■■■ 健康の考え方 2013.9.8 ■■■

減塩の難しさ

減塩の話。

様々な疫学的調査からみて、概ね、ナトリウム摂取量を減らすと、高血圧化症状が出にくくなる傾向があるのは確か。しかし、個人差が余りに大きいのでは。
そうだとすれば、減塩健康話を鵜呑みにされない方がよかろう。

どうしてかといえば、母数がいくら多い統計だろうが、サンプル自体が歪んでいる可能性が無いとは言い難いから。それに、高血圧化の理屈が今一歩だし。

そもそも、ヒトには、体液のナトリウム濃度を一定に保つ機能が備わっている。と言うか、それが生命線。ナトリウム過剰摂取で濃度が高まったままだったらえらいこと。従って、排泄機能が全力で動き始める筈。従って、余程過剰に摂取しなければ、重篤な問題を引き起こすことはなかろう。もっとも、体液異常のむくみ症状が見られたり、リスクを抱えている人はそうはいかないが。
とはいえ、ナトリウム過剰が続けば、体が疲弊するのは間違いなかろう。

にもかかわらず、減塩方針を鵜呑みにすべきでないと考えるのは、ナトリウム感受性の個人差は相当に大きいと考えるから。
当たり前だが、塩に恵まれないところで育った人々は少量摂取で十分。高血圧症状も滅多に現れない。しかし、一般の人がこれを真似すると欠乏したりして健康が害されたりすると言われている。ナトリウム濃度管理が難しくなれば体が変調をきたすというだけの話だ。

素人的には、ここから、なんとなく状況が見えてくる。
それは、推奨ガイドライン表現から想像がつくからでもある。
 ・ナトリウム:1日に2000mg(塩換算5g)以下
 ・カリウム:1日に3510mg(原単位90mmol)以上
  WHO issues new guidance on dietary salt and potassium January 2013 WHO

要するに、ナトリウムとはミネラルの一部ということ。このガイドラインはカリウムしか無いが、本来は微量物質も含めて必要成分は沢山ある。
その必要成分が不足したらどうなるか。

小生は、動物なら「塩」摂取に向かうしかないと思う。その結果、ナトリウムが過剰摂取になるかも知れないが、特定のミネラル不足を補う方策をそれぞれ持っていたら厄介この上ないから致し方あるまい。
従って、ヒトを含め、脊椎動物はえらく「塩」好きの筈である。
つまり、減塩したいといっても、「塩味」の魅力に打ち勝つには修行者の覚悟が必要ということ。と言うか、魅力を覚えるのは、なんらかのミネラル不足を示唆している可能性があり、それに応えないでいると体を悪くするかも。
そういう点では、精製NaCl主体の食生活なら減塩はお勧め。多種ミネラル含有の未精製物もよいかも。しかし、危険な不純物質に晒されるリスクを受け入れることになるから、両天秤ではある。できれば、野菜で微妙ミネラルを摂取したいところ。

理屈から言えば、発汗が少なければ、ナトリウムが失われることは滅多にない。運動もしない現代人はほんの少量摂取で済む筈。なにせ、前述したように、塩を少量しか取らない人々が存在するのだから。
それを支えるのが、腎臓。
この器官、老廃物を濾し取る役目だが、老廃物でもないのにナトリウムも対象にしている。従って、一旦は、血液中からすべて排出することになる。しかし、不可欠な成分だから、再び、それを取り入れることになる。必要なら全量。
ところが、他のミネラルになると、全量取り入れは難しいようで、尿として流出する量が結構あるようだ。ナトリウムと他のミネラルでは様相を異にする訳である。

こうした状況で、なんらかのミネラル物質が不足していると、「塩」として摂取したくなるというのがヒトの本性では。どうしてもナトリウム過剰になるが、腎臓はそれにしかたなく対応する訳だ。しかし、その反応はいかにも鈍そう。まあ、ナトリウムだけ、本来の機能に反して、ミネラル摂取抑制を大々的に図る必要に迫られるのだから、当然だろう。こんなことをしていれば、いかにも、なんらかの不具合を招きそうではないか。

その結果が高血圧と見る訳だが、その辺りの理屈は残念ながらよくわからない。

もともと、高血圧自体、個々の原因は色々と細かくわかっていても、個別の患者の原因は曖昧でしかないから、対応がつけようがないということもありそうだ。しかし、素人的には、高血圧症状を呈する理由は単純な分類となる。以下のようなことが発生していると考える訳。
 ・ストレス
 ・脳や筋肉の血流量減少への対応
 ・腎臓のミネラル摂取機能増強の必要性
ナトリウムが直接的に関係しているのかは、なんとも。ただ、過剰摂取で、ナトリウム回収量を抑えるために生まれる指示物質の直接的あるいは間接的な影響で高血圧が引き起こされるということは考えられる。

以上、一知半解的な素人談義で、とりとめもない話だが、主旨はおわかりだろうか。
単なる減塩では、体が求めることを否定していることになり難しいのではということ。塩を求めるのは、なんらかのミネラル不足の可能性ありと見た方がよいのでは。
そして、体質によっては減塩は必ずしも正しい選択ではない人もいそうということ。
特に、日本の場合、古代から、山奥まで海塩品が流通していたのである。ナトリウムリッチに対応しているとしたら、それに合わせた、他のミネラル摂取の仕組みが出来上がっているかも。その辺りをよく考えて、対応された方がよかろう。

(註) WHO心血管疾患予防ガイドライン 世界保健機関 2007年によれば、2000Kcalの健常者の場合はナトリウム:1日に2400mg以下。
The Nutrition Facts Label: Helping Americans Make Heart-Healthy Choices [Feb. 5, 2013] FDA http://whqlibdoc.who.int/publications/2007/9784779203299_jpn.pdf


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