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■■■ 曼荼羅を知る [2019.3.6] ■■■
非密教[2] 参詣用御絵伝

参詣曼荼羅とか宮曼荼羅呼ばれる図絵がある。現代人からすると、寺社が作った観光用境内案内絵地図に映るが、「観光」なる概念は極めて現代的なものなので注意した方がよい。

なかでも有名なのが、那智参詣曼荼羅。
16〜17世紀の熊野参詣用と謂うか、講を巡る御師の必提品。現代でも行われている「絵解き」に使われていたのである。
   [→"那智参詣曼荼羅"(C)闘鶏神社, 奈良国立博物館, 奈良女子大学学術情報センター]
   [→"那智参詣曼荼羅・絵解き"(C)那智勝浦町観光協会]
もちろん、熊野にとどまるものではない。(紀三井寺 粉河寺 施福寺 葛井寺 清水寺 善峯寺 中山寺 松尾寺 長命寺 成相寺 善光寺 高野山 千光寺 吉野山 甚目寺 六道珍皇寺 三室戸寺 竹生島神社 伊勢神宮 施無畏寺 道脇寺 報恩寺 須磨寺 明要寺 瀧安寺 三鈷寺 法輪寺 北野天満宮 八坂神社 多賀大社 熱田神宮 真清田神社 東観音寺 鳳来寺 日光東照宮 中尊寺 天妙国寺)

宮曼荼羅は神宮系を呼ぶための用語だと思われる。
   [→"両宮曼荼羅"(C)神宮司庁]
このうち、神仏習合が強調されている場合は神道曼荼羅・垂迹曼荼羅と呼ばれている。(春日宮, 熊野, 山王)
   [→"春日宮曼荼羅"(C)奈良国博]
   [→"熊野曼荼羅@根津美術館(C)文化庁]
   [→"熊野垂迹神曼荼羅図(甲本)(C)文化庁]
   [→【日吉山王曼荼羅図】"大津市民憲章制定50周年記念 三館連携特別展 神仏います近江 大津会場 日吉の神と祭(C)大津市歴史博物館]
参詣曼荼羅なのは間違いないが、別格なのが霊峰系。白山社 富士山本宮浅間大社 立山(芦峅寺+岩峅寺)
数が多いということもあるが、三禅定と呼ばれる山岳修行世界を描いたものだからだ。しかし、六道が描かれていたり、浄土からの来迎図がするが、密教曼荼羅や浄土曼荼羅の類縁ということではなく、あくまでも参詣用の「御絵伝」。祖師曼荼羅と同じ範疇と考えるべきだろう。

圧巻は、立山地獄図絵としての山々(浄土山、雄山、大汝山、別山、剱岳)。但し、芦峅寺系は布教もさることながら、富山の薬売りネットワークを支えた図絵でもある。
(参考) 福江充:「立山信仰の歴史と立山曼荼羅(平成20年度 大学体育指導者中央研修会 講演)」大学体育92, 2008年

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