■■■ 健康の考え方 2013.8.22 ■■■

Nature記事の「流石」的面白さ

そりゃ、砂糖のとりすぎは体に悪影響を与えるだろうと、誰だって思っているのではなかろうか。でも、頭を使うことが多いから、どうしても甘いものが欲しくなる訳である。

それはまずいということで、その「悪さ」の程度を「科学的」に示すことで、過剰摂取に歯止めをかけようと考える人達も少なくない。そして、その応援団もワンサカ。
もちろん、そのなかに、Natureも入る。
Nature Communicationsの論文紹介記事をご覧になると、どんな手が使われたかよくわかる。

 実験に使った動物: a pair of wild mice
 与えた餌: カロリーの25%が砂糖

正直な感想・・・こんな特殊な設定の実験結果から意味を読み取れるものだろうか。
環境設定そのものが、はなはだ疑問。
いわば、アマゾンの奥地に住む人達に、突然、違った食生活をさせ、食べたこともない砂糖の塊を食べさせた場合と、そうでない場合の違いを調べたようなものに映る。
これで健康を害さない訳があるまい。
そもそも、マウスの摂取栄養成分はヒトとは異なる訳で、砂糖の影響だけを純粋に取り出そうとするなら、それなりの実験計画を組むのが当たり前では。危険物質の安全圏内想定実験とは全くコンセプトが違う。これはあくまでも、普段の食生活に関するものだからだ。

なぜ、こんな話をしたくなったかといえば、砂糖を詰め込まれた餌を食べたマウスとそうでないマウスのマーカー7つのうち5つには差が無かったと記事に記載されているから。それ以上触れていないところを見ると、健康に影響与えそうな兆候は指摘できなかったということでは。
にもかかわらず、マウス群で競争させてみると、両者に差がでており、その影響は大きいというのである。それは健康と直接関係しないし、その競争そのものがマウスにとってどういう意味を持つのかはっきりしていない。従って、そのような結果と食のとり方の違いに意味付けなどできる訳がない。しかも、生体内異常があるという根拠もないのだから。こういう場合、レフリーが存在しているなら、その実験設定に疑問をなげかけるのではないかと思うが、どうなのだろうか。

この記事には、実は、専門家のコメントが記載されている。その評価は想像通りのもの。要は、太るという点で新たなデータが加わったネということ。
“I doubt these mice were dying of heart disease,”と引用されているが、素人でも、紹介記事を読むだけでそう見る。

実に面白い記事である。素人にしてみれば、このような研究ってナンダカネと指摘しているとしか読めない訳だ。

(記事) Safe’ levels of sugar harmful to mice Diet comparable to that of many Americans left animals struggling to reproduce and to compete for territory. by Brian Owens 13 August 2013 Nature News

 健康の考え方−INDEX >>>    HOME>>>
 (C) 2013 RandDManagement.com