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2015.6.4

神道視点での道教考(仏教習合)

ヒトは輪廻の世界で生きているが、悟りをひらくことによって、そのような迷界から脱することができるというのが仏教の根本理念。
 【悟りの世界(解脱界)】/←/【迷界】
迷界とは六道のことであり、解脱界は仏陀の道。修行という観点から、解脱界は4界に区分されたりする。
 【仏界】,【菩薩界】,【縁覚界】,【声聞界】
これ以外は、「迷界」で六道となるから、"道"を"界"に替えれば、都合十界となる。しかし、一般的には、「三界」という概念が拡がっていて、六道とは、そのうちの一つの「欲界」とされる。
 【無色界】,【色界】,【欲界】
しかし、全体像がわかるようにするには、上記の4+3の"界"とするのがよかろう。
細かな分類を記載すると以下のようになるそうだ。素人にはナニガナニヤラであるが。
 【無色界-四天】非想非非想天,無所有天,識無辺天,空無辺天
 【色界】
   <四禅九天>五浄居天(色究竟天,善見天,善現天,無熱天,無煩天),無想天,広果天,福生天,無雲天
   <三禅三天>遍浄天,無量浄天,少浄天
   <二禅三天>光音天,無量光天,少光天
   <初禅三天>大梵天,梵輔天,梵衆天
 【欲界】
   天道/六欲天(他化自在天,化楽天,兜率天,焔摩天,利天,四天王天)
   人間道,修羅道,畜生道,餓鬼道,地獄道

細かなところは、わからないが、道教における、同様な階層構造を見てみよう。こちらは、どの解説にも、必ずと言ってよいはど三十六天が設定されている旨の記述があるが、それ以上の解説が無いのでよくわからない。ただ、道教に輪廻観は無いから、最高位の神々が存在する「聖境」とそれ以外で切り分けられていそう。ともあれ、以下のようになっているようだ。
 【(聖境)大羅天】・・・最高層
 【(聖境)三清天】玉清境清微天,上清境禹餘天,太清境大赤天
 【四梵天】・・・仏,菩薩,縁覚,声聞に対応
   平育賈奕天,龍變梵度天,玉隆騰勝天,无上常融天
 【無色界-四天】秀樂禁上,翰龍妙成天,渊通元洞天,天皓庭霄度天
 【色界】
   <四禅九天>无極曇誓天,上阮樂天,无思江由天,太黄翁重天,始黄孝芒天,定極風天,太安皇崖天,元載孔升天,太極瑶天
   <三禅三天>玄明恭慶天,觀明端靖天,虚明堂曜天
   <二禅三天>竺落皇笳天,虚明堂曜天,耀明宗飄天,玄明恭華天
   <初禅三天>赤明和陽天,太極蒙翳天,虚无越衡天
 【欲界六天】七曜摩夷天,元明文舉天,玄胎平育天,清明何童天,太明玉完天,太皇黄曾天

両者を比べて見ればわかるように、ソックリ状態。おそらく、仏教が道教に組み込まれたということだろう。
要するに、仏陀の上に最高神の世界が存在するとした訳である。これが可能なのは、道教がもともと、最高神と補佐の聖域の神々と、それ以外の神々という2層構造を持っていたからでは。

日本の場合は、古事記に登場する創造神への信仰を耳にしたことはない。しかも、神道には教祖が存在せず、祭祀者が宗教的権威者である。この状況だと、唯一最高(太一)神を指定するのは難しくなる。
つまり、神道は、ヒエラルキーなきバラバラな神々の集合体になりがち。
仏教は、体系化されている上に、もともと土着神を取り込んで成長してきた経緯を持つ。こうなると、本地垂迹説によって、サラミ戦術的に、一柱づつ仏教に飲み込まれていくのは自然な流れだったと言えそう。


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