↑ トップ頁へ |
2008.4.21 |
|
|
地域文化を感じさせない夏祭り…毎年8月の最終土日に、原宿商店街振興組合主催で「スーパーよさこい」が開催される。日本の伝統の祭りといえば、地元の鎮守様で行われるものだが、このお祭りは、明治神宮が協力しているとはいえ、そのような伝統色を一切消し去ったものである。(1) このお祭りに参加する元祖の土佐高知にしてから、“戦後の景気振興策として高知市の商工会議所が中心になって始めた”(2)というもの。 純粋なフェスティバルなのである。(第55回2008年8月9〜12日) これと同様の催しが 全国いたるところにあるらしいから、従来型夏祭りは駆逐されていく運命にあるのかも知れない。 そう思ってしまうのは、東京では、高円寺の阿波おどり(第52回:2008年8月23/24日)(3)や浅草のサンバカーニバル(第28回:2008年8月30日)(4)もよく知られており、従来型の地域の夏祭りは影が薄いのだ。 どちらも地域興しフェスティバルから始まったものである。 ただ、当初の目的は似ていても、よさこい祭りは相当違う感じがする。と言うのは、祭りの形式に、ほとんど縛りがないからである。 おそらく、そこが流行る理由でもあるのだろう。 そこで、なぜ、このようなフェスティバルを開催したがるのか考えてみたが、単純な話かも知れないという気になってしまった。 ・企画や会場設計が楽だ。(道路上の自律的な踊りが中心だから。) - 仮設施設は簡素なもので十分 - 観客数増に対応可能 - 警察の安全/治安優先主義に合致 - 企画プロセスでの縛りは希薄 ・耳目を集める大騒ぎができる。 - 耳にキ〜ンと響くリズム音 - 目立つ様相と騒がしさ - 活気ある人達大勢の参加 ・主催者の出費を他のフェスティバルより少なくできる。 - 出演者/企画費用抑制可能 - 大型飾り物費用不要 - ボランティア参加者多数 ・地域外からヒト・モノ・カネを集め易い。 - 地域的な紐帯感覚とは無縁 - 祭り好きの自動的参加 - マスコミの好意的姿勢 伝統の祭りより、こうした新型の方が、お金はかからないし、大騒ぎでき、目立つから嬉しいということではないか。 地縁のお祭りが成り立たなくなると、ここまで来るということである。 それを如実に示すのが、北海道。 この地は、伝統といっても、アイヌ民族を除けば、開拓団が入ってからの歴史しかない。学生が始めた「YOSAKOIソーラン祭り」(第17回2008年6月4〜8日)(5)のような祭りにならざるを得ないのはいた仕方なかろう。 しかし、この手のお祭りは、そろそろ曲がり角に来ているのではなかろうか。観客動員数が頭打ち状態だからである。 まあ、この解釈はいろいろだが、祭りの流れに当てはめると頭の整理がし易い。 ・第一世代は、村祭り。 村の居住者が氏子。 祭りへは全員参加が前提である。 ・第二世代は、町の祭り。 都市化すると、地域の氏子以外の見物人が集まってくる。 見物人の目を意識することになる。 ここまでは、俗に言う、柳田国男民俗学が対応できた時代の話。 ・第三世代は、人集めイベントとしての祭り。 氏子のお祭りではない。 大阪万博から始まった、膨大な出費になりがちなお祭りでもある。 だからこそ、安価に見えるソーラン祭りに人気がでているのだと思う。 第三世代は氏子の枠がないから、他の祭りの掛け持ち参加者が増える。イベント企画者も、地域文化の担い手である必要もない。地域文化に根ざした祭りから離れていく可能性は高い。 そのような祭りが、今後も魅力を持続できるものだろうか。疑問を抱かざるを得ない。 本来、祭りには、独自性の発露があると思うが、それを欠くイベントが増え続けているからである。 ちなみに、日本海系は、夜を彩る提灯夏祭りが多いが、そこには多様性を見てとれる。これが本来の祭りの姿なのではないか。・・・弘前ネプタ、秋田竿灯、高畠青竹提灯、八尾おわら風の盆、石崎奉燈、野田川万燈、長崎県江迎千灯籠、等々。(正確な情報に基づいている訳ではないから、間違いもあるかもしれない。) もっとも、原宿での「スーパーよさこい」とは、大人版竹の子族イベントだから、自己主張があると言われれば、その通りかも知れぬが。 --- 参照 --- (1) 「よさこい祭りとは?」原宿表参道元気祭 スーパーよさこい2008 http://www.yosakoi-harajuku.com/whats/whats.htm (2) よさこい祭り・FAQ http://www.yosakoi.com/jp/FAQ.html (3) NPO法人 東京高円寺阿波おどり振興協会 http://www.koenji-awaodori.com/ (4) 浅草サンバカーニバル http://www.asakusa-samba.jp/index.htm (5) YOSAKOIソーラン祭り 歴史概略 http://www.yosanet.com/yosakoi/history/outline.php (祭りで踊っている女の子のイラスト) (C) 素材のプチッチ http://putiya.com/ 文化論の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
(C) 1999-2008 RandDManagement.com |