↑ トップ頁へ

2005.8.31
 
 


オペラを見て

 2005年9月、オペラ「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の公演が、全く同じ日に、新国立劇場とNHKホールで行われる。前者は文化庁芸術祭協賛公演(SS席23,100円)(1)、後者はバイエルン国立歌劇場の日本公演(S席60,000円)(2)である。

 いくらオペラが流行っていて、今年がドイツ年だからといっても、一寸やりすぎではないかと思うのだが。
 今や、日本は世界のオペラハウス(3)の“出稼ぎ”先化したのではないかと思うほど数多くの公演が並ぶ。

 日本オペラは若手の躍進で極めて質が極めて高くなっている(4)から、海外の歌劇場の来日公演に注目しすぎという気がする。

 とはいえ、筆者もここ1年で、全く同じ演題の海外からの来日公演に3回も行ってしまった。
 (もう1件行く予定だったが切符が売り切れ。3件とも正規購入S席だったが、ほぼ満席。S席といっても、場所は極く普通。)

 伝統の歌劇場の雰囲気に触れたくて行ったのではない。余りに来日組が多いので、どの程度違うか、比べてみたくなったのである。(正直に言えば、御付役で行っただけだが。)

 お陰で大変勉強になった。

 切符の値段が違う公演に行ったからである。それぞれ、2万円未満、2〜4万円、5万円以上のクラスだった。

 2万円未満のクラスは、舞台装置が貧弱で気分がのらなかった。その上、配役が今一歩。支援も僅かのようだ。来日費用を考えると、こんなところが限界という気がした。
 う〜む。
 それまでして日本で公演する意味があるのだろうか。

 2〜4万円のクラスは、出演者の凸凹が気になった。伸び盛りの出演者は素敵だったが、残念ながら、それが生きてこない。粒が揃っていないのである。

 5万円以上のクラスは、流石に素晴らしい。大いに楽しめた。

 これだけの情報で結論に導くのは余りに独断すぎるが、評論家の話をまともに信じて失敗した経験があるから、自分の判断を重視するしかない。・・・2名で行けば10万円を越す出費だが、それだけの価値はある。しかし、そうそう行けるものではないから、海外モノは、ライブではなく、家でDVDを見るのがベストかも。

 ということで家での鑑賞派になっている。
 といっても、DVDディスクも安くはない。

 そのお陰で、デジタルテレビのチューナー(5)を購入する羽目に陥った。デジタルのチャンネルでしか見れないオペラ番組が月1〜2回あるからだ。(6)
 NHKのデジタル普及作戦にのせられた訳だ。普及率10%実現に寄与したことになる。
 実感としては、アナログ衛星放送とアナログ地上波教育テレビで十分だったのに、としか言いようがない。

 早くインターネット経由で自由に作品を選んで視聴できる仕組みが登場して欲しいものである。

 --- 参照 ---
(1) http://www.nntt.jac.go.jp/season/s273/s273.html
(2) http://www.nbs.or.jp/stages/bayerische/perform02.html
(3) 海外オペラ劇場のリンク集 http://members.ld.infoseek.co.jp/operaproduce/link.htm
  2005年末北京市にもオペラホール竣工 http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2005&d=0704&f=business_0704_009.shtml
(4) 「ジャンニスキッキ」シモーネ役多田羅迪夫氏インタビュー[2004年5月]
  http://www.music.co.jp/classicnews/ram-file/2004/nikikai-b-050513.ram
(5) 正確にはDVD/HDレコーダー付. 購入価格は, チューナーのみ製品とほとんど変わらなかった.
  デジタルなしの廉価版DVD/HDレコーダーと比べても, 一寸高いだけ. 余りに不思議な価格設定なので驚いた.
(6) http://www.nhk.or.jp/bsclassic/

 [追記 2005.9.17]
  上記(6)のサイトは以下の放送予定.
    ・“BS2”「クラシック ロイヤル シート」
    ・“BShi”「ハイビジョン クラシック館」
  “デジタル教育3”で流されるオペラ番組は, このサイトには掲載されていない.
  このチャンネルで流される番組は, NHK全体の“音楽(クラシック)”番組表にも記載されていない.


 文化論の目次へ>>>     トップ頁へ>>>
    (C) 1999-2005 RandDManagement.com