■■■ 健康の考え方 2013.10.28 ■■■

BMIフェチ社会でよいのか

BMIフェチだらけの世の中になってしまった。
小生は、日本の場合、こんなものを参考にしても、サラリーマン以外にはたいして役に立たないと思うのだが。

そんな意見の人がどれだけいるのかはわからぬが、医者の立場にたてば、そう思っていたからといって反対論を述べる気にはなれぬかも。なにせ、国民皆保険制度なのだから。
この制度下では、医療のスタンダード化は極めて重要。BMIの意義がどうあれ、たとえ、意見が違っていたとしても、それを受け入れるのは当然の姿勢。制度を壊したいなら別だが。

問題は一般人の側にある。そこは間違えない方がよい。

小生のような素人からすれば、健康度を肥満の視点で推測するための数値として使いたいなら、成人のBMIなどいい加減なものにしか映らない。こんなものを参考にする神経がそもそも理解不能。英語の概念なら、ballpark estimateといったところの数値でしかないからだ。ただ、ある条件下では、次元が「体重/体表面積」と同じだから、それなりに意味を持つのは確か。(基礎代謝量の指標に使える。)

しかし、日本人の体躯を見た瞬間、BMIがこの数字の代理を務める訳にはいかんと感じるのではあるまいか。
そんなこともあってか、腹回りを測ることで、その問題を回避しようとしているようだが、素人からすれば五十歩百歩でしかない。

要するに、健康と肥満の連関はこんな指標より、生活の知恵の方が上ということ。自分で肥満なのか判断がつかないようでは、健康維持の基本能力を失っているのも同然では。
思い出すのはこんな話。・・・スタイル抜群の美人で、米国有名大学MBAコース留学中の俊英のお嬢さんのことを、母親が大いに心配していた。小太りから程遠く、えらい不健康体だと見ているのだ。これでは結婚生活も成り立つまいという。小生は、この見方、多分正当だと思う。ご想像がつくかと思うが、この方、日本人ではないからである。

そもそも、「体重/体表面積」という視点が提供されれば、ピンときそうなもの。
そう、どうしてマンモスは巨大かということで、説明される理屈が頭に浮かぶからだ。動物は、寒いところでは、巨大化するしかない訳。
なにが言いたいかおわかりだろうか。
亜熱帯の先島諸島と亜寒帯の北海道に、同一基準の体躯の指標を導入してはたして意味があるのか、はなはだもって疑問ということ。米国のように、家と車の人工環境下で生活する毎日なら別だが。
沖縄、本州、北海道では、動物の「種」が大きく違うのは、海峡が隔てられたせいだけではなかろう。気候の違いははなはだしく、それは基礎代謝の大きな違いを生むだけでなく、対象とする食も変えざるを得ない。体躯も大きく違って当然である。

ヒトにしても、熱帯の芋食域では、肥満層が健康体だが、それを他地域に拡張する訳にはいくまい。だいたい、熱帯だと、殺人光線を浴びざるを得ない真昼間の行動を避けるのが普通。食もさることながら、運動エネルギー消費も相当に違っていよう。
これが、亜熱帯の肉魚蛋白食域になるだけで、小太り健康体に変わってくるし、豆蛋白の完全ベジタリアンだと痩せタイプだ。
一方、寒冷地帯の肉乳蛋白食域は、穀類も大いに摂るから総カロリー量も大きく、筋肉質ガッシリの大型の体格となる。ただ、雑穀食域では痩せギスになるようだが。さらに極寒の世界に至れば、肉食オンリー化して小太りとなる。
早い話、どの食タイプを選ぶのかという問題と、それが生活スタイルと環境に合っているかということが健康の決め手では。食や生活スタイル、環境を設定せずに、妥当な「体重/体表面積」が決まることなど考えられまい。ある条件内での、最適値という観点で、健康維持によかれと思う範囲が言えるという以上ではなかろう。
日本におけるBMIがそうなっている保証はなかろう。

この観点に立つと、日本でBMIに意味がありそうなのはサラリーマン。そこから離れれば指標としてはどうかと思う。
特に、若いサラリーウーマンへの適用ははなはだ疑問。どう見ても、成長期の運動量がとてつもなく低かった筈だし、多くの場合、「痩せる」努力を行ってきたからだ。この習慣は、摂取カロリー量と基礎代謝量を人為的に極小化したのと同義。小生は、この結果生まれるのは不健康体しかあり得ぬと見る。しかし、BMIで見れば、間違いなく適正値に収まる筈である。
だが、健康リスクは高いのではなかろうか。
本来なら、BMI低すぎと出る筈なのに、そうならないのは、内臓に脂肪を蓄積しているからでは。「肥満体防止」は健康にプラスだが、この場合、それはBMI適正化では実現できないことになる。

(当サイト過去記載)
 パンダから教わった素人的健康維持の方針 (2011.10.20)
 糖尿病抑制技術(1:BMIの疑問)(20040203)
 カロリー摂取量のお話 (2011.12.21)

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