表紙 目次 | ■■■ 健康の考え方 2015.6.10 ■■■ MERSへの泥縄式対応を眺めて 9日の発表[韓国 中央MERS管理対策本部]によれば、韓国のMERS感染状況は以下の通り。 感染者計 95人 うち死者 7人 隔離対象者 2,892人 この疾病、同じコロナウイルスだからか、初期症状は感冒とよく似ているそうだ。ただ、すぐに高熱症状を呈し、肺炎に至ると言われている。風邪と違って恐ろしいのは、致死率が異常に高い点。 しかし、韓国の状況を見る限り、健常人は免疫力でなんとか回復可能な疾病のようである。 今のところ、感染発生は6箇所の病院内に限られているようだ。しかも、サムスンソウル病院と平沢聖母病院に集中しているから、隔離者管理を怠らなければ次第に収まっていくと思われる。 ただ、感染者滞在病院が18箇所もあるし、韓国では、病人は医療機関を転々とする習慣があるようだから、隔離者認定に漏れがあったり、隔離がいい加減だと、えらいことになる可能性は捨てきれない。実際、隔離者が動き回っている例があるらしいし。 それにしても、一ヶ所でたった一人から40人近くが飛沫感染するとは驚き。一体どのような医療環境なのだろう。外来待合という話ではないようだが、さりとて感染症だから、密集ベッド状態とか、来訪者に伝染というのも考えにくいし。 もともと、感染力はかなり弱いウイルスとされていた筈。そうなると、今迄、見誤っていた可能性もあろう。 WHOの専門家チームには、その辺りをしっかり評価して欲しいもの。 ただ、季節的に、これからは、この手のウイルスが棲みにくい、高湿度環境になっていくから、なんとかなると期待したいところ。 現状で一番の問題と思われるのは、韓国政府にリスクコミュニケーションの発想が全く感じられない点。古典的な官僚組織なのかも。それに、日本政府と違い、MERSを特別扱いしていなかったようだから、リスクを軽視していたということもあろう。 この状態だと、韓国政府の対策は空回りしかねまい。 ハングルが読めないので、その実態はよくわからないが、まともに情報を「正しく」伝えてくれるのは保健医療労組-MERS板書[→]というのも、特筆モノ。公的機関のリリースは文字だらけでさっぱりわからず、情報量もたいしたことはなさそう。 まあ、医療関係者が一番リスクに晒されているのだから、当然の結果と言えないこともない訳だが。 しかしながら、政府が情報開示しない方針と表明してきたにもかかわらず、情報は漏れ続けて来た。これは、リスク管理のイロハができていないことを意味する。 儒教文化にどっぷり浸かっている国だからこうなるのはある程度致し方ないとはいえ、・・・。 (C) 2015 RandDManagement.com |