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2003.5.13
 
 


パソコン新製品評価コメントの差…

 2003年5月11日付けのWashingtonpost TechNewsに「In Sharp's Little Laptop, the Usual Big Design Flaws」との記事が掲載された。(http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/articles/A32838-2003May8.html)
 日本企業の極薄ミニノートパソコン製品(「Actius MM10」)の特徴を眺めたレポートだが、酷評である。
 もともと、米国のビジネスマンにとってミニノートは余りに小さすぎる。ブラインドタッチでキーボードを使うと「.,/」が間違って入力されやすく、日本と違って不評を招きやすい。
 といっても、ミニノートなら必ず遭遇する問題だけでなく、電池容量の実用性や、デスクトップパソコンとのシンクロナイズの仕組みの欠点など、この製品が抱える問題点を洗い出している。ミニノート使用時の電源切断の面倒くささまで語っている。米国ではこのブランドはメジャーではないのにもかかわらず、これだけ細かくコメントした記事が掲載されるのは珍しい。

 一方、PCMagazineのような業界ニュースは機能を淡々と説明するだけだ。特段の問題をとりあげてはいない。ミニノートの問題を今更取り上げる必要などないから当然だろう。 (http://www.pcmag.com/article2/0,4149,936124,00.asp)

 もし、以上のような記事の1つを、なにげなく読むと、この製品はその程度のものか、と納得してしまう。しかし、様々なメディアで当該製品の批評が登場していることに気づくと、見方も違ってくるのではなかろうか。

 パソコン市場には多数のモデルが上市されている。このなかから、選ばれて報道されているのだ。注目を浴びていることは間違いない。
 この理由の一つは、搭載CPUが「Transmeta Crusoe」という点だ。最終製品の魅力度を一瞥し、Transmetaの競争力を見たいという投資家的のニーズに応えているのである。しかし、それだけではなく、独特の軽量/極薄デザインやコンセプトが人目を引いているのは間違いあるまい。

 実際、5月5日付けのBusinessWeekonlineでは、「Thinking Outside the Laptop Box」とのタイトルで、ほとんど同じに見えるノートパソコン製品のなかで、このミニノートパソコンとAppleのノートパソコンを独自性を取り上げている。
 この記事は、この製品がハンドヘルドとラップトップの中間に位置することを明確に意識している。換言すれば、このカテゴリーが認知され大市場が生まれる可能性を示唆したとも読める。市場変化の可能性を探る上で、見逃せない製品と見ているといえよう。(http://www.businessweek.com/magazine/content/03_18/b3831028.htm)

 米国のメディアは、以上のように、様々な立場からの記事を掲載する。それぞれ読者層が違うから、そのニーズに合わせた視点で記載される。
 一方、日本では、どの記事も大同小異になる。違いといえば、細かな情報である。
 たまに、ライターのコメントが付くこともあるが、企業戦略や企業文化を無理矢理当該製品の特徴に当てはめたものが多い。ブランドイメージを取り上げるなら企業文化解説も意味があるだろうが、新製品の機能解説には不要だと思うのだが、そう考えないライターが多いようだ。

 といっても、専門ニュースは、具体的な評価に徹している。
 例えば、同じシリーズの日本におけるPcwebの新製品評を見ると、「触れてみると、ちょっと感動できる薄さ」「クレードルは想像以上に便利」といった感想が並んでいる。 (http://pcweb.mycom.co.jp/news/2002/10/10/21.html)

 真面目な評価ではあるが、カタログ雑誌的記事との印象はぬぐえない。

 というのは、この記事の骨子が、クレードルに差し込むだけで、デスクトップパソコンの外部記憶装置として利用できる上、軽量極薄なので持ち運べる、というものだからだ。
 しかし、データの一元管理が可能といった新機軸訴求は、企業の製品紹介(「MURAMASA PC-MM1-H3W」)となんら変わらない。企業リリースの補強コメントとも読めるのである。(http://www.sharp.co.jp/products/pcmm1h3w/index.html)

 日米の違いは大きい。


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