表紙 目次 | ■■■ 本を読んで [2015.10.3] ■■■ 生命の樹の新5界論 生物5界の丸暗記は止めて欲しいもの。 ということで、駄文を書いてきた。まだまだ色々と気にはなる点があるのだが、ネットリソーシスには限度があるので、ほったらかし状態だったが、分類本を眺めてみることにした。 献辞から見て、系統学者の叡智を集めたもののようだから。 "To all the scientists who tirelessly reserch phylogenetic data." ただ、所詮はズブの素人が図表だけ見て、適当にそれを解釈するだけ。誤解だらけになろうが、それが学問に影響を与える訳でもないからかまわぬだろう。どういうことか、色々と想像することになるから、頭には心地よき刺激である。 まあ、冒頭に5界を示す生命樹図が掲載されており、それに従って順番に読んでいく仕組み。なかなかよくできている。 その5界では、定義もさっぱりわからぬ「原生動物」を独立させていないのが良い。独立させる発想は、比較的よくわかる上層と下層の「植物・菌・動物」と「モネラ(原核生物)」に入りそうもない種々雑多の種をまとめただけの位置付け。これでは生命の樹とはとても呼べまい。 こんな具合になっている。 【I】原生動物まで。 古細菌と真正細菌(αプロトバクテリア)の融合で真核生物が生まれたことが見える形にしたのでわかり易い。原生動物がゴチャゴチャなのは、大きな分岐の後、それが引き金になって様々なボディプランが試されたと考えるのが自然。 ┌─真正細菌/Bacteria ├─古細菌/Archaea ┤ └┐←真核生物/Eukaryotes ┼│ ┼│┼原生動物/Protist ┼│┌┴─⇒【III】(菌/Fungi) ┼└┤ ┼┼└┬─⇒【II】(植物/Plantae) ┼┼┼原生動物/Protist 何処を一括りに考えるかは生物の見方を決めるもの。ド素人からすれば、多細胞化が始まる直前を境にすれば、なにが生物界全体に発生したかを考える上では白いと考えるクチだが、藻類とか珊瑚は多細胞なのか、考えるとよくわからなくなってくる。 ともあれ、上記と、従来型(下記)は思想が異なるとみることもできよう。 ┼┼┼┼┼┼┼┼┼┌(多細胞) ┼┼┌──────┤緑色【植物】 ┼┌┤┼┼┼┼┼┼└(単細胞)緑藻 ┌┤└紅藻 │└─渇藻 │ ┤【真核生物】 │ │┌アメーボゾア ││┼┼┼┼┼┼┼┌(多細胞)菌糸 └┤┌──────┤【菌】 ┼││┼┼┼┼┼┼└(単細胞)酵母 ┼└┤┌有櫛 ┼┼└┤┌海綿 ┼┼┼└┤┌刺胞 ┼┼┼┼││┼┌脱皮 ┼┼┼┼└┤┌┤ ┼┼┼┼┼└┤└冠輪 ┼┼┼┼┼┼│┌棘皮 ┼┼┼┼┼┼└┤ ┼┼┼┼┼┼┼└──【脊索】=【動物】 確かに、以下のように示してくれた方が圧倒的にわかり易い。 【II】植物/Plantae └┐←緑藻植物/Chlorophytes ┼└┐←陸上植物/Embyophyte ┼┼└┐←維管束植物/Tracheophutes ┼┼┼├─────羊歯植物/Ferns ┼┼┼└┐ ┼┼┼┼├────針葉樹植物/Conifer ┼┼┼┼└┐←被子植物/Angiosperms ┼┼┼┼┼└┐ ┼┼┼┼┼┼├──単子葉植物/Monocotyledons ┼┼┼┼┼┼└──真正双子葉植物/Eudicotyledons 【III】 菌だけ独立して付け足すような分類はわかりにくい。いかにも、動物と植物だけでは、その中間的なものがわかり難いので、中間を一括りにするかという気分での分類にしか映らないからだ。 菌とそれに近し生物を一括にすれば、素人にはわかり易い。ただ、どこから真正の動物と見なすかの概念的定義が難しそう。 ├─菌/Fungi └┐←後生動物/Metazoans ┼└┐←真正後生動物/Eumetazoans ┼┼└┐←左右相称動物/Bilaterians ┼┼┼│ ┼┼┼├──⇒【VI】 ┼┼┼└──⇒【V】 【VI】 前口動物と後口動物を大きく分けてしまうのは、素人的にはよくわかる。発生当初に差がでるのだから、ボデイプランの大元が違う訳で。 └┐←前口動物/Protostomes ┼│┌──卵割動物/Spiralians ┼├┤┼┌軟体動物/Molluses ┼││┌┤ ┼│└┤└環形動物/Annelids ┼│┼└─扁形動物/Platylielminthes ┼├───線形動物/Nematodes ┼└┐←側節足動物/Panarthropodes ┼┼├──鋏角動物/Chelicerates ┼┼└┐←大顎動物/Mandidulates ┼┼┼└┐←六脚動物/Hexapodes ┼┼┼┼├─蜻蛉/Odonates ┼┼┼┼└┬直翅/Orthopterans ┼┼┼┼┼└┬半翅/Hemipterant ┼┼┼┼┼┼└┬膜翅/Hymenoptetants ┼┼┼┼┼┼┼└┬甲虫/Coleopterants ┼┼┼┼┼┼┼┼└┬双翅/Dipterous ┼┼┼┼┼┼┼┼┼└─鱗翅/Lepidopterants 【V】脊椎動物の系譜はよくわかっている気になりがちだが、どのように考えるべきかはっきりしている訳でもなかろう。 └┐←後口動物/Deuterostomes ┼└┬──棘皮動物/Echinoderms ┼┼└┐←脊索動物/Chordates ┼┼┼└┐←肉鰭/Sarcopterygians ┼┼┼┼└┬───両生/Amphibians ┼┼┼┼┼└┬──哺乳/Mammals ┼┼┼┼┼┼└┬竜弓/Sauropsids ┼┼┼┼┼┼┼└─鳥/Aves (本) Pablo Vargas & Rafael Zardoya[ed.]:"The Tree of Life: Evolution and Classification of Living Organisms" Sinauer Associates Inc. 2014 本を読んで−INDEX >>> HOME>>> (C) 2015 RandDManagement.com |