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■■■ 本を読んで [2015.5.23] ■■■

分類学ベースの猫本

食肉目ネコ科は伝統的に大きくは3つに分類されてきた。
 1.ヒョウ(豹,虎,ライオン,等)
 2.チーター
 3.ネコ(家猫,オセロット,ピューマ,等)

それは、化石の状況から見て、妥当とは思えないということで、系統樹で示したのが今泉本だった。
 1.メタイルルス[化石]
    イリオモテヤマネコ
 2.チーター
 3.ネコ
  ・ベンガルヤマネコ,オセロット,オオヤマネコ
  ・ウンピョウ,ヒョウ
いかにもイリオモテヤマネコに入れあげているといった感じがする表現である。この本は、地域別に記載される体裁になっており、アジア、アフリカ、西アジア、ヨーロッパ・北アメリカ、南アメリカとなっている。
なんとなく違和感を覚える地域区分である。しかも、アジアにはアムールヤマネコではなく、ツシマヤマネコと記載されている。
それでよいのかという気にさせられる本だった。

素人的には、中小型のイエネコ/リビアヤマネコ等と大型の豹,虎,ライオン,等は分けた方がレベル感が揃うような気がしたが、まあ、そんなものかもと思ったりして。

それが、2014年末の本で、大きく変わった。全体は8区分。分岐分類でいえば、最新から最古までが順に並んでいる訳だ。地域別を止めたのである。
 1 イエネコの仲間
 2 ベンガルヤマネコの仲間
   イリオモテ,ツシマ,アムール
   マヌル
 3 ピューマの仲間
   チータ
 4 オオヤマネコの仲間
 5 オセロットの仲間
 6 カラカルの仲間
 7 アジアゴールデンキャットの仲間
   ボルネオヤマネコ
 8 ヒョウの仲間
その先は化石なのでここまでだが、ついでに記載しておくと、こうなるようだ。
 9 マカイロドゥス
10 ヒペライルリクティス
11 プロアイルルス

マヌルを筆頭とするアジア系の古風猫はネコ族の元祖という訳ではないということか。
  「ネコの系譜」[2013.12.24]

素人的には、こんな具合に考えることになる。上記の逆の順番である。

 1.【化石の"牙"大猫】
 2.【"吠"大猫】
  豹,雪豹,虎,ライオン,ジャガー
  (雲豹)
 3.【中猫】
  アジアゴールデンキャット,マーブルキャット,ボルネオ山猫
 4.【カラカル(西亜)+アフリカゴールデンキャット+サーバル
 5.【オセロット(南米)】
 6.【大山猫[Lynx]】
  ボブキャット,ヨーロッパオオヤマネコ,ヨーロッパオオヤマネコ,カナダオオヤマネコ
 7.【走猫】
  ピューマ(北米),チーター(阿),ジャガランディ(南米)
 8.【アジア小猫】
  マヌル,ベンガル山猫/西表山猫/対馬山猫,マレー山猫
  (漁猫,錆色猫)
 9.【欧阿西亜の小猫】
  家猫/リビア山猫,砂猫,ジャングルキャット,黒脚猫,灰色猫

小生の感覚だとこのような分岐だと、"欧阿西亜の小猫"-"アジア小猫"-オセロットが一組のように映る。
残念ながら、写真を眺めるだけでは、分岐のストーリー創作までには至らず。
ヒントになりそうな話でもあれば面白いのだが。そうでないと、単なる写真並べ替えの分類丸暗記用本でしかなくなってしまう。

(本)
今泉忠明 監修:「世界の野生ネコ」学研 2014
今泉忠明:「野生ネコの百科 (動物百科)」 データ・ハウス [初版1992 第4版2011]


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