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■■■ 健康の考え方 2014.3.18 ■■■


中国の鳥インフル対策の不可思議さ

中国政府はH7N9型鳥インフルを安易に考えているのではないか。
罹患者発生状況をいち早く知り、そこを封鎖すればなんとかなると踏んでいそう。こんな姿勢を続ければ、パニック発生もあり得えよう。この類の話は噂が噂を呼ぶからだ。共産党お得意の情報操作で乗り切れるものではないと思うが。
それより問題なのは、原因たる鳥類でのウイルス伝播を抑える気がなさそうな点。家禽流通に手を付けるのは面倒ということで、基本は野放しでいこうという方針に転換したように映る。
なにを考えているのやら。

ご存知のように、2013年上半期の罹患発生パターンは、パンデミックの端緒的様相を示唆していた。流石に、一大事ということで、家禽市場を閉鎖。都市部では徹底的に抑え込んだから、小生はこれならもう安心と見た。感染ルートを塞ぐことに成功した訳だし、このウイルスはもともと強毒性ではないから、ひとまず収束方向と考えたのである。

ところがドッコイ。
2013年末にかけ、ボロボロと罹患者発生。そんな馬鹿なである。・・・さらなるルート解明とウイルス撲滅に注力するのではなく、再びウイルス伝播を野放しにしたことを意味しているからだ。これでは早晩パンデミック化は避けられまい。WHOの専門家がどんなアドバイスをしたのかわからぬが、どうかしているのではないか。

おそらく、弱毒性ウイルスだから、問題が発生したら、その地域の家禽市場を閉鎖すればよいだけと考えているのだろう。つまり、罹患発生探知能力さえあれば十分という発想。

これは、単なる手抜き。
ヒト罹患者死亡との衝撃的ニュースが報道されなければOKということ。
つまり、鳥類にウイルスが蔓延してもかまわぬとの姿勢。

強毒性なら、感染した鳥は確実に死ぬから、対処的に動いても蔓延を阻止できる。しかし、H7N9のような弱毒性はそうはいかない。感染した鳥がすぐに死なないから、生きている間、ウイルスをバラ撒く訳で、汚染地域は拡大していく。鳥感染は野放しでかまわないという姿勢では、理屈上、そのうち、東アジア全域がH7N9ウイルスだらけになるということ。
そんな方向に進んでしまえば、ヒトへの感染機会は急速に高まる。鳥感染の進展が、閾値を超えれば、もうどうにもならなくなろう。

もう一つの心配は、非発症ヒト感染者の可能性について、何も語られていない点。すでにそういう人が存在しているなら、これはえらいことになる。ヒトの社会でもウイルスがどんどん伝播することになるからだ。なにせ、すでに、ヒト−ヒト感染は確認されているも同然。今のところ、その感染に継続性が無いため、たいしたことは無いとされているにすぎまい。だが、「うつる」という事態が社会にどのようなインパクトを与えるか考えるべきだろう。

まあ、案の定と言うのもなんだが、1月に入って、毎日のように患者が発生。旧正月帰省の大移動シーズンでこの先どうなるかと大いに心配したが、数が増える一方ということもなかったのが幸。

これだけ症例が集まれば、そろそろウイルスの巣窟もわかりそうなものだし、感染ルートがバラバラだとしたら、その理由も想定ができるのではなかろうか。
従って、まともに対処すれば、抑えることができるだろう。しかし、政治的に動けばパンデミックの引き金を引きかねない手のウイルスと思うが。
お蔭で、えらく気になる。

と言うのは、2013年後半から、共産党中央がこの分野での報道管制強化姿勢で臨んでいるようだから。
独裁国では、現場には都合の悪いデータを中央に流さない体質が染み付いているだけに、この動きは危険極まりない。しかも、ヘルスケアの仕組み上、医療を受けない層も存在している国だ。これでは、専門家が全体を俯瞰できかねる。

先が思いやられると思って、罹患者数を眺めているのだが、どういう手を打っているのか、下火になってきたようである。(3月14日に東大医科研の秋冬版集計表発表)
  2013年症例数
 10-12月 10
  2014年
   1月 127
   2月 99
   3月 10 (12日迄)

当初の対策通りに、家禽流通にメスでも入れたならよいが。情報が流れてこないので、どうなっていることやらさっぱりわからず。
ともあれ、なんとかなるということで、安易に考えてもらっては困る。何度でも同じことを繰り返すのは止めて欲しいもの。

      ***罹患者報告数***
1月 9日       浙江省1
1月10日 広東省2 浙江省2 福建省1 江蘇省1
1月11日 広東省2 浙江省1             上海市2
1月12日       浙江省2
1月13日 広東省2 浙江省2
1月14日       浙江省2 福建省1
1月15日 広東省2 浙江省1 福建省1       上海市1
1月16日 広東省2 浙江省2 福建省1       上海市1
1月17日       浙江省3 福建省2
1月18日 広東省3 浙江省3 福建省1
1月19日       浙江省3
1月20日       浙江省3             上海市2
1月21日 広東省3 浙江省3       江蘇省1
1月22日       浙江省2
1月23日 広東省1 浙江省5             上海市1
1月24日 広東省2 浙江省7 福建省1       北京市1
1月25日 広東省1 浙江省3       江蘇省1
1月26日       浙江省2       江蘇省1
1月27日 広東省2       福建省2 江蘇省1 1湖南省1
1月28日 広東省3 浙江省4       江蘇省1
1月29日 広東省1       福建省1 湖南省3 広西壮族自治区1
1月30日 広東省1 浙江省4       江蘇省1
1月31日 広東省4             湖南省1
2月 1日 広東省2 浙江省2 福建省1
2月 2日 広東省2 浙江省1       湖南省1
2月 3日 広東省2       福建省1 湖南省1
2月 4日 広東省1 浙江省1 福建省1 江蘇省1 広西壮族自治区1
2月 5日 広東省4 浙江省4             広西壮族自治区1
2月 6日 広東省1 浙江省1       湖南省1 江蘇省1 北京市1
2月 7日 広東省1 浙江省1 福建省1 湖南省1
2月 8日       浙江省1       湖南省1 江蘇省1
2月 9日 広東省1 浙江省1       安徽省1
2月10日 広東省1 浙江省1       湖南省1 安徽省1 
2月11日       浙江省1       湖南省1
2月12日 広東省3 浙江省3
2月13日  [−] 2
2月14日 広東省2
2月15日 広東省1              湖南省1 安徽省1
2月16日 広東省1              江蘇省1
2月17日                    湖南省1 安徽省1
2月18日                    湖南省1
2月19日 広東省1
2月20日 広東省1              安徽省1
2月21日 広東省1                    吉林省1
2月22日 
2月23日 広東省1
2月24日 広東省4
2月25日 広東省1
2月26日 広東省1 浙江省1       湖南省2
2月27日 江蘇省1
2月28日       浙江省2       湖南省1
3月 1日 
3月 2日 
3月 3日 広東省1
3月 4日      浙江省1
3月 5日 広東省1             江蘇省1 
3月 6日 広東省1
3月 7日 広東省1       福建省1
3月 8日 広東省2 
3月 9日 
3月10日 
3月11日 
3月12日                   安徽省1
3月13日 
3月14日 広東省1
3月15日 
3月16日 広東省1


(データ) 鳥インフルエンザ ウイルスH7N9関連情報 東京大学医科学研究所 アジア感染症研究拠点 http://www.rcaid.jp/news/avianflu.htm, 2013-14年秋冬 鳥インフルエンザウイルスH7N9の人感染確定症例数[PDF]
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