癌対策は硬直化していないか 癌撲滅とのお声がかりで様々な活動が行われているらしいが、その労力にみあった効果が生まれているのだろうか。一寸した工夫だけで、目に見える成果がうまれそうな気がするのだが。 今のやり方は、癌を十把一絡げにしているように思う。これでは工夫の余地がなく、仕組みが硬直的になりかねない。 原因がわかっている病気ではないのだから、柔軟に対応できるやり方にした方が効果が出易いと思うのだが。 そう思うのは、年齢補正後の癌死亡率を見てのこと。 日本女性の場合、癌撲滅運動が盛んになるはるか昔から一律的低下傾向が見られる。素人発想なら、これは生活習慣から免疫力が持続的に強化されて来たことを意味する。 逆に言えば、癌撲滅運動は労力の割りには、この流れを上回る顕著な成果を生み出していない可能性が高いということ。これだけ頑張っているのに、効果無しだったりしたら、やり方を変えるべきだと思うが。 こうなる原因は、対処方法わかっている癌とそうでないものを、すべてまとめて扱うからでは。一律扱いは拙い。 例えば、対処すれば確実に死亡率が下がることがわかっている癌がある。これらは、それぞれ別個に対処方法を決めて、確実に進めれば間違いなく成果があがるもの。他の癌と一緒に対応するようなやり方はいかにも拙い。 一律型の撲滅運動は、それなりに気分は昂揚するものの、はなから死亡率低減効果があがりそうにないものも対応せざるを得ない訳で、これでは無駄な労力ばかりかけることになってしまう。 特に、ウイルス感染性癌を無くそうと考えるなら、本気になればかなりの成果が生まれておかしくなかろう。 ○成人T細胞白血病[ATL] 年間死亡者は1,000人程度ではあるが、さっぱり減少していないという。 HTLV-1ウイルスのキャリアを減らす努力が進んでいない可能性を感じさせる。母乳感染を3世代続けて防止すれば、キャリア人口は激減すると思うが。 ○B型/C型肝炎による肝臓癌 肝臓癌は2万人を越える人が亡くなっている。ほとんどの原因がウイルス感染による肝炎であることがわかっているのだから、対処策はある筈。なにせ、ウイルス性肝炎は治癒可能なのだから。本気で肝臓癌をなくそうと動いていないとしか思えまい。 それに、相も変わらず、酒の飲みすぎで肝臓癌だとかいう通説も消えない。酒飲みの馬鹿話でなく、本気でそう思っている人も多そうでこまったもの。 ○子宮頚癌 子宮検査とパピローマウイルス検査を行っていればリスクは極めて低い癌といえよう。 すでに予防ワクチンもあるから、若年齢層への接種が有効なのははっきりしている。無料なのに、接種反対運動もあるそうでナンダカネである。 原因がわかっていない癌の場合でも、それなりにやり方があろう。特に気になるのは、生活習慣を変える運動が不足していること。 ○胃癌 胃癌が多い地域とは、濃厚な食塩食を好む人だらけなのは昔から知られている。おそらく、強いアルコールの常飲者も食道癌や胃癌を発症しやすいと思われる。 そして、ピロリ菌が作り出す胃潰瘍も胃癌発症に繋がり易いと見られている。 常識的には胃壁を長年に渡って荒らすような生活を送っていると長期的には必ず胃癌が生まれますヨということ。 胃癌の徹底検診より、こうした生活を止めることに注力する方が死亡者数低減に効果的ではないかと思うが。発見しても、かなりの高率で死亡することが知られているのだから。 リスクがいかにも高そうな地域を見ると、おしなべて癌死亡率低減効果が見られていないことも、そう考える理由である。 ○肺癌 致死性が高いから、発見しても手遅れと見た方がよさそう。 ただ、早期発見ならなんとかなる。しかし、今の検査方法ではそれは簡単なことではなかろう。小さな癌を発見する手法の開発に力を入れたらよいと思うのだが。 原因は呼気汚染であるのは自明。生活環境から塵埃を減らす以外に手はなかろう。 喫煙との因果関係がはっきりしているが、どうもタールに含まれる発癌物質だけが原因ではなさそう。細かな塵埃が発癌物質を取り込む細胞を作ってしまうのではないか。飛行機から見れば都会の空の異様さははっきりしており、日常的に浮遊微粒子に晒されている訳で、喫煙ほどではないものの、同様の影響が予想されよう。 都会の場合、生活の場に集塵機は不可欠ということか。 ○大腸癌 早期なら、手術で患部を取り除くと死亡に至らないことが多い。再発は少なくない訳だが。 従って、便潜血検査を広く行うことで、確実に死亡率は下がる筈である。しかも、検便だけでよいのだから、施行方法を変えれば確実に人口カバー率を上げることができるのだが。 健康の考え方−INDEX >>> HOME>>> (C) 2013 RandDManagement.com |