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2004.3.13
 
 


Zippie文化の対抗馬は?…

 「Zippies」と言っても、一般の人には、ほとんど馴染みの無い言葉だろうが、インターネット利用が生活の一部に組み込まれており、Wired Magazineを読むような人にとっては、古くから使われている用語である。(1)

 日本にいるとZippieのイメージが湧きづらいが、昔、流行った「世界各地を漂流して歩く」ヒッピーの思想で、「ウエブをサーフィンする」インターネットネットマニアではないかと思う。
 (但し、この用語を使っている人達は、そのような見方をすべきでないと言うが。)

 THOMAS L. FRIEDMAN氏は、NewYork Timesのコラム(「Meet the Zippies」(2)) で、シニカルに「Zippies」の登場が2000年代の特徴だと語っている。
 (言うまでもないが、この評論は、大統領選における民主党側政策に関する議論の一環であり、インターネット時代の文化論ではない。)

 1960年代はHippies、1980年代はYuppies、2000年代はZippiesだと言う。普通なら、これは先進国の若者文化だが、インドの雑誌によれば、「The Zippies Are Here.」だと指摘している。
 多くの家庭にzippie がいるそうだ。

 その通りだろう。

 インドが開放経済に移行したことで、現地の若者が続々とIT産業に入ってきた。米国企業が国内業務を次々とインドに移行させているため、高収入の職場が増えているから、インドにおける関連業界の景気は絶好調だ。
 そのため、高学歴な若者に高所得が約束される。お蔭で、若いうちから、環境の良い地域に快適な住居を構え、日々、ビジネス界を颯爽と動き回っている。まさにグローバル経済時代の寵児である。
 若くしてお金を稼いで、すぐにお金を使う文化が広がっているようだ。
 もちろん、これはインドだけの現象ではない。中国でも現れている。

 当然のことながら、このような若者が増えることは、米国内では、専門スキルで食べている、個人サービス業やホワイトカラー職が発展途上国に奪われていることを意味する。特に、一般IT技術者は、インド並の給与に陥ることになる。
 米国に残る職業は、専門スキルが不必要な単純労働サービスだけかもしれない。これだけは、物理的に移転不可能だからである。

 この流れは、政治的な対処で、進展が遅れることはあるかもしれないが、止めることはできまい。
 先進国での成功者とは、発展途上国の「Zippies」を使える人になるだろう。

 そうなると、若者文化は発展途上国から発信されることになるのだろうか。

 そんなことはあるまい。

 といって、中途半端なことしかできない「グリーン運動」に若者が魅せられることもないだろう。
 唯一考えられるのは、先端研究開発や業際型事業開発で新しい産業を生み出す人だ。

 このような分野で成功する人の生活スタイルとは、どのようなものだろうか。

 --- 参照 ---
(1) http://www.wired.com/wired/archive/2.05/zippies.html?person=richard_dawkins&topic_set=wiredpeople
(2) NYTimes EDITORIAL DESK February 22, 2004, Sunday (有料)

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