表紙 目次 | ■■■ 健康の考え方 2015.4.7 ■■■ World Health Dayに想うこと WHO campaignsは盛ん。 3月24日はTB撲滅にギア入れヨだった。バリバリ働いている中堅層でもチラホラ発生しているし、老人罹患もあるようだから、もう少し注力してもよかった気もする。 昨年後半は2つ。こちらは低調な印象。担当者が力を入れても、社会の関心が今一つだと、難しいことがよくわかる。 World Hepatitis Day/18 June 2014 "Think again" World AIDS Day/28 November 2014 "Closing the gap in HIV prevention and treatment" そして、恒例のWorld Health Dayたる4月7日だが、 "How safe is your food?" 眺めてみたが、まともな提起。ただ、日本の現状を考えるとどのように働くか気にかかる。 第一は食。それは正解だと思うが、ここは難しい問題を孕む。 ミクロで不確実な情報を恣意的にバラ撒く風潮が加速化されているからだ。そんなものに食生活を乱されるのは馬鹿げているが、それが実態。そのため、食が大切とのキャンペーンはプラスにもマイナスにも働く可能性がある。 先進国で健康な食生活を保つための、あるべき基本姿勢は混乱を来たしている訳でもなく、とんでもなく厳格なルールを必要としている訳でもない。そこを伝えることこそが重要だと思う。 例えば、米国なら以下の14ヶ条で十分との主張があるが、こうした姿勢が大事だと思う。[source: "Infographic: 14 Keys to a Healthy Diet" by BERKELEY WELLMESS MARCH 26, 2015] 1 【食材のバラエティ化を図ろう】Consure a Variety of Foods 2 【総量には注意すべし】Keep an Eye on Potions 3 【野菜/果物は豊富に】Eat Plenty of Produce 4 【全粒穀物量を増やそう】Get More Whole Grains 5 【精製穀物・添加砂糖には上限を】Limit Refined Grains, Added Sugar 6 【魚・ナッツ類の食をさらに楽しもう】Enjoy More Fish and Nuts 7 【動物脂肪は削減へ】Cut Down on Animal Fat 8 【トランス脂肪類は回避】 Shun Trans Fats 9 【コレステロール消費の抑制も】Curb Your Cholesterol Consumption 10 【減Na・増Kの遵守】Keep Sodium Down, Potassium Uo 11 【カルシウムとビタミンDの摂取量は要確認】Watch Your Calcium and Vitamin D 12 【サプリメントの前に、食品選定ありき】Choose Food Over Supplements 13 【ドリンク類のカロリーは要点検】Be Aware of Liquid Calories 14 【飲酒量に上限を】Limit Alcohol どれもこれも、単純な指針に過ぎない。生活に余裕があるなら、苦も無くできることばかり。戒律のように考えるべきものではない。それに、人によって状況は違う訳で、自分の判断で適当に決めれば十分である。ようするに、取り過ぎなのか、はたまた過少なのか、判断する習慣をつけよというに過ぎない。 従って、もともとコレステロールやカロリーの摂取量が少ない状況にもかかわらず、金科玉条の如く「指針に従おう」とのことで、徹底削減を図ったりすれば栄養失調になったりしかねない。危険極まりにない「健康志向」が生まれている訳だ。日本では、そんな思想に陥っている人が少なくないのが現実。先ずは、どの辺りが、自分にとって問題が大きいのかの確認こそが重要だろう。 そういうことで、2つ目の「微生物の危険性認識」も気になる。日本でこんな話をすると、それは発展途上国問題と見なしがちだから。驚かされるのは、教育水準が高い層に、この辺りの基本知識を欠く大人が多い点。もしかすると、このような話は影響力ゼロの可能性さえある。 典型例をご紹介しておこう。前にも書いたことがあるが、工場生産のパンは黴も生えない「恐ろしい状況」にあるが、ご近所の手作りパン屋さんのパンは黴も生える「安全」が保証できる優れた食品であると臆面もなく語る人がいる社会なのである。ご本人が、自分は知的水準が高いと自信を持っていたりするからどうにもならない。 常識で言えば、細菌の危険性を知るが故に、工場は徹底的に減菌対策を講じてきたからこうなるのである。それができない状況とは、黴がうようよ浮遊する環境。その方が安全との主張を誇らしげに語る人を指導者と見なすのだからどうにもならない。どう見たところで、カルト的な反企業精神以外のなにものでもないが。 無農薬有機肥料栽培にしても、半分素人が扱えば、それは細菌バラ撒きの可能性がある。そんな泥がついた商品と生鮮物を同居させた販売のどこが衛生的なのかはなはだ疑問。ところが、それを「安全食品」と豪語する方がいらっしゃるのが現実。 なかでも飛びぬけているのが、鶏の平飼い飼育の絶賛論。もともと卵に糞が付いている可能性があるからこそのケージ飼育化だったというのに。しかも、そのようなリスクがあることが知られている卵の生食をお勧めされていたりして。常識もなにもあったものではない世界が生まれつつあるということ。 なにせ、ミルク本来の味は、殺菌前でこそわかると曰ふ方まで登場しているのだ。命知らずの行為は、ご自分だけに留めて欲しいもの。 このような状況を見れば、日本では、危険物質摂取問題の取り扱いに注意を払う必要があることがわかろう。 特に、重金属や黴毒に関しての感覚が相当にズレているように見える。 なんといっても重要なのは、リスクという観点から、かなり多く摂取していそうな物質を認識すること。日本では、これが全くできていない。と言うか、それを阻害しかねないキャンペーンだらけと言った方がよいだろう。意味が薄い主張が横行しているために、肝心なことは何も伝わらないのである。関心を集めるのは、実践的には、リスク低減にほとんど寄与しない問題ばかり。危険と大騒ぎすることが「正義」と勘違いしているのだろう。 例えていえば、焼き魚と黴毒アフラトキシンのどちらの発癌リスクを重視するかという話のようなもの。後者については知ろうともせず、ただただ焼け焦げは危険だから、すべて徹底的に取り除くべしと大合唱するようなもの。確かに、焼け焦げには発癌物質が存在している。しかし、それを摂取ゼロにしたからといって、現状の平均的な日本人の食生活を続けている限り、発癌リスクの低減には全くつながら無いというのが、算数での推論である。一方、アフラトキシンのリスクにはかなりさらされている筈である。しかし、全くの無関心状態が続く。 ついでながら、おそらく、焼き魚より燻製の方が、食材の発癌リスクでは上にくる筈。単位重量辺りの発癌性物質量で見るからだ。乾燥させた鰹節などかなり高くなるに違いない。しかし、そんなものを100g食べる訳がない。人体側の発癌性物質量総摂取重量で見ればほんの僅か。そんな問題に頭を使うのは時間の無駄では。注視すべきは、発癌性物質摂取全体のなかでシェアが高そうなモノ。 日本の問題は、メージャーなものをはっきりさせず、明らかにマイナーなものに大騒ぎするという体質。 残留農薬にしても、同じ観点で見れば、すでに重要な検討対象ではなくなっている。と言うか、使わないことで生まれるリスクの方を注視すべき時代に突入していると言った方が正確だと思う。その辺りも、お考えになった方がよかろう。 小生は、こうした合理主義的思考を忌避することこそが、日本が抱える最大のリスクと見る。 典型例を語っておこう。肝炎ウイルス伝染は、食器の高温洗浄で止めることができるが、未だに、気持ちを込めた手洗いをするお店が褒め称えられる社会なのだ。精神論で戦う姿勢を見せる人を称える体質は危険である。 (今後のWHO campaigns) World Immunization Week・・・24-30 April 2015 "Close the immunization gap" World Malaria Day・・・25 April 2015 "Invest in the future. Defeat malaria" World No Tobacco Day・・・31 May 2015 "Stop illicit trade of tobacco products" World Blood Donor Day・・・14 June 2015 "Thank you for saving my life" (C) 2015 RandDManagement.com |