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■■■ 本を読んで [2014.11.10] ■■■

癌闘病者向けの魅力的なレシピ

癌の闘病生活のノウハウに関心がある訳ではないが、患者の方々にとって、美味しく健康的な食事とはどのようなものか少々気になったので、「The Cancer Wellness Cookbook」という本を眺めてみた。

レシピの目次を見て、ビックリ。
ENTRÉESに、なんと「Pork Yakisoba」があったから。豚肉の焼きソバに、健康に良い食事とのイメージがなかったからである。
しかも、Yakisobaという日本語。
普通なら、中国語の炒面[chǎomiàn]こと、「chow mein」と書きそうなものだが。
日本のB級グルメの影響力は相当なものかも。

それにしても、食のグローバル化はここまで進んでいることを、今更のように感じ入った次第。

闘病生活者なら、小さい時の食べ馴れたモノに戻りたくものかと思っていたが、ものの見事に逆である。世界の魅力的な食を試そうではないかという積極姿勢に映る。
考えてみれば、そのような心根であることこそが、疾病に負けない力を生み出すということかも知れぬ。抗癌剤の副作用のイの一番は食欲不振だろうし。食べ物の味も感じなくなったりすると耳にしたこともあるから、興味津々的食事は嬉しいものかも。
なにはともあれ、栄養を摂取しないと、痩せる一方。体力が落ち、癌に対抗する免疫力も落ちてはこまる訳で、食べてみたくなるような料理が一番ということだろう。
もっとも、実際はどうなのかは、本人以外知る由もないが。
  "Cancer patients crave veggies, comfort food, survey finds"
     By Karen Weintraub December 02, 2013 The Boston Globe


それはそれとして、料理名をよくよく見ると、ヤキソバだけではなかった。
「Miso」麺も登場するのである。コレ、味噌ラーメンの一種と見ることもできよう。・・・「Spicy Miso Peanut Noodle」。

鶏の香草ローストやシアトル風ブイヤベースといった料理だけでは、飽きるということか。
小生は、こちらの方が美味しそうに感じるが、どうなんだろう。

しかし、考えてみれば、日本人は、ヤキソバ、ラーメン、鶏肉ソテー、鱈鍋、等々、とんでもなくバラエティ豊かな料理を手を替え品を替え、楽しみながら食べている訳だ。
昔、一緒に仕事をしていた米国人は、日本でステーキしか食べないのでおつきあいで閉口したことがある。申し訳けなさそうに、Red meat eaterなので、ご勘弁ということだったが。
今や、その手の御仁は少数派で、日本同様にナンデモありの食文化が浸透してしまったということか。

さらによくよく見ていくと、和の惣菜的なメニューもある。題して、「Mushroom-Asparagus Stir-Try with Bay Scallops」。
その作り方を見ると、揚げ油は胡麻[sesami]。醤油味でいただく。
注目すべきは、料理の名称に入っていない野菜が2種類ある点。
1つは、green onion。わざわざ、緑と白の部分両方使うべしとの指摘。と言えば、想像がつこう。なければ、中ぐらいのリーキでも結構というのだから、これはまごうかたなき長葱である。
長葱と一緒に用いるものといえば、それは人参しかあるまい。皮を剥いて、スライスしマッチ棒状にカットするとされている。
なんだ、これは、小柱入りの野菜かき揚げではないか。

どの程度、バラエティ化が進んでいるか見るなら、「Soups」がよかろう。11のレシピが並んでいるが、米国人から見ればかなり異質なものだらけに映るのでは。小生は、以下のように解釈した。
 【日本風】 Tofu Miso
 【印度風】 Masala Beet and Yogurt
 【タイ風】 Thai Chicken Soup
 【ベトナム風】 Chilled Avocado
    (豆乳とアジア型チリソース使用)
 【マレーシア風】 Shiitake Mushroom and Lentil
 【薬膳的】 Gingered Carrot
 【イタリア的】 "Cream" of Broccoli
    (モッツァレラチーズ使用)
 【米国南部風】 Black-Eyed Pea and Ham
   (新年の"Hoppin' John")
この他は、カボチャ(Golden Winter Squash)、豆(Black Bean)、バジル&トマト(Baso;-Spiked Tomato)である。

ちなみに、日本だとどうなるのだろうということで、国立がん研究センター東病院の医師と管理栄養士の方々がまとめたレシピ本の目次を眺めてみた。
えらく日常的な食である。でも、日本人にとっては、これこそが魅力的ということかも。
日本食は、もともと超バラエティの、なんでもアリの世界なのだから。・・・
ハンバーグ,焼売,餃子,カルパッチョ,キッシュ,グラタン,ムニエル,ミートローフ,蓮根蝦はさみ揚げ,洋風あんかけ,鯵の南蛮,鮭ホイル蒸,鰹照り焼き,鰹ステーキ,豚角煮,鰻蒲焼擬き,等々。
日本食と言ってよいのかわからぬが、すごすぎ。

(とりあげた本)
Kimberly Mathai: "The Cancer Wellness Cookbook: Smart Nutrition and Delicious Recipes for People Living with Cancer" Sasquatch Books 2014
(目次だけ見た本)
大江裕一郎/松丸礼/落合由美:「がん患者さんのための国がん東病院レシピ」 法研 2013


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