→INDEX ■■■ 曼荼羅を知る [2019.2.2] ■■■ [7]胎蔵曼荼羅 金剛薩埵 中台八葉院、持明院/五大院の右側の一画が金剛手院/薩埵院。 中台八葉院の左右に、観音院/蓮華部院と薩埵院/金剛手院が対称的に配置されていることになる。金剛手とは、剣や三鈷杵・独鈷杵といった呪器で魔(煩悩)を打ち砕く手腕を意味するのだろうから、蓮の華の慈愛の世界とは正反対のイメージ。マ、表裏一体だろうが。 つまり、構造的に「蓮」「佛」「金」の横並びが、中核となっている訳だ。古くからの3尊形式を踏襲した密教様式と言えそう。 _____--佛-- _____遍知 __蓮華⇔中台⇔金剛 _____持明 ┌────────────────┐ │┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼│ │┼┌─┬────────┬─┐┼│ │┼│┼│┼┼┼┼┼┼┼┼│┼│┼│ ←文殊院 │┼├─┼────────┼─┤┼│ │┼│┼│┼┼┼┼┼┼┼┼│┼│┼│ ←釈迦院 │┼│┼├─┬────┬─┤┼│┼│ │┼│┼│┼│┼┼┼┼│┼│┼│┼│ ←遍知院 │┼│┼│┼├────┤┼│┼│┼│ [左隣接]観音院 │┼│┼│┼│┼┼┼┼│┼│┼│┼│ │┼│┼│┼│┼┼┼┼│┼│┼│┼│ ←中台八葉院 │┼│┼│┼│┼┼┼┼│┼│┼│┼│ │┼│┼│┼├────┤┼│┼│┼│ [右隣接]金剛手院 │┼│┼│┼│┼┼┼┼│┼│┼│┼│ ←持明院 │┼│┼├─┴────┴─┤┼│┼│ │┼│┼│┼┼┼┼┼┼┼┼│┼│┼│ │┼├─┼────────┼─┤┼│ │┼│┼│┼┼┼┼┼┼┼┼│┼│┼│ │┼└─┴────────┴─┘┼│ │┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼│ └────────────────┘ 金剛手院の主尊は金剛薩埵。 真言宗相承の"伝法の八祖"は「[伝説]龍猛⇒竜智⇒[実在]金剛智⇒不空⇒(善無畏⇒一行⇒)恵果⇒空海」だが、人格化した「大日如来⇒金剛薩埵⇒」を付けると"付法の八祖"となる。金剛薩埵はそのような位置付け。 配置は3列である。 Column 1 ⇔ 3 [U3]○n○n○n○ [U2]○n○n○n○ [U1]○n○n○n○ [C0]○V○V○V○ ←金剛薩埵 [D1]○1○5○5○ [D2]○V○3○6○ [D3]○n○4○7○ <Column-1> [U3] 発生金剛部菩薩 [U2] 金剛鉤女菩薩 [U1] 金剛手持金剛菩薩 [C0] 金剛薩埵 [D1] 持金剛鋒菩薩 [D2] 金剛拳菩薩 [D3] 忿怒月黶菩薩 <Column-2> [U3] 虚空無垢持金剛菩薩 [U2] 金剛牢持菩薩 [U1] 忿怒持金剛菩薩 [C0] 虚空無辺超越菩薩 [D1] 金剛鏁菩薩 [D2] 金剛持菩薩 [D3] 持金剛利菩薩 <Column-3> [U3] 金剛輪持(金剛)菩薩 [U2] 金剛説菩薩 [U1] 懌悦持金剛菩薩 [C0] 金剛牙菩薩 [D1] 離戯論菩薩 [D2] 持妙金剛菩薩 [D3] 大輪金剛菩薩 <小尊> [V] 金剛使者(侍女) 4 [1] 金剛軍咤利 [2] 大力金剛 [3] 金剛鉤女菩薩 [4] 孫婆菩薩 [5] 金剛拳菩薩 [6] 金剛童子 [7] 金剛王菩薩 明王でなく菩薩集団であり、蓮華部院/観音院との対称性を重視したせいのか、表情はおしなべておだやかな。只、忿怒の形相の馬頭観音菩薩の対称位置にある忿怒月黶菩薩だけは、同じように例外的に忿怒相で描いている。 (ご注意) 金剛薩埵は、名称的【混淆】が生じているとの解説もある。・・・ Vajrasattva/金剛薩埵 Vajrapani/金剛手菩薩 Vajradhara/執金剛 Padmasambhava/ヴァジュラパーニ[蓮華生@西蔵密教始祖]=インドラ/帝釈天 (参照 ママ引用でなく改変していますのでご注意のほど) 越智淳仁:「図説・マンダラの基礎知識―密教宇宙の構造と儀礼」大法輪閣 2005年 (C) 2019 RandDManagement.com →HOME |