■■■ 健康の考え方 2014.2.15 ■■■


癌治療記事の一例

「ビタミンCが化学療法効果を増大させる」との、キャッチィーな見出しがBBCに登場。
癌治療記事には、この手のものが多い。

ざっと見た感じでは、予想通り。
ビタミンC大量投与(注射)で卵巣癌患者に効いたとの臨床例が報告されたとのお話。
統計的にどの程度信頼がおけるのかわからんとしか、言いようがない代物。特許化できないので、こうした治療が進みそうにないと主張することで運動を盛り上げようというオマケまでつけている。
まあ、英国の大衆紙だと、臨床統計的風合いの健康話は珍しくもないから、BBCも習っただけかも知れぬ。大衆紙は、そこがえらく面白いから、小生もついつい眺めてしまう訳だが。どうしてそういう結果が出たのか、考えることになるから、えらく魅力的な題材なのである。

ただ、体裁はチョットだけ違う。そこがBBCらしさ。
コリャ筋が良い話かも知れぬから、大規模試験したらとの意見ありというトーン。
要するに、ポーリングが火をつけたビタミンC崇拝の、残党支援の記事である。

常識から考え、体内のビタミンCが増えたからといって、癌細胞を殺す効果が高まることは考えにくかろう。一方、正常細胞の細胞毒耐性が上がるとも思えまい。
理屈はないが、ともかく効いたぜという話はいい加減にして欲しいもの。そんな報告は五万とあるからだ。
もちろん、ゴミの中に真珠はあるかも知れぬ。しかし、当選確率はとんでもなく低いから、挑戦は止めとけということ。
もちろん例外はある。勘が冴えていそうな学者が、一寸調べてみたいと言い出した時。口に出さないだけで、なんらかの理屈を思いついた可能性があるからだ。

この記事だけではよくわからないところがあるが、素人でも、効いたと考えがちな理由を指摘するのは容易である。
副作用低減ならありえる話だからだ。・・・誰でもご存知のように、ビタミンCが欠乏すれば体調不良に陥る。従って、不足している患者に投与すれば、副作用低減効果が見られて当然。それだけのこと。
ビタミンCの過不足状況を測定する方法が無いのだから、不足患者が多ければ、効果顕著となろう。

そういう見方をすべしというのが、ポーリングの主張後の実証研究の結論ではなかったのかネ。

まあ、センセーショナルに映る記事を書くのがジャーナリストの性ということか。

(記事) Vitamin C 'gives chemotherapy a boost'By Helen Briggs BBC News 9 February 2014 Last updated at 01:50
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