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■■■ 本を読んで [2015.3.16] ■■■

「日本味儿」を覗く

中国語の本でも読んでみるかと思い手に取ったのは、写真が豊富な和食紹介本。
西洋風料理を除いた、現実の日本での「飯」の食文化的解説満載。
実に、よくできている。目次に沿って、コメントをつけておこうか。・・・

●被魚加持的米飯寿司
  保存魚的秘訣  从“鮓”到“早寿司”  江戸前寿司  “煮飯三年”寿司師傅養成計劃  稲荷寿司
そうなんだよネ。寿司とはカウンターで職人に握ってもらってこその食べモノ。様々なネタを準備して、その場で握ってもらうことが文化の肝。箱や稲荷とは流れが端から違う訳で。
●吃出声来面[麺]
  中国渡来烏冬  庶民口味二八蕎麦面  不拉的拉面
ハハハ。確かに、"zuruzuru"こそ一大特徴。
麺文化は似ていても、実は作り方が違っていて、それが結構本質的なものだったりするのだがネ。
●生吃的藝術刺身
  割主烹从  可以生吃的魚  不可少的配角日本醤油  不是魚也可以生吃
正調の紹介。魚の扱い、いかに捌くか、包丁の使い方、プリゼンテーションと、すべてが揃わないと、今一歩の評価なのが和食の哲学。中華刺身のセンスとはかなり違うと思う。
それを考えると、単なる焼き魚や、干物を、刺身同様に取り上げると、和食の感覚が見えてくるのでは。こちらも、御馳走なのだから。それは、定食屋の焼き魚定食とは違うのである。もっとも、中国型箸だと食べるのに難儀するが。
●油炸物天麸羅
  南蛮来風  受詛咒的天麸羅  “薩摩揚”和“精進揚”
とうして揚げ物が和風とされるのかは、日本人でも理解しにくいものがある。しかし、フリッター(メレンゲでしっかり混ぜる)とは食感が全く違うのは確か。
意懐石料理
  武家風本膳料理 旬、季節感 懐石与禅
和食紹介では、ここを無視はできないが、大陸から見れば「素菜」のジャンルでしかないから、本当のところは興味なしではなかろうか。
幸福満満的米飯丼物
  還是米哦  不産于天津的天津丼 V的代表勝丼与天丼 元太的鰻魚飯 不給猫吃的猫飯 便当与定食
この辺りはもう少し解説が欲しいところ。丼モノとは一種のファストフード。冷や飯を出すと暴動モノと言われるお国の方々にはわかり易かろう。
しかし、和ではレディー・ツー・イートの世界が基本だから冷や飯重視である。ファストフードは本来は握り飯。その高級バージョンがチマチマとした箱庭的な幕の内弁当。
●漬物
  当茶恋上飯[茶漬け] 儲存卜大作戰[沢庵漬け] 在京都尋找古老的漬物 止渇的誘惑[梅干し] 七種“野菜”調和的妙物福神漬
保存食であり、高級品は奈良漬。種類が半端な数ではないのが特徴。
季節風零食和果子
  茶与和果子 是星星、不是金平糖 団子一家子 這个,能叫餅
"frappé"(冰)に抹茶、小豆餡という具合に、工夫の積み重ね。そこが和の嬉しさ。この場合、原型は水饅頭や水無月。
●火的洗礼熟食
  海軍范儿[肉じゃが] 文明開化的象征寿喜鍋 和風BBQ[焼き物] 蛋的魔法
スキヤキ、シャブシャブ(鍋)、ヤキトリは海外訪問者歓待用の安直メニュー。トンカツ(勝丼)同様、和食というべきものとも言えないが。
肉ジャガ(牛肉土豆)を媽媽的味道、あるいは家居味として取り上げたのは秀逸。カレーライス(哩飯)も海軍発祥そであり、大和煮も含め、これらこそが代表的日本食である。ロールキャベツ、コロッケ、クリームシチューは日本化しているが、あくまでも洋食。
秀逸は卵料理の紹介。玉子焼、高級的"巻蛋皮"[伊達巻]、玉子豆腐、茶碗蒸。生卵掛けご飯と目玉焼き大好き人種だから当然である。
●不可少的東西
  芥末[Wasabi] 抹茶 清酒 味噌
レンゲ(スプーン)が入った味噌汁の写真だけは頂けない。しかしながら、最後に味噌を取り上げたのは流石である。大陸の人々にとって一番の美味しく感じる和食とは味噌汁あるいは味噌ラーメンと違うか。

(本) 杰&李浩:「日本味儿 日本の食文化」 西人民出版社 2014年9月 http://www.chuban365.com/bookshop/index.php?app=goods&id=3668

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