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2010.7.2
 
 


南ア ワールドカップ戦での音論議…

 南アのワールドカップ戦をテレビで見て、“Vuvuzela”なるものを初めて知った。実に喧しい音だ。阪神ファンの虎色メガホンの雄叫びが可愛いらしく感じるほど。
 コレ、南アフリカの民族楽器とされるが、広東省製造のプラスチック製品がほとんどらしい。こんなものを吹いてどうして国としての一体感が生まれるのかよくわからぬが、世の中いろいろな文化があることだけはよくわかる。
  → “10 things about the vuvuzela”  BBC [15 June 2010]

 実に大きな音で、スタジアム内ではとても会話どころではなかろう。おそらく、その影響は五月蝿いという感覚問題では済むまい。口頭指示伝達ができないから、折角暖めておいた秘策のチームプレーができずに敗退した国も多いのではないか。
 阿吽の呼吸など日常茶飯事で、姿勢や顔色で考え方を察するのがお得意の国は、相対的に支障は軽度だったのかも。

 そんななかで面白かったのが、WashingtonPostの“Vuvuzela”コラム。(1)
 それぞれの対応について、勝手にコメントをつけてみた。

【米人】
  ・pragmatical response
    ・・・要するに、理解を示したということ。南アだから大目に見ようとなる。
  ・a slightly mystifying foreign addition to a slightly mystifying foreign game
    ・・・大人の見方から来る寛容というより、無関心と大雑把さでは。
【独人】
  ・moral problem
    ・・・こんなものは端から駄目に決まっている訳だ。
  ・a ban
    ・・・一部の人達は激怒したようだ。先ずは規制となる。
  ・ "traditional instruments of South African football"
    ・・・耐え難い人はテレビはミュートにしたら。
【仏人】
  ・an aesthetic problem
    ・・・文化をけなせないから、科学的根拠での文句。
  ・"vuvuzelas de l'art contemporain" ("vuvuzelas of contemporary art")
    ・・・流石だ、芸術ときた。偉大なる皮肉。
【韓人】
  ・complex issues of etiquette
    ・・・無礼な批判者が出たので大慌てで体面つくりか。
  ・"put down the horns and take up other instruments"
    ・・・実に特殊な考え方。自制を求める訳。
【北鮮人】
  ・no information
    ・・・人民に意味のないことを伝えるな。
【英人】
  ・hearing loss, swollen lips, even windpipe rupture
    ・・・こりゃ酷い。狼藉そのもの。
  ・selling out!
    ・・・と言うことは、馬鹿騒ぎに最適な道具でもある。これなら警察も手出しできまい。
  ・will arrive just in time
     to ruin the English football season next autumn, possibly forever.
    ・・・ゲゲゲ。まあ、それが英国流サッカーというもの。

 ハハハ。
 実は、こんな文化論などどうでもよい。日本人がでてこなかったことと、最後の締めが秀逸。

 “This vuvuzela invasion will not be coming from South Africa, of course.”・・・その通り。需要があれば、中国は、なんだろうがとんでもない数の製品を生産し、一気に輸出する訳だ。
 早晩、世界中のスタジアムがラッパの騒音に包まれるのは間違いなさそうだ。なにせ、日産20万本に達しているのだから。工場は休み無く稼働し、製品は世界中にばら撒かれる。

 耳の保護貿易が必要かも。

 --- 参照 ---
(1) Anne Applebaum: “Nations are abuzz over what to do about vuvuzelas” WashingtonPost [June 22, 2010]
   http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/06/21/AR2010062103697.html


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