表紙
目次

■■■ 健康の考え方 2014.8.21 ■■■


睡眠時間の話を読んで

メルボルンの住民は睡眠時間が最も長く、東京は最も短い。米国人は概してもっと睡眠時間が必要だ。」なる記事登場。
腕時計型の健康判定用活動量計測器メーカーの販売促進のためのデータ公開のようだが、いかにもWSJらしい紹介なのが面白い。

一般論として語ろうと言うなら、統計的には意味は薄いデータということを、記事が示唆しているからである。
要するに、150ドルもするこのようなガジェットを購入するような人々はどんな睡眠パターンか多いかがわかるというだけの話。
しかし、記事見出しだけが一人歩きする時代だから、都合のよい解釈がとび回ることだろう。

なんといっても注目を引くのが、東京が矢鱈に睡眠時間が短いというデータ。でも、納得のいく結果ではないか。
この手の「電子機器」モノをすぐに試したくなる人のイメージにピッタリだから。小生の偏見かもしれんが。

同様に、さもありなんと思ったのはニューヨークの1万人以上の活動パターン。
だいたいが0時になったら就寝、6時頃に起床だが、それより目立つのが午後6時ごろから活動が急に激しくなっている点。そして、休みの日は遅寝の遅起きだが、やはり、土曜の午前10時頃から午後4時ごろまで活発化しており、体を徹底的に動かしている可能性がありそう。
健康に気遣いながら、仕事に精を出す人々の典型的な暮らしぶりが垣間見える感じ。

おそらく、計測データに基づいて、推奨されてる方策で、健康維持に日夜精進しているのだろう。睡眠時間7時間を目指しながら、スポーツに勤しみ、「自己実現」に向かって邁頑張る姿が浮かんでくる。多分、食事内容にも神経をとがらしていることだろう。

まあ、昼型脊椎動物にとっては、夜の深い睡眠と日の出の刺激による爽快な朝の寝起きが、健康維持にとって大切なのは自明。それを目指すのは結構なこと。
しかし、それがストレスにならないのだろうかと、気にはなる。ニューヨーク型生活大好きな方は愉しいのだろうが、小生には、そんな生活はとうてい無理。それは不健康のモトと言われれば、その通りだが、精神的ストレスの方が余程体にさしつかえると見ているから真似する気にはならない。

一方、当然のことながら、のんびり過ごすために移住することが多い地である、フロリダ州オーランドになると、NY型パターンは消失。
しかし、こちらの方が健康であるとは限らないと思う。睡眠時間的にはベターだとしても、運動量極小になっていそうだから。そうなれば、代謝能力が衰えかねず、免疫機能弱体化の道を歩んでいる可能性もある訳で。
それに、オーランド生活の方がストレスに晒されないという見方にも疑問がわく。小生など、文化的刺激が少ない地にいると、かえってストレスを感じてしまうタイプだからだ。
人それぞれ。
セレブの主張する「健康生活」をモノ真似していると気が休まるなら、それも又良き哉である。

まあ、はっきり言えることは、凡庸なものだらけ。
 「食べ過ぎはよしましょう。」
 「寝過ぎもよしましょう。」
 「必要な栄養を確実にとりましょう。」
 「睡眠不足に気をつけましょう。」
 「体を動かすようにしましょう。」

重要なのは、このスローガンに同意することではなく、自分の頭で考え、自分の考えで、自分なりの健康維持方法を決めることでは。

例えば、小生など、健康診断そのものがストレスになる体質。
注射ショックまではいかないが似たような状況になることもある。世の中には、そういう人も少なからず存在するのである。
それを聞くと、注射が怖いのかとせせら笑う御仁もいる。ところが、そのお方も、医者に測定してもらうと、高血圧で要治療の数値になってしまうとのこと。そういう場合は、深呼吸して測り直してもらうと、日本人の平均的数値が出て、「ご心配におよびません。」と言われるそうだ。今度は小生の方が大笑いである。

なにが言いたいかおわかりだろうか。
平均的な睡眠時間とか、推奨パターンを参考にしたところで、それは深い睡眠と良い目覚めに繋がるという根拠は何もない。ストレスを始めとする、自分の生活環境に合わせて良かれと思う方法で寝るのが一番。

(記事) 「睡眠時間、東京は世界で最も短い?」 By STUART THOMPSON  2014 年8月18日19:58 JST WSJ日本版

 健康の考え方−INDEX >>>    HOME>>>
 (C) 2014 RandDManagement.com