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2004.10.29 |
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見れないコンテンツ…2004年9月の新国立劇場公演題目に「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「道化師」が登場した。(1)聴いた人の話によると、道化師カニオ役で急遽出演したGiuseppe Giacomini(2)の熱唱が素晴らしかったそうだ。 この公演演目は、古くからのオペラファンには懐かしいものである。 1956年〜1976年に、NHKは、文化事業としてイタリアの歌劇団を8回招いた。そのうち、1961年10月に東京文化会館開催されたのが、この題目だった。 古い話であるが、イタリアオペラが日本にやってきた、というイメージだろうか。日本のオペラファンの基盤をつくった一大イベントである。 と言っても、当時、生を見たわけではないが、今は、DVDで見ることができる。(3) この公演が有名なのは、Mario del Monaco の熱唱を「見る」ことができる点にある。限度ぎりぎりの高音を出す場面になると、優れた歌手でも、普通は顔の形相が一変するものだが、全く違う。この「凄さ」は、CD ではわからない。 DVD の有難さを感じる一瞬である。 とはいえ、モノクロで見るのでは、今一歩の喜びでしかない。オペラ鑑賞の喜びは、カラフルな場面あってこそだと思う。 と考えれば、新しいDVDを探すことになるのだが、現実に手に入りそうな作品は限られている。
Franco Zeffirelli 演出、ミラノ・スカラ座で1982年に収録した映画版である。(4) といっても、入手できるとは限らない。売り切れ御免型の販売を行っているからである。 世界的にみても、現在のところ競合品を入手できる状況にないから、この作品はほぼ定番である。にもかかわらず、この状態である。 不思議なのは、「カヴァレリア・ルスティカーナ」が、2003年11月21日〜2004年1月31日の期間限定で発売されたことだ。市場の梃入れを図ったキャンペーンだと思われるが、この業界の実態を示すコメントがついていた。 契約の関係ですでに生産中止となっていたのだが、特別に72日間のみ出荷を許可されたというのである。(5) これが、この業界の体質を象徴している。 少数ではあるが、作品を見たい人がいるのだから、どのようなやり方をすれば収益をあがられるか知恵を絞るのではなく、従来の販売の仕方を変えずに、市場を活性化して儲けようとするのである。 このお蔭で、色々な作品を見る喜びは、全く味わえない。それどころか、定番さえも手に入らないことさえある。 ・・・とつらつら考えてしまったのは、新国立劇場公演の翌月、同じ演目のビデオ映像が、千代田放送会館で特別に公開されたからである。(6) 1976年にNHKホールで収録されたもので、カミオ役はPlacido Domingo である。 「カヴァレリア・ルスティカーナ」は、Fiorenza Cossotto とDomingo。 ライヴ収録が好きなファンなら是非見たくなる公演ではないかと思うが、DVD化の予定は無いそうだ。 このようなコンテンツは沢山ある筈なのだが、NHKはなんとかするつもりはないのだろうか。 --- 参照 --- (1) http://www.nntt.jac.go.jp/season/s236/s236.html (2) http://www.nntt.jac.go.jp/release/r352/r352.html (3) http://www.nhk-sw.co.jp/view/10425.html#6 ジュゼッペ・モレルリ指揮、NHK交響楽団演奏。 キャストは「カヴァレリア・ルスティカーナ」が、ジュリエッタ・シミオナート、アンジェロ・フォレーゼ、アッティリオ・ドラーツィ、アマリア・ピーニ。 「道化師」がマリオ・デル・モナコ、ガブリエルラ・トゥッチ、アルド・プロッティ、アントニオ・ピエーリ。 (4) 日本発売 PHBP-1007/1008 (5) UCBP-3003 旧http://www.universal-music.co.jp/dvd/campaign/UCBP-9021.html (6) http://www.nep21.co.jp/hivision/images/pdf/041015_opela.pdf --- 追記 (2004年11月15日) --- 2004年11月14日深夜の、NHK教育TV「芸術劇場」公演コーナーで、新国立劇場公演のハイライト収録版が放送された。Giuseppe Giacomini は素晴らしかった。 文化論の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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