子
[LB4] "大(摩訶)目連"…神通第一
[LB5] "須菩提"…解空第一
[LB6] "(摩訶)迦葉波"…頭陀第一
[LB7] "舎利弗"…智慧第一
[RB4] "拘羅"…問答第一
[RB5] "阿難陀"…多聞第一
[RB6] "(摩訶)迦旃延"…論議第一
[RB7] "憂波利"…持律第一
[RB8] "智拘羅"…精進一筋
[__] "富楼那弥多羅尼子"…説法第一
[__] "阿那律"…天眼第一
[__] "羅羅"(釈尊長男)…密行第一

●諸尊供養
[RB9] 供養雲海

(参照 ママ引用でなく改変していますのでご注意のほど) 越智淳仁:「図説・マンダラの基礎知識―密教宇宙の構造と儀礼」大法輪閣 2005年

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