日本人の食と健康の一つの見方 日本の平均寿命が50を越したのが昭和22年(1947)のこと。 ちなみに、20世紀初頭は40にも達していなかったのである。 それが、1970年代には世界のトップレベルに。感染症対応医療と食生活の質の向上のお陰と言ってよいだろう。 食生活は世界の優等生であると見てよいのではないか。・・・以下に示す、マクロでの食材バランスを見ると、結構、イイ線行ってるネとなろう。 --2011/1980/1950年摂取量 [g/day]-- 米・加工品 323.0/225.8/333.8 小麦・加工品 103.0/91.8/68.7 その他の穀類・加工品 7.9/1.5/69.4 薩摩芋・加工品 6.5/10.4/76.3 じゃが芋・加工品 27.5/23.2/34.5 その他の芋 20.0/29.8/51.0 種実類 2.0/1.3/0.9 緑黄色野菜 86.6/51.0/75.6 その他の野菜等 179.9/200.4/154.3 果実類 106.7/155.2/47.1 茸類 14.7/8.1/- 藻類 10.4/5.1/3.8 大豆・加工品 50.3/63.2/47.2 その他の豆・加工品 1.4/2.2/6.4 魚介類 72.7/92.5/61.0 肉類 83.6/67.9/8.4 卵類 34.8/37.7/5.6 乳類 122.7/115.2/6.8 油脂類 10.1/15.6/2.6 砂糖・甘味料類 6.6/12.0/7.2 菓子類 25.2/25.0/- 嗜好飲料類 362.2/109.4/- 調味料・香辛料類 87.5 補助的栄養素・特定保険用食品 13.2 [source:「国民栄養の現状」] 尚、品目別供給熱量をみると、1日カロリー摂取量の合計では確かに増えてはいるが、過敏になる必要はないと思う。(ご存知、農業白書の自給率状況解説で必ず登場するデータ) 問題とすべきは摂取量でなく、エネルギー燃焼の観点からの生活スタイルの方ではなかろうか。 こんな特徴が見てとれるからだ。・・・ ・穀類のシェアが十分高い。 ・小麦も摂るが米主体である。 ・砂糖は200Kcalレベルで収まっている。 ・畜産物が400Kcalレベルで高くはない。 ・様々な畜産物を摂っている。 ・魚介が100Kcalを越えている。 ・油脂は400Kcal以下に抑えている。 ・大豆を結構な量摂っている。 と言うことで、小生は、日本の食の状況を、以下のように見る。・・・ ○蛋白質(アミノ酸) 肉、卵、牛乳+乳製品、魚介類のミックスは、他の先進国よりはるかに良好と考える。魚介食が続いているからだ。ただ、肉と牛乳+乳製品の消費量が少ない感じがする。それが正しいかはアミノ酸バランスがどうなっているかわからないのでなんとも。ともあれ、卵の摂取量が多いのが特徴。それが健康維持に大きな貢献をしてきた可能性が高そう。 ○穀類 米食は、日本人にとって栄養上(アミノ酸)で重要食材かも。現状を見る限り、穀類食で重大な問題を抱えているとは思えない。 ○豆 ほぼ大豆。日本人にとって栄養上(アミノ酸)で重要食材の可能性あり。油脂原料としてではなく、食材としての豆類消費が多いのは発展途上国と相場が決まっているが、日本だけが例外。これが健康に好影響を与えている可能性は高かろう。 ○油脂 先進国中で見れば、摂取量は十分低い。量より質の問題を考えるべき領域だと思われる。 ○甘味料 甘味大好き型先進国と比べれば、日本の消費は超低レベルと言える。 ○野菜、果実 消費量は少ない。良いことではない。小生は、これらにナッツを加えたものを、ヒトの原初的食物と見なしており、欠かすべきではないと思う。 ○芋 熱帯ヤム/タロ芋食文化、欧州の馬鈴薯食文化、薩摩芋といった流れは、受け入れられてはいるものの、量的には小さい。食のバラエティ重視路線で行くなら、考えるべき余地がありそう。 これをさらに良くしようと、法律まで制定して展開中。だが、それが良い方向に進む保証はない。個々人は、それなりに努力するから、食生活全体バランスの向上が図れていると思い勝ちだが、そうなっている保証は無い。どうしても、特定食材の摂取量変化に注力しがちで、それが他に影響を与える可能性を捨象しがちだから。 と言っても、わかりにくいか。 その例にはならないが、様々な視点で俯瞰的に考えた方がよかろうということ。 野菜や果実を沢山食べようといっても、努力したつもりでも、数値的にはたいした効果がなかったりするもの。そんなことより、全く関係ない話しの方がが結構重要かも知れないのだ。・・・ ○台所仕事関与の割合 スウェーデン:8割 日本:4割強 ○台所仕事の所要時間 米国:1時間程度 日本:1時間半程度 それなりの知的作業だし、カロリー消費にも繋がるので、ここら辺りのスタイルを変えるのは意義があると思うのだが、どうかナ。 そうそう、ついでながら、食事時間も気になる点。一般にラテン系は長く、米国の倍あるのではと言われている。アングロサクソン系は食事時間を他のことに使いたい性格の人が多いということかネ。日本はせっかちだから、この観点ではアングロサクソン的と見なしがちだが、ラテン系に近い筈である。そうだとすれば、時間当たりエネルギー流入量で日米を比べると、倍近い開きがあろう。(ファストフードの食べ方でも、両者は相当に違うというのが小生の見立て。) この差は健康に大きな影響を与えてはいまいか。血糖値安定や唾液流入・咀嚼レベルの観点で考えるからだが。 (参考) Society at a Glance 2011 - OECD Social Indicators 健康の考え方−INDEX >>> HOME>>> (C) 2013 RandDManagement.com |