■■■ 健康の考え方 2014.2.4 ■■■

抗癌剤は効くか

当たり前だと思うが、癌細胞の発生や増殖のメカニズムが説得力ある理屈で説明できないのだから、「抗癌剤」とは漢方薬と同じようなもの。そんなことを言うと烈火の如く怒る人もいらっしゃるが、そうとしか言いようがないのでご勘弁のほど。

要するに、患者個人個人の体質によって、特定の「薬」が効く人もいれば、効かない人もいるというだけのこと。・・・そんなの当たり前だ。だからこそ、二重盲検によって統計的に効能を確認しているのだという言葉が返ってきそう。
しかし、プラセボとか、バラツキの話とは違うのである。ここをご理解いただきたく。

別に屁理屈を開陳しようという訳ではない。
抗癌剤で全快したと感じる人がいてもおかしくないが、抗癌剤で苦しんで逝ったという方も多数おられるのは間違いないという現実をそのまま解釈すべきだというにすぎない。
それに、誰でもがわかっていることがある。抗癌剤とは、細胞壊死や増殖防止効果を発揮する成分という点。つまり、癌細胞を叩くことは間違いないが、正常細胞もやられることになる訳だ。
両者へのダメージ比率の違いで、癌を抑えようというに過ぎない。

しかし、問題は、その差がどれだけあるかは人それぞれという点。
しかも、その差は微妙であるに違いないのである。なにせ、物理的に癌細胞を減らしても、効果があがったとは言い難い症例だらけなのだから。

従って、反抗癌剤論には一理ある。
正常細胞が細胞毒に敏感な人なら、共倒れする可能性が高いのは当然だからだ。逆に、反応が鈍感なら、異常物質に対する機能が衰えていることになるから、何をやろうと良い方向に進むことは難しいと見ざるを得まい。

ここら辺りの理屈に慣れる必要があるのではなかろうか。

実は、この理屈、抗癌剤だけの問題ではないのである。

体内でのフリーラジカル発生が大問題という理屈がまかり通っている。そりゃそうである。遺伝子を攻撃するのだから、もしかするとそれが癌発症の大元かも知れぬという気になる。
しかし、フリーラジカル発生自体を異常現象と見る訳にはいくまい。どこにでも発生していておかしくないからだ。ソリャ、確かに、反応は激しいものがあろう。だが、その攻撃対象は正常細胞だけでなく、癌細胞も含まれるのである。フリーラジカル発生は初期の癌細胞を殺す最重要武器かも知れないし、細胞の新陳代謝を活発にする媚薬効果を発揮していないとも限らない。
誰も、フリーラジカル発生を抑制することが、人体全体にプラスに働くか、マイナスに働くのか、わかっていないのが現実では。
おそらく、体質によっても相当に異なる筈。そして、個人毎に最適値があろう。
人体とはそういうものではあるまいか。

こうした発想を欠くと、どういうことになるかの典型例をあげておこう。・・・時々耳にするのが、喫煙者のβ-カロテンの日々多量摂取。
肺癌発症リスクが低減されるということで、対処している訳である。そんなことをするのは、おそらく、高収入高学歴の人達だろう。タバコは止められないが、癌のリスクをしっかり検討し、それなりの対処をしている気分になっている訳。まことに残念な限り。
国立がんセンターだった思うが、禁煙せずに、多量にβ-カロテンを摂取し続ければ、かえってリスクを高める結果になるので、控えよ、と解説していた筈。

こうしたアドバイスが生まれる背景たる、単純な「理屈」を理解しておく必要がありそう。単純だからこそ、複雑なのである。

そう。
風が吹けば桶屋が儲かるということ。これでは、なんのコッチャか。
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