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■■■ 健康の考え方 2014.6.23 ■■■


食中毒考

生肉は注意して扱え。
・・・という大原則を無視する人が結構多いようだ。
なかには、生肉を子供に食べさせる方もいたりするのだから。そして、問題が発生すると、他人のせいにするのである。

英国では調理前に生の鶏肉を洗っているそうだが、その水しぶきが細菌を飛び散らすことになるから注意せよとの警告が出たという。僅か一滴だろうが、そこに少しでも菌がいればやられるから、的確な指摘と言えよう。
日本での細菌性食中毒発生のトップは、多分、このカンピロバクター菌。一年中発生するが、こんなところにも原因があるのかも知れぬ。

暖かい場所に放置すれば、鶏肉がすぐに細菌だらけになることを知らない人はいまい。細菌繁殖に向いた肉質の上、肉の表面に細菌が付着していることが多いからだ。

もちろん、豚肉にしてもリスクがある。肉汁が出るのでこちらの扱いも慎重にしないと泣く目に合う。
比較的発生しにくいように見える牛肉も、O157のリスクがある。こちらは即命にかかわったりする。
衛生状態の優等生ともいえる卵にしてから、サルモネラ菌フリーとはいかない。鶏の腸に棲んでいるのが普通なのだから、常識的には生卵は食べるべきものではない。しかし、皆さん生がお好きだから、問題が出ないように徹底管理しているのを忘れるべきではないだろう。もっともマスコミは、農家の平飼いニワトリの卵だから安全ですと語る人達をほめそやすのが常だが。

ともあれ、肉を触った手や、使用した包丁は、よく洗浄するのは当たり前のこと。俎板も、肉用は別にする位
の注意を払うべきもの。
いまさらのような話だが、流通の質が格段に良くなったので、安心しがちである。

そうそう、時々、手を怪我している人が調理している姿を見かけるが、どんなものか。
傷口に膿がたまったりするのは、たいていは黄色ブドウ球菌のせい。この細菌はこわいぞ。熱をかけたところで、できてしまった毒素は壊れないそうだから。

カレーでえらい目に合う人も少なくない。
夏こそカレーということで、作る人が多いから発生も目立つ訳だが、問題は、高温で煮込んだから菌死滅と考えがちな点。
高温になると自己防衛の仕組みを持つ菌もいるから、こんな見方をしているとそのうち確実にやられる。加熱を止めると、冷えたところからすぐに復活してくるのだ。
深鍋で大量に作ったりすると、すぐに冷まして冷蔵庫に入れるのは困難だから、どうなるかわかるだろう。まさに、嫌気性細菌増殖の最適状態を提供している訳だ。リスクは高いのである。

ついでながら、冷凍モノの解凍にも注意を払うべきだろう。
危険な細菌は嫌気性のことが多いから、長時間の低温解凍で美味しく頂こうなどと考えると、リスクをしょい込むことになる。
空気に晒しての解凍が無難。

生の魚介にも要注意である。
鯖や秋刀魚のアニキサスで皆さんご存知だが、最近はクドアという寄生虫も危険なのだと。ヒラメやマグロで発生したというから、これは厄介千万。
生の貝類も、相変わらず、確率的にノロウイルスに当たるようだし。

面倒な時代になったものである。

(記事) 未調理の鶏肉、水洗いで食中毒菌飛散英当局が警告〔AFP=時事〕(2014/06/19-13:17)
ヒラメ刺し身で謎の食中毒 原因は「クドア」日経[日経メディカル] 2014/6/15 6:30

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