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■■■ 曼荼羅を知る [2019.2.11] ■■■
[4]金剛界曼荼羅 供養会


金剛界曼荼羅中央の成身会、三昧耶会、微細会に次いで、供養会を見ていこう。
 ❺ ❻ ❼…四印会 一印会 理趣会
  ❶ ❽供養会 成身会 降三世会
 ❸ ❷ ❾…微細会 三昧耶会 降三世三昧耶会

❹供養会
4ッ目の金剛界曼荼羅であり、成身会(大曼荼羅)→三昧耶会(三昧耶=意密)→微細会(法=口密)→供養会(羯磨=身密)という流れになる。
つまり、金剛界供養羯磨曼荼羅ということ。

この羯磨/カルマンとは作業という意味らしい。
精進するという"行為"での修行を示しているのだろう。しかしながら、平面上に描かれた"鎮座する尊像"を座視して、"行動"をイメージする業と見なすのは奇異に感じさせるが、堂内での修行であるから致し方ないのであろう。
本来的な羯磨曼荼羅は、ジャワ島にあるボロブドゥール石造遺跡のような構成の筈である。巨大方形壇で、浮彫彫刻レリーフ壁面の回廊の総延長は5Kmに達する壮大なもの。壁穴に432体尊像があるだけでなく、3段の円形壇に釣鐘状ストゥーパの中に72尊像が安置されている。暑いから歩くだけで、一大行動になる。ただ、中心尊が安置されておらず、何故に空なのかわからない。
空海の場合は、東寺(教王護国寺)講堂の所謂立体曼荼羅で表現しているが、当然ながら、尊像限定版である。

供養会の場合は、尊像形態が特殊である。中央の五如来は極く普通のお姿なのだが、他の菩薩はすべて十字三鈷杵を付け、各尊の持物を蓮台の上に乗せた蓮枝を持っているからだ。しかも、衣類は長袖のようで、姿は侍女そのもの。この着衣を羯磨衣と呼ぶらしいが、一種の作業着なのであろう。

つまり、各尊像は、供養行為を行っていることになる。誰に対して行うと規定されていない以上、全尊が相互に供養し合うことになる。そのような佛の世界を観想すべし、という曼荼羅なのだろう。

この概念は人々の心に刺さったようで、現代でも動物供養や道具供養という形で形象されている。
要するに、気持ち(意)を持つとか、その心根を言葉(口)で表現するというレベルではなく、現実の行動(身)で示せということ。その辺りがいかにも密教的である。

以下、再掲。

┼○┼○┼○○○○Ⓢ←Ⓦ→Ⓝ
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○┼┼○○○○○○○○○○┼┼○
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○○○○○○○○○○○○○│Ⓦ
○○○○○○○○○○│↑
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○○○○○○○○○○│↓
○○○○○○○○○○○○○│Ⓔ
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○○○○○○○○
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●五如来
 大日…塔@五鈷杵 "バン"
 阿弥陀…独鈷開敷蓮華@五鈷杵 "キリーク"
 不空成就…十字金剛杵@五鈷杵 "アク"
 阿…五鈷杵@五鈷杵 "ウーン"
 宝生…三弁宝珠 タラーク"
●四波羅蜜菩薩@大日如来
 法…蓮華首独鈷杵
 業(羯磨)…十字金剛杵
 金剛…五鈷杵
 寶…三弁宝珠

●十六大金剛菩薩@阿弥陀如来
 語…舌中三鈷杵
 因…輪宝
 法…蓮華独鈷杵
 利…金剛剣

●十六大金剛菩薩@宝生如来
 幢…幢幡上三弁宝珠
 宝…三弁宝珠
 光…日輪
 笑…笑口葉+横金剛杵

●十六大金剛菩薩@不空成就如来
 護…甲冑三鈷杵
 拳…二拳弾指
 牙…三鈷牙形
 業…十字金剛杵

●十六大金剛菩薩@阿如来
 薩捶…五鈷杵
 王…双立金剛鉤
 喜…二拳弾指
 愛…双立三鈷杵

●四供養妃 金剛菩薩(内側)
 鬘…三鈷縄(華鬘)
 歌…六弦三鈷箜篌
 舞…十字金剛杵
 嬉…若干屈折三鈷杵

●四供養妃 金剛菩薩(外側)
 華…盛華器
 燈…燈燭
 塗…塗香器
 香…焼香炉

●四門護/四摂 金剛菩薩
 鎖…鎖輪三鈷杵
 鈴…五鈷杵
 鉤…鉤形三鈷杵
 索…索頭上独鈷杵

○賢劫十六大菩薩
 
 無量光…光明
 光網…羅網
 賢護…賢瓶
 月光…半月

 
 無尽慧…梵篋
 弁積/文殊…五色雲
 金剛蔵…独鈷四井字
 普賢…剣

 
 慈氏/弥勒…群持
 不空見…独鈷杵(両脇に眼)
 滅悪趣…梵篋
 除憂闇…無憂樹枝

 
 香象…鉢器
 大精進…独鈷戟
 金剛幢/虚空蔵…三弁宝珠
 智幢…如意智幢

   《密號》
  大明/離染金剛 巧護/離垢金剛 方便/普願金剛 清涼/適ス金剛
  定惠/無盡金剛 巧辯/大惠金剛 持教/立驗金剛 普攝/如意金剛
  迅疾/正覺金剛 普見/真如金剛 普救/智滿金剛 淨智/解脱金剛
  大力/護戒金剛 勇猛/不退金剛 福貴/圓滿金剛 智滿/法滿金剛
◆四(開敷)蓮華
■二十天
 
 羅刹…棒上火炎
 風…幢幡上火炎宝
 金剛衣…《象頭像》⇒弓箭
 火…《仙人形》⇒三角火炎
 毘沙門…《冠装着》⇒宝棒

 
 金剛面…《猪頭像》⇒三鈷鉤
 炎摩…人頭棒
 調伏…《象頭像》⇒三鈷剣
 毘那夜迦…《象頭像》⇒歓喜丸
 水…龍索

 
 那羅延…宝輪
 摩羅…三鈷鈴
 金剛摧…傘蓋
 梵…紅蓮華
 帝釈…《冠装着》⇒独鈷杵

 
 日…日輪
 月…半月綸
 金剛食…《象頭像》⇒華鬘
 彗星…棒上火炎
 惑…火聚


(参照 ママ引用でなく改変していますのでご注意のほど) 越智淳仁:「図説・マンダラの基礎知識―密教宇宙の構造と儀礼」大法輪閣 2005年

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