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■■■ 曼荼羅を知る [2019.1.29] ■■■
[3]胎蔵曼荼羅 三角火輪

中央の大日如来の中台八葉院と、釈迦如来と多数の尊像が並ぶ釈迦院に挟まれた一画が遍知院。
その中央には三角火輪があり、素人が考える仏教イメージとはかなり異なる箇所である。

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┼┼┼┼┼┼┼┼│ ←釈迦院
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┼┼┼┼│ ←遍知院
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┼┼┼┼│ ←中台八葉院
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中央に角形が置かれているが、その背面には円盤型の青色閃光とその内側に燃えさかる赤色焔からなる後背が一体化している。「一切如来智印」と呼ぶべき尊像らしい。蓮華座であるから、聖なる火尊ということか。
その火焔の中心と天辺に逆卍が示されている。この三角火輪の左右にはそれぞれ2尊像。
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 遍知印/一切如来智印
  (左)…左横に隣接する蓮華部院の元
 仏眼仏母…毘盧遮那の母
 七倶胝仏母(准胝観音)…7000万仏の母(従八臂)
  (右)…右横に隣接する金剛手院の元
 大安楽不空金剛三昧耶真実菩薩…(二十臂)
 大勇猛菩薩…剣+摩尼宝珠
この他に小さい尊像が炎の上部左右に存在する。バラモンだった三迦葉の代表として、長男と三男が起用されている。
 優楼頻螺 迦葉…長男
 那提 迦葉…次男
 迦耶 迦葉…三男
明らかに、拝火教/ゾロアスター系火神アグニの信者を沢山抱えていたリーダーが釈尊に帰依した事績を意味している。初転法輪まもなくの頃のに1000名もの弟子が釋迦牟尼僧団に加入したのだから、これで教団の骨格ができあがったと言ってもよかろう。この手の火信仰は煩悩の極みとされるが、仏教の護摩業の火として仕えば逆に煩悩を焼き尽くす役割を果たす。
尚、火神は他の非仏教神でと共に、曼荼羅の外側箇所に登場している。護法を司るとされているのだろう。
ついでながら、卍だが、印章がハラッパー古代遺跡で出土しており、現代にまで続く吉祥シンボル。もちろん、も使われている。従って、卍が仏教の標章という訳ではない。漢字化されると、その用途は仏教しかないというに過ぎない。△も同様にヒンドゥーの生命エネルギーのシンボルとして古代から現代まで多用されている。

(参照 ママ引用でなく改変していますのでご注意のほど) 越智淳仁:「図説・マンダラの基礎知識―密教宇宙の構造と儀礼」大法輪閣 2005年

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