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2003.5.15 |
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BLOGが開く新世界…2003年2月、ウエブ検索のリーダーGoogleがPyra Labsを買収とのニュースが駆け巡った。Pyraといっても馴染みが薄いが、黒色の背景に「POWERED BY BLOGGER」と記された橙色/白抜き文字のロゴマークの企業といえば気付く人も多い。(http://www.blogger.com/) Pyraは、「ブロッグ」(Web logの省略blog)を簡単に作成するツール「Blogger」の提供企業だが、さらに機能を高めた有料のツールやデータ・スペースも提供を始めている。 「ブロッグ」という用語に馴染みがない人が多かったようで、日本のニュースには解説がついていた。「ブロッグ」とは日記サイトのこと、とされていた。 ところが、騒がれた割りには、すでに話題にものぼらなくなった。「ブロッグ」の意義はほとんど伝わっていなかったようだ。 IT分野のオピニオンリーダーも、「Blogger」の機能をそのまま紹介している状態だから、仕方が無いかもしれないが。 実際、機能だけの説明なら、つまらぬ内容だ。・・・テキストと簡単な画像で構成される情報を時系列で流す個人サイトを作るソフト。これを使えば、簡単にサイトを作成し楽にアップデートができる。最初に簡単な作業でひな形を作り、後はテキストをフォームに入力して、ボタンを押すだけ。 このような説明では、どこに魅力があるか、すぐにわかる人などいまい。体感しなければ、掲示に至るスピードと、サイトの個性を失わない程度の体裁保持のバランスなど理解できない。 しかも、「ブロッグ」をちらっと見た印象だけなら、日本の「個人ホームページ」と大して変わらない。 こうなるのは当然である。「ブロッグ」の本質を語るなら、ソフトから始めてはいけないのだ。 といっても、ニュース解説はソフトの話しばかりになる。というのは、ビジネスの視点でのニュース報道だから、ソフト産業界の動きを解説せざるを得ないからだ。このため重要な点を見過ごしがちになる。 最も重要なのは、米国の「ブロッグ」文化の流れだ。これを理解しない限り、ブロッグの意義を見逃してしまう。 日本の「個人ホームページ」と米国の「ブロッグ」の違いは、実は社会的なインフラである。ブロッグにはバーチャルだがインフラがある。少数派も含め、数多くの人々の発言を拾おうという文化が基底にあるともいえる。一方の、個人ホームページにはインフラなど皆無である。ここが肝心な点だ。 この違いは、ブロッグのインデックス・ウエブを見ると一目瞭然である。例えば、「Weblogs.com」には、本日のリストが並ぶ。2000を越えたりする膨大なリストである。更新されたウエブがその時刻とともに自動的に表記される。(http://www.weblogs.com/) このようなことができるのは、言語をXMLにしたからである。どこでも、どのような条件でも見れるようになったのである。 と言っても、日本では、「個人ホームページ」自体に関心が薄い人が多いから、なにを意味するか理解できないかもしれない。日本の「個人ホームページ」でも、互いにリンクを張り合ったり、中心的な掲示板が決まっていて、すでに独特のコミュニティが形成されている。米国も同様なコミュニティは数多く存在する。レベルは違うが、それぞれが活発に動いている。 ところが、こうした種々雑多なコミュニティは互いに独立しているから、全体像を把握するのは至難の技である。 ところが、米国の「ブロッグ」文化は全く違う。集中的に情報が集まってくるのだ。しかも、すべての情報がXMLで記載されているから、これらの情報を加工すれば、現在どのような状況になっているか分析できる。 つまり、「個人ホームページ」の数が増えるとか、リンクや相互議論の場が活発化するといった、狭いコミュニティ内の深化とは次元が違うのである。 要するに、「個人ホームページ」を規格化することで、その膨大な情報をロボットで自動分析できるようになったのである。(規格は、XML/RSS0.91である。)様々なコミュニティを集めて、さらなる知恵を生み出す工夫が始まったと見ることができる。MITのblogdexのNewsリンクのようなものもあるし、Daypopのように何が関心を引いているかを分析するサイトも登場している。(http://blogdex.media.mit.edu/ http://www.daypop.com/news/) 当然のことながら、「ブロッグ」だけでなく、時々刻々情報を更新し続けているメディアの雄、NYTimes、CNNなども、記載はXML/RSS0.91に変わってきた。 米国では、すべての情報のインデックスが、リアルタイムで得られる状況になりつつある。 とはいえ、米国でもHarvard Law SchoolがようやくWeb logを立ち上げたところだから、これから本格的な普及期に入る段階と見た方がよい。知の拠点でも、「ブロッグ」文化の重要性を認識し始めたといえる。(http://blogs.law.harvard.edu/about)---2003年2月12日付けメモの筆者Dave Winerはブロッグソフト開発者として有名である。 といっても、実は大企業のビジネスマンにとっては驚くような動きではない。機能は違うが、企業内では「ブループウエア」が使われており、新しい知を求めるインフラはつくられつつあるからだ。こうした動きが、社会一般に広がりつつあるといる点が、衝撃的なのである。 日本では、このような動きに対しては鈍感である。何時になったら「ブロッグ」が一般化するか想像もつかない。今もってXML/RSS0.91規格にも無関心なままだ。 もっとも、日本の個人ホームページには、楽しげな個人生活の戯言と個人的なエンタテインメント情報がならぶものが多い。「ブロッグ」化しても意味などないかもしれない。・・・ 文化論の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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