■■■ 健康の考え方 2013.9.14 ■■■

男性平均寿命の地域差について

「市区町村別平均寿命 (上位・下位10 市区町村)」の「」を見ると、ほぼ想定の範囲内と言えるのでは。
 上位10傑に入った地区は4パターン。
  ・長野県が4箇所
      -北安曇郡松川村[1位],池田町
      -塩尻市、諏訪市

  ・首都圏ベッドタウン地域が4箇所
      -川崎市宮前区、横浜市都筑区,青葉区
      -東京都杉並区

  ・静岡県浜松市北区
  ・沖縄県島尻郡南風原町
 下位に入った地区は3パターン。
  ・大阪市が3箇所
      -西成区[1位],浪速区,生野区
  ・青森と北海道に6箇所
      -青森市、平川市、むつ市、黒石市
      -青森県下北郡東通村
      -芦別市

  ・高知県土佐清水市

いかにも時代を象徴するような結果である。

なんといっても沖縄か。古き時代の姿を留める地域として、1箇所だけ残っているのが象徴的。ちなみに、50位内に広げても南風原町のみ。

逆に、首都圏ベッドタウン地域の長寿化が目立つ訳である。
コレ、極く当たり前の結果だと思う。比較的高所得なサラリーマン層が多い地域は中高年で死亡する人が少ないのだから。
健康を気遣う家庭が矢鱈に多く、体に無理して働くようなことは極力避けるし、定期健康診断が習慣化していることが大きい。余暇も十分にあり、家族ぐるみで活動的に楽しく過ごしていそう。しかも、電車通勤なので日々の運動量もそれなりに維持しているとくる。食事の内容も悪くないと見てよいだろう。需要旺盛で商品知識が豊富な消費者が大勢住んでいる地域だから、バラエティに富んで、新鮮で上質な食材がリーズナブルな価格で供給されているからだ。
こうした地域が、健康維持で比較優位にならない筈がなかろう。
ちなみに、上位50位でそんなパターンに当てはまりそうな地域をあげるとこんなところか。勘違いもあるかも知れぬが。
  ・東京都小金井市,多摩市
  ・東京都目黒区,世田谷区
  ・神奈川県横浜市港南区
  ・神奈川県茅ヶ崎市
  ・兵庫県宝塚市
  ・京都府長岡京市,宇治市
  ・滋賀県草津市
  ・大阪府池田市,吹田市
  ・奈良県生駒市
  ・仙台市泉区

推測に過ぎないが、海外で言えば、香港やマカオも似たような要因で高寿命化していそう。様々な文化が入り乱れており、食のバラエティは日本以上に凄まじいものがありそうだし、家庭の収入も多く、日本の生活レベルをはるかに上回っているからだ。自由を求めてこの地に来た人が多いから、ライフスタイルにしても柔軟性が高そうだし。それに、もともと、階段昇降や坂道が多い街で、体を結構動かしていそう。そんなこともあり、小生は、WHOのトップに香港文化がわかる人を選んだのは慧眼と見る。

話がとんでしまったが、信州に移ろう。
ここの長寿命化のポテンシャルが高いことは、その昔から言われていた話。周囲は緑に囲まれており空気は清涼とくるからだ。療養最適地と言われてきたのである。そんな地で、陽にあたって日々労働する文化が深く根付いているとされているのだから、おかしな食習慣さえなければ長寿な筈と、皆思っていた訳である。
首都圏の人々にとっては、特に、カルシウムリッチの美味しい硬水を毎日飲んでいる点が垂涎ものでもあった訳だが。
健康維持重視ムードが高まれば、もともと教育熱心な土地柄だから、そのうち長寿命地域と化すとは誰もが考えていたと思う。それに、独自文化が築かれているので、新潮流排除という立場に立たず、冷静にプラスマイナスを判断してライフスタイルを変える柔軟性を持っていることも大きそう。
実際、上位50位にランクインした地域はかなりの数に上っている。
  ・下伊那郡高森町,阿智村
  ・東筑摩郡筑北村,山形村
  ・県木曽郡木曽町
  ・下水内郡栄村
  ・小県郡青木村
  ・上伊那郡南箕輪村
  ・下伊那郡根羽村,売木村
  ・北佐久郡軽井町
  ・伊那市,佐久市,上田市,東御市


ちなみに、上位50位に入っている浜松市内はさらに3箇所。
  ・浜松市浜北区,西区,東区
こちらは、半都会半農村的な地域ではないかと思うが、首都圏ベッドタウンと信州的生活域のライフスタイルが混ざったところなのかも知れぬ。

下位50位も同じように、トップ10の近隣地域満載。
  ・大阪市 此花区,港区,東淀川区,住吉区,東住吉区
  ・青森県
    南津軽郡大鰐町,田舎館村
    北津軽郡中泊町,鶴田町,板柳町
    西津軽郡鰺ヶ沢町
    東津軽郡今別町,外ヶ浜町,平内町,蓬田町
    三戸郡三戸町,五戸町,田子町,階上町
    下北郡佐井村
    上北郡野辺地町,東北町,六ヶ所村
    五所川原市
  ・北海道 登別市,三笠市,稚内市,様似郡様似町
そうだろうなーと思う。

バブル経済に浮かれていた頃、長寿化のためにどうするか議論したことがあるが、まずは、カロリー過剰摂取を抑え、減塩だろうという話になったことを思い出す。(まあ、当時のデータを見れば、誰が考えてもそういう結論になるだろう。)ただ、太ることを避けるのでなく、運動でカロリー消費を図るべきという方向は好まれなかったが。そうそう、付け加えれば、確か、水道水水質に注意を払うべき地域もあったような。

ともかく、その頃は、減塩は緊要と皆感じていた筈。
と言うのは、日本人はとんでもない量の塩分を摂っていたからだ。うろ覚えだが、1家庭(2名で規格化)すると、都市部でも塩の年購入量が塩で5Kg近くあるのが普通。これはいくらなんでも、体への負担が重過ぎる。こんな食生活を続けて長寿命を実現できる筈はなかろうと語りあったもの。しかも、たいていの塩は精製されたもの。Na以外のミネラルの欠乏も疑われ、ミネラルバランスは極めて悪そうとくるのだから。
そのなかでは、沖縄の購入量が少ないことが目を引いた。水もカルシウムリッチかも知れず、ここら辺りのレベルにしないと駄目だと考える人が多かったように思う。
それからはや20年。やはりこうなったかという思いがよぎる。

ちなみに、当時の東北地方では都市部であっても、味噌醤油を、年間20Kg/20リットル辺りの購入は当たり前だった。現在の感覚からすると凄まじき消費量だが。(山形だけは、味噌消費超僅少文化。)もちろん、これに加えて塩も5kg以上購入とくる。
那覇市の倍近い購入量だったとの記憶がかすかに残っている。まあ、沖縄の長寿が注目されていたのである。

それを減らす運動が、その後本格的展開を見る。行政がどれだけ熱心だったのかはよくわからないが、首都圏ではそんなものに無関係に、健康志向の流れで皆が突っ走った。減塩以外は、余り合理的でない見方が多かったように感じたが、このお陰でずいぶんと進んだのは間違いない。
ということで、都市部なら、食のバラエティ化や外食を考えると、今や塩1.5Kg以下、味噌醤油5Kg/5リットル辺りが常識ではなかろうか。
調べていないので間違っているかも知れぬが、那覇市もこの辺りで、日本の多くの都市は今やどっこいどっこいだと思うが。和食が消える訳ではないから、せいぜいのところ、最先端で塩1Kg、味噌醤油を4Kg/4リットルかな。これでもまだまだ多いのだが。
ともあれ、ここらに到達していないと、健全な食生活への第一歩をしるしたとは言い難し。

だが、都市部でないと、なかなかここまでは到達できないと思われる。都会のスーパーでも、未だに地方では、1斗缶や大箱商品がスーパーに並ぶ訳だし。大家族多しと解釈する人もいるが、消費量が多いのは間違いなかろう。とはいえ、塩分摂取を大いに減らしているのは間違いないのだ。それでも、下位ランキングに登場する地域だと、摂取が少ない地域の2倍レベルという状況は昔と変わっていないということでは。なにせ、20年前が余りに多すぎたのである。ランキングは相対比較だから、当然ながら、下位に甘んじることになろう。それに、吹雪に見舞われがちな地域だと、日照下で体を動かす時間は相当に減る。もともと、そういう面でのハンディを抱えている訳だし。

しかしながら、この辺りまで塩分総量を抑えてくると、ナトリウム量もさることながら、ミネラルバランスの方が長寿に大きく影響してくることになろう。さらに、必要な栄養成分を十分にとっているかも、差を生む大きな要因になるのは間違いない。
特に後者の場合、上質な肉・魚、野菜・果物類が必要量に達しているかという点で、相当な違いが生まれる可能性が高い。それは20年前から言われていた話。

簡単に言えば、家庭の収入が足りないと、もろに影響を被ることになるという話。カロリー過大な安価で低品質蛋白源を選ばざるを得ないし、野菜・果物類も申し訳程度しか購入しなくなる傾向が生まれるからだ。
決して健康的食生活を考えていない訳でなくとも、生活に余裕がなければ、バラエティある食の実現は難しい。他の楽しみにおカネと時間を回したくなるからだ。楽しみを奪われた生活は誰だってしたくない訳で、寿命の観点から見て、お粗末な食生活に陥るのは避けがたかろう。

(データ) 平成22 年市区町村別生命表の概況 平成25年7月31日 厚生労働省 [元資料] tp://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/ckts10/index.html
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