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■■■ 曼荼羅を知る [2019.2.8] ■■■
[1]金剛界曼荼羅 成身会


金剛界曼荼羅は正方形9区画からなる。しかし、それは曼荼羅内部の区画ではなく、独立した曼荼羅であり、それぞれ別な視点で描いた9枚を並べたにすぎない。
 ❺ ❻ ❼…四印会 一印会 理趣会
 ❹ ❶ ❽…供養会 成身会 降三世会
 ❸ ❷ ❾…微細会 三昧耶会 降三世三昧耶会

何れも、正方形と円形で構造化した図絵で、当該曼荼羅の方針に則った特有の形式で描いた尊像を配置している。但し、別々と言っても、すべての基本形は中央の1枚、成身会である。

先ずは、そこから。

❶成身会
円形を外し、尊像の相対位置を勝手に概略化すると分かり易い。・・・
名称だが、「五相成身観」という修行技法で即身成仏できるという新しい主旨をイメージ化したものと言うことらしい。
一切義成就菩薩は教授されたこの観法で金剛界如来と成ったことを自覚し、一切如来達の代表として須弥山頂にある金剛摩尼宝頂楼閣に入り毘盧遮那如来になる。これが大日如来の誕生譚。
従って、5尊の小円、さらにこの5グループに供養尊を加えた大円といった形状は、集会の場を示していると見てよさそう。このことは、四隅の地水火風神とは大円場の支柱役であり、四摂と呼ばれる菩薩はその入口担当と言うことになろう。
  …空綸 宝珠形
  …風輪 半月形
  …火輪 三角
  …水輪 円
  …地輪 四角

尊像の総勢としては、基本は37仏だが、1.061尊とされる。
 大日如来+4如来+4菩薩x5如来+4供養妃x2内外+4門護=37尊
 4隅神+5天x4方=24尊
 賢劫仏=1000尊
   計 1.061尊


仏への供養の概念や、生み出した仏を集結させることの意義を、宗派としての理屈ではなく体感することで身に着けるために曼荼羅が創出されたのであろう。つまり、9ッの「会」はこの成身会の風景を異なる観点からとらえ返したもの。形式美を考慮しながら、一種のチャート方式修行を完成させたとも言えよう。

┼○┼○┼○○○○Ⓢ←Ⓦ→Ⓝ
┌─────────────────────┐
○┼┼○○○○○○○○○○┼┼○
┌─────────────────┐
○○○○○○○○○○○○○○
┌─┬─────────┬─┐
○○○○○○○○○
├─┘○○○○○○○○└─┤
○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○○○○○○│Ⓦ
○○○○○○○○○○│↑
│Ⓝ
○○○○○○○○○○│↓
○○○○○○○○○○○○○│Ⓔ
○○○○○○○○○○○○
○○○○○○○○
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○○○○○○○○○
└─┴─────────┴─┘
○○○○○○○○○○○○○○
└─────────────────┘
○┼┼○○○○○○○○○○┼┼○
└─────────────────────┘
┼○┼○┼○○○○Ⓢ←Ⓔ→Ⓝ

大円の支柱役の地水火風神を除き、中心の5如来+波羅蜜菩薩を別格と見れば、その内側と門の尊像すべてが"金剛菩薩"。円外にしても、外側の供養妃は"金剛菩薩"であるし、4ッのグループ天もそれぞれ各1尊が"金剛天"であり、まさに全面的に金剛界である。

●五如来…中心は当然ながら大日如来
○○○○○阿弥陀
○○宝生大日不空成就
○○○○○
●十六大金剛菩薩阿弥陀如来
○○○○○
○○○○○○
○○○○○
●十六大金剛菩薩宝生如来
○○○○○
○○○○○○
○○○○○
●四波羅蜜菩薩大日如来
○○○○○
○○○○○○業(羯磨)
○○○○○金剛
●十六大金剛菩薩不空成就如来
○○○○○
○○○○○○
○○○○○
●十六大金剛菩薩如来
○○○○○薩捶
○○○○○○
○○○○○
●四供養妃 金剛菩薩(内側)
○○○○○○
○○○○○○
○○○○○○
●四供養妃 金剛菩薩(外側)
○○○○○○
○○○○○○
○○○○○○
●四門護/四摂 金剛菩薩
○○○○○
○○○○○○
○○○○○
○賢劫仏…外側から2重目(模様に見える。)
   1,000尊…過去(荘厳劫)・現在(賢劫)・未来(星宿劫)の三世ありとされる。
■四神
○○○○○○
○○○○○○
○○○○○○
■二十天
  羅刹○○○○○金剛衣 火○○○毘沙門
  金剛面炎摩○○調伏○○毘那夜迦
  那羅延摩羅金剛摧 梵○○○帝釈
  日○○○○○○金剛食 彗星○○

(参照 ママ引用でなく改変していますのでご注意のほど) 越智淳仁:「図説・マンダラの基礎知識―密教宇宙の構造と儀礼」大法輪閣 2005年

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