→INDEX ■■■ 曼荼羅を知る [2019.2.12] ■■■ [5]金剛界曼荼羅 四印会 金剛界曼荼羅左隅にある簡略表現の四印会を見ていこう。 ❺ ❻ ❼…四印会 一印会 理趣会 ❹ ❶ ❽…供養会 成身会 降三世会 ❸ ❷ ❾…微細会 三昧耶会 降三世三昧耶会 ❺四印会 1〜4迄の曼荼羅は尊像満載だったが、ここからは簡略されてくる。 修行が難しいので、解り易くしたものを用意したとされているが、真意は違うかも。 現代感覚だと、緻密な分析結果を総合化するのは大変な作業で、耐えられぬ人もでてこよう。そこで、整理簡略化したものを提供する話になってしまう。しかし、それはあくまでも"分析的思考"の範疇で言えること。 曼荼羅とは、いかに細かくしたところで、一つにまとまったものである。モザイクの寄せ集まりとは違う。沢山の尊像があるから、それをカ美しく解り易いようにカテゴライズして簡略化したも図絵で代替可能という訳にはいかない。どのように整理しようが、たいした意味はないのである。 得たいのはあくまでも"概念思考"だからだ。 分析は技法を教えてもらえば、真似して会得できる。勿論、それが上手か下手か、高度か雑か、といったレベルの差は如実に現れるが、それだけのこと。本質的にはすべて同じ。分析にいくら精進したところで概念で把握に結びつく訳ではないのである。と言っても、精進しなければ、"概念的思考"に行き着くことはできないから悩ましい。 端的に言えば、いくら分析で頑張ろうが、概念に到達できる保証はない。 コレ、別に宗教論を語っている訳ではない。 "概念"はあくまでも直観で生まれるもの。言葉で細かな定義を与えてもらうと、わかる手のものではない。視聴覚重複障害者のヘレンケラーが"WATER"という概念を突然にして把握できた瞬間のようなもので、何時どのように概念が訪れるかはわかっていないのである。 つまり、大曼荼羅を眺め、細部の知識を頭に詰め込んで、すべてをスラスラ空んじることができたところで、それでは全体は一体なんなんだという点について分かる訳ではない。 しかし、"概念"をどうしても得たいから故の修行である。その一助として、整理された簡略曼荼羅の方が役に立つことはあるかも知れない。いつまでも細かなことばかりに関心を示しているのでは、全体像がさっぱり見えてこないからだ。 初心者用に成身会を簡便化したのが四印会とされているが、一般に、初心者の概念思考到達には簡略化は向かないから、はなはだ疑問な解釈だ。熟達した分析者に余計なことを考えさせないための簡便化ならわかるが。 と言うことで、四印会の総勢は都合13尊といたって小規模である。 中尊はもちろん大日如来。描かれている唯一の如来であり、五如来の代表となる。 その周囲の4菩薩は以下の配置。十六大金剛菩薩の代表である。手印だけで持物は無い。それぞれの如来を示している姿でもあるのだろう。 ○○○○○○○○Ⓦ金剛法菩薩 ○Ⓝ金剛宝菩薩Ⓢ○○○◎○○○Ⓝ金剛業菩薩 ○○○○○○○○Ⓔ金剛薩捶 これは、1〜4迄の曼荼羅の抽象化図絵とも言える。 成身会(大曼荼羅)⇒薩捶 三昧耶会(三昧耶=意密)⇒持物⇒宝菩薩 微細会(法=口密)⇒真言⇒法菩薩 供養会(羯磨=身密)⇒行為⇒業菩薩 もともと大日如来の待仏だった四波羅蜜菩薩は、これら四金剛菩薩が形作る領域の四隅に配置されている。但し、人格像ではなく三昧耶形で、蓮台上の持物表現。 法…蓮華首独鈷杵 業(羯磨)…十字金剛杵 金剛…五鈷杵 寶…三弁宝珠 ○○○宝○○○Ⓦ○○○法 ○○○Ⓢ○○○◇○○○Ⓝ ○○○金剛○○Ⓔ○○○業 ここまでの、都合9尊が大円輪で囲まれており、その領域内部と外部の4隅にも、三昧耶形の蓮台上持物表現の四供養妃 金剛菩薩(内側)が配置されている。 鬘…三鈷縄(華鬘) 歌…六弦三鈷箜篌 舞…十字金剛杵 嬉…若干屈折三鈷杵 ○○○鬘○○○Ⓦ○○○歌 ○○○Ⓢ○○○○○○○Ⓝ ○○○嬉○○○Ⓔ○○○舞 (参照 ママ引用でなく改変していますのでご注意のほど) 越智淳仁:「図説・マンダラの基礎知識―密教宇宙の構造と儀礼」大法輪閣 2005年 (C) 2019 RandDManagement.com →HOME |