■■■ 健康の考え方 2014.1.13 ■■■

安楽死許容国家の影響力

ベルギーで、95歳の寝たきりの末期癌患者が家族や友人達とシャンパンでお別れの乾杯をしてから旅立った。安楽死を選択したとのこと。
全身麻酔薬チオペンタール(アボット社の"PENTOTHAL"が代表的製品)を静脈注射してもらえば意識を失うから、苦しむことなく尊厳死を迎えることができるので、この道を選ぶ人は少なくないようだ。
  → [ビデオ]"Topatleet Emiel Pauwels pleegt morgen euthanasie"
     [蘭語] Nieuws Focus-Nieuws WTV, 06 januari 2014

今時、安楽死は珍しくもないが、大きなニュースになったのは、有名な最長老アスリートだったからである。
  → (Nostalzinski) - Redelijk Goe Bezig: Emiel Pauwels @YouTube

しかし、おそらく、それだけではない。現在、フランスで議論が巻き起こっているからだろう。
スイスやベネルクス三国では、苦痛を味わうだけの生活に陥ることが確実な末期患者には安楽死の権利が与えられて当然とみなされているが、フランスは踏み切れないまま。欧州では意見が分かれている訳である。
L'Europe reste partagée sur l'euthanasie─figaro.fr, Le 16/12/2013

ただ、緩和ケア技術が進むと、安楽死選択は減少することになるから、フランスの動きは緩慢かもしれぬ。
リベラル派を自称する大統領にとっては、安楽死合法化は半ば公約でもあろう。自由市民からすれば、選択させよとなる。
La conférence de citoyens préconise une "légalisation du suicide médicalement assisté"─figaro.fr, Le 16/12/2013

しかし、それは「自殺幇助」に当たる行為でもあるから、厄介そのもの。(ただ、日本のように、患者を苦しめるだけの無理な延命措置を行うことはもともとしないが。)
特に、カソリック教徒にとっては、自殺は神の意志に背く大罪という考え方が強いから、そう簡単にことが運ぶ訳ではない。

しかし、高齢者夫婦の自殺報道や、疾病に病んで自殺した母親の看病経験実話が流れたようだから、状況は変わるかも。ただただ苦しみ抜いて死んでいかざるを得ないのは、なんとも残酷な仕打ちとの気分が広がればの話だが。

尚、日本では、この領域は滅多なことではニュースネタにはならない。ベタ記事になる程度ではなかろうか。
(日本語AFP記事) ベルギー最高齢アスリートが安楽死、シャンパンで乾杯して旅立つ 2014年01月08日 18:10 発信地:ブリュッセル/ベルギー

生命保険金目当ての自殺が多いとされる社会だから、その方がよいかも知れぬが。・・・このような問題について冷静に議論ができる社会になって欲しいものである。

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