■■■ 健康の考え方 2013.12.21 ■■■

H7N9パンデミックにご用心

ニュースによれば、中国でH10N8鳥インフルエンザ患者死亡とのこと。新型である。
罹患者が増えることはないとの発表らしいが、問題はそういうことではなかろう。

ウイルスを保有する生きた鳥と高齢者層が接触する場が依然として存在していることを如実に示した訳で、ことはH10N8が広がるか否かではなかろう。
おそらく、家禽市場がなんの対策もとられずに従前同様に稼動しているということ。このことは、鳥インフルエンザウイルスの拡散が再び大々的に始まったことを意味しかねない。
コリャたまらぬ。

強毒性のH5N1は現時点で一息ついており、確かに、それなりに抑え込んではいる。しかし、感染地域は東南アジアや中東にまで広がった状態。大規模なヒト-ヒト感染に進んでいないというだけのこと。換言すれば、今後どうなるか予想がつかぬ不発弾を抱えこんだようなもの。ワクチン対応ができればなんとかという期待はあるが、はたしてどうなることやら状態である。
まあ、MERSも似たようなものだが、残念ながら、こちらは流行したら今のところ手に負えまい。流行地域の軍事的封鎖以外の手段はなかろう。それに巻き込まれたら、それこそ神頼みの世界。そうなる可能性など、誰も推定のしようがなかろう。
ウイルスがいそうな中東の衛生状態が改善され、リスクが減ればよいがと考えたりするが、現実の社会は逆だから恐ろしい限り。

しかし、直面しているパンデミック問題はこの2つだけではない。

今、注視すべきは、H7N9の方だと思う。
こちらは、今や、少しづつパンデミックに歩を進めていると見てよいのでは。
珠江デルタ地域での散発的発生が全く止まらないからである。この状態はなんらかの危険信号と見た方がよかろう。にもかかわらず、家禽市場はそのままだと、そのうち大事になるのは明らか。
もしかすると、ヒト-ヒト感染が生まれているかも。弱毒的影響しか出ない罹患者が多数にのぼっていたりするとえらい話。

なんと言っても、中国のことだから十分用心してかかる必要があろう。報道されるのは、重篤な患者や死亡者が発生した時だけと考えておいた方がよい。政治風土から見て、末端からの報告が真実とは限らないということ。

H7N9は抗ウイルス剤が効くようだが、中国の医療制度と住民の生活実態から考えれば、はたしてタイムリーに投与されているのか疑問が湧く。それができていなければ、ウイルスばら撒き罹患者が大勢存在している可能性もある訳だ。

従って、小生は、早晩、珠江デルタ地域はH7N9ウイルス蔓延状態になると予想する。
そうなれば確実にパンデミック到来。人口稠密だから、始まってしまえば、いくら独裁国家でもそれを抑えるのは極めて難しかろう。
ズブの素人がパンデミック可能性を云々するなど、日夜頑張っているウイルス研究者に対してまことに失礼な話ではあるが、今の問題はどう見ても科学より政治だからご容赦の程。(Nature のトップ10人にH7N9研究者が選ばれた。)

そう考えると、日本でも、そうした事態に備えて、そろそろ、国のレベルで、大々的な予行演習をう必要があるのではないか。

<インフルエンザと風邪症状を呈する代表的ウイルス>
【インフルエンザ】
 ・Aソ連型やスペインかぜ[H1N1]
 ・香港型[H3N2]
 ・アジア型[H2N2]
 ・B型
 ・(C型:低感染性)
【動物型インフルエンザ】
 ・H1N1(豚) メキシコ
 ・H1N2(豚) インド発北半球
 ・H5N1(強毒性) 罹患地域拡大[日本では鳥発症例]
 ・H6N1 台湾
 ・H7N2(弱毒性)
 ・H7N7 オランダ発欧州
 ・H7N9・・・2013中国流行
 ・H10N7
 ・H10N8・・・2013中国新発
【コロナ】
 ・SARS
 ・MERS(中東発生) 対応困難
【感冒】
 ・ライノ, etc.
【RS】
【プール熱】<咽頭>


(記事) HUALAN CHEN: Front-line flu sleuthA virologist helped China to quell an outbreak of H7N9 avian flu in humans. By Declan Butler @365 days: Nature's 10 - Ten people who mattered this year. 18 December 2013
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