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■■■ 曼荼羅を知る [2019.3.3] ■■■
天部 [5] 閻魔

閻魔天曼荼羅とはもちろん冥界の死神ヤマYama/焔摩信仰。胎蔵曼荼羅の外金剛院南方に登場して居る・・・
閻魔天は白水牛に乗り人頭幢/檀拏杖を持ち、后の黒闇天女が控える。道教の太山府君/泰山府君と死鬼衆、鬼衆、鬼衆女、荼吉尼衆、成就持明仙衆が取り巻いている。

閻魔天曼荼羅は、いわばこの部分の詳細化。主尊の周囲に18尊。
  →閻魔天曼荼羅図@e-国寶 (C)NICH

真言宗儀軌書「覚禅抄」の指定する内外院構成とは違って、梵天、帝釈天、四天王が登場するから天台宗系だが、登場尊像はすべて含まれていると思われる。【】に【死后】も加わった二尊とされているらしいが、素人には主旨がよくわからない。主尊の側ら左右に控えている2尊だが、妹かつ妃とされているヒト誕生伝説で知られるヤミーYamī/夜摩女と、后として名前が登場するカーララートリーKālarātrī/黒夜羅刹女ではないか。(「リグ・ヴェータ」にはYamaがヒトの最初の死者と記載、とか。)

主尊の前には官僚神が集合。
中華帝国ではココが肝。

先ず、道教の神で、善悪記帳官僚統率者の【太山府君】が目につく。右手に筆を持し、左手に人面幢。
官僚賄賂政治体制(高級地方官僚は無給であるから当然の仕組み)であるから、民衆的には閻魔大王よりこちらの方への寄進がより重要になる。ヤマの眷属 書記官(因果会計師)チトラグプタCitraguptaは天竺では注目されないが、中華帝国では上手く記録してもらう上での要官僚だからだ。伝承された途端に見いだされたのだろう。

当然ながら、閻魔天に仕える冥界現業官僚神たる、【司命】、【司録】も登場。前者は寿命管理担当の書類作成役で、後者は記録調査担当の書類看読役。

右手に筆、左手に奉書というスタイルで仕事に精を出す高級官僚風情の尊像もあるが、それは【五道大神】だろう。地獄だけでなく、六道から修羅道を除いた五道を一括して輪廻の行先を統制する訳だ。こちらは、道教が取り込んだ土俗的信仰だと思われる。

童子のような姿の尊像もあるが、動物を支配する王でもありそうな印象あり。重視されている神からの想像だが。

荼枳尼Ḍākinī
荼枳尼天は俗に謂う稲荷神である。狐をお遣いとすることで知られるが、天竺からいえばその動物とは豺(辞書ではヤマイヌ。)。人肉食を止め仏教護法神に起用されたのだから、おそらく殺生せず、死肉を喰らうことで折り合いをつけたとのストーリーがあるのだろう。従って、冥界を良く知ると言うか、ヒトに死が訪れる頃合いをよくご存知の動物と見なされた筈。要するに、餌となる死にかけた動物を察知する習性が取り込まれたということ。
大陸で描かれる場合[佛光大辭典]は、赤色肌の人身だが豬頭とも。象に乗ることもあり、いかにも民話[南伝仏教聖典「ジャータカ」]の動物王になったジャッカルの姿そのもの。両手にヒト肉(肝や手足)を持ち口を開けた姿になり、家来の鬼が肉を切る刀を持つことになる。
空海が東寺の材木提供者 伏見稲荷に荼枳尼天を招請したらしく、以後、日本では人気の神。
(尚、伏見稲荷大社の御祭神は宇迦之御魂神である。以前調べた伏見人形には「馬乗り狐」があり、象を馬にしたものと思われ、相当に古い伝承の可能性が高い。豊川稲荷は曹洞宗の寺院だから荼枳尼天信仰そのもの。)
荼枳尼天曼荼羅図の主尊として、独自の地位を築いている。
大阪市立美術館蔵の作品は比叡山 里坊明徳院伝来で、主尊は三面十二臂。眷属は多い。
 ○四使者@紅蓮弁上
 ○十六童子
…周囲に動物を伴うから、動物王だろう。
 ○二式神
 ○異形の男女


遮文荼Cāmundā
赤色肌で無衣的だが、寶冠を被り器皿を持つ女神らしい。ヤマの妃ともされるが、中華帝国では猪頭になることも。
動物系として荼枳尼と対になるのかも。
成就仙
豹の皮袋を持つという。
毘那夜迦Vināyaka
象頭であるから、ガネーシャ/聖天
周囲の女尊は力のある【母天】達か。夜摩女、黒闇天女、遮文荼も入るだろうが、帝釈天妃Aindrī 那羅延天妃(複数あり誰かわからない。ここでは、那羅延天と毘紐を分けたが、別名とも言える。) 鳩摩利Kaumārī 梵天女Brāhmī 毘紐女Vaiṣṇavī 自在女Raudrīといったところ。天竺流なら、八尊を選ぶことになろう。中華帝国では七尊と半端な数字。
眷属は、婆栖鳥、烏、鷲、狐(ジャッカルだろう。)が知られる。

尚、上記赤字が主要8尊ということになる。

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