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■■■ 健康の考え方 2015.12.5 ■■■


コーヒーの効能記事について

コーヒーを飲みながら、はてさて何を書こうかと考えていたので、本日はそれをネタにした。

そうなるととりあえずは英国の大衆紙である。

面白記事が多いからである。年中、飽きもせず、「長生きできるかも?」的トーンで研究論文を紹介している。互いに競っているようで、時に踏み外した報道も。
ところが流石科学好きの国だけあって、そうした内容に逐一目を通している専門家集団が組織化されている。すかさず「真面なモノの見方」を発表する。それを読む人はそうはいないと思うが、余りにヘンテコな方向に進まないよう歯止め役を果たしているのは確か。
この点で、日本の風土とはかなり違う。日本など、胡散臭い方々のコメントが並んでも、それっぱなし。そんなことより、公的組織の対応がどうのこうのといった批判が多い。たいていは、それに反科学的な思想がまぶされる。この手の意見が横行するのが日本の特徴。まあ、触らぬ神に祟りなしということだが。

余計な御託はここまでにして、目についたのは端的なタイトル。相変わらず、一日何杯が良いかのお話かと思ったらそうではないようだ。・・・
"Drinking three cups of coffee a day (even decaf) could help you live longer, says Harvard"@The Telegraph 16 Nov 2015。

マ、眺めるなら、これよりは、趣向を凝らした記事がよいか。亀の漫画が面白いし。・・・
"Could five cups of coffee a day help you live longer? Drink found to reduce chance of heart disease, Parkinson's and Type 2 diabetes thanks to compound in the beans"@Daily Mail 17 November 2015 [→]
正直言えば、3〜5杯の上限をとっているので好感が持てるということ。

紅茶の国も、そのうちエスプレッソ好きだらけになるのかもと考えたりして。

このサイトでも随分とりあげているような気がするが、この手の話は定期的に出される。逐一見てはいないが、この報道のトーンから想像するに、タネとなっている論文は優良研究とのお墨付きがついていそう。

もちろん、小生は、又か感覚以上ではない。コーヒー好きなので、それは嫌いというより、ついつい読んで喜ぶ訳だが。落語を聞いているような気分であり、内容に興味があるのではない。

この研究は、ハーバード主宰のボランティア統計(30年間4年毎のアンケート調査)がベース。
素人からすれば、フーン程度。コンピュータ能力が向上したから、データさえあれば、様々な解析ができるのはとっくに知られており、今更、データをとっくりひっくり返したところで新しい知見などたいしたものが出る筈がないと見ているからだ。
ただ、その数なんと20万人なので、疫学的な最終確認には絶大な力を発揮するのは間違いないとは思うが、いかんせん母集団の特徴を定義できないから、今一歩。

だいたい、この手の調査は知的刺激を与えないものになりつつある。いい加減な母集団で出したデータを振りかざして大騒ぎする連中だらけになっているからだ。こちらは、胡散臭い結果だらけだが、マスコミを使えばいかにも新発見の素晴らしき効果ありが判明したように見せるのは簡単だから、米国の流れはそちら。
こまったものだが、ベンチャー振興体質だから、副作用致し方無しということなのだろう。
おっと、又、本論と違う話に。

マ、一日3〜5杯くらいのコーヒーを飲むような人達は健康で優位に立っていそうだということを確認したということのようだ。
そんな生活スタイルなら、健康上での違いがあるだろうと思うが、そのような見方をしてはいけないらしい。喫煙、肥満、運動、飲酒、ダイエットの影響を考慮した上での結論だからだ。

だが、思った通り、自殺のリスクは低い。

それに、癌の死亡率では違い無しだそうな。ここらの指摘は重要。精神衛生上の差違があっても、癌を倒す力には変化なしということでもあるから。好きなことでもして、のんびりしていれば、癌への抵抗力向上とはならないかも。
ムムー、予想とは違うな。

もっとも、小生の読みとは違い、この研究成果は小さなものではないらしい。
コーヒー成分がインシュリン代謝機構や抗炎症作用機序に係るから、疫学的数値でも見えてきたと解釈すべきものらしいから。

小生のようなコーヒー好きには大いに結構な研究結果だが、健康にとって重要なのは、個々の摂取微量成分の多寡ではなく、全体を俯瞰して大きく効いている生活スタイルは何かという方では。
そう考えると、一日コーヒー3杯程度で、本当に大きく影響するものだろうか、となる。

糖尿病を防ぎたいなら、先ずは大量のカロリーを一度に摂る生活から足を洗うことが出発点だろう。そして、体に余り負担なく、そのカロリーを消費すること。その程度でもかなり防げるものなのではなかろうか。
そこはそのままで、一日コーヒー3杯で糖尿病回避を狙うなど本末転倒。

(Source) Moderate coffee drinking may lower risk of premature death Harvard Chan Press Release November 16, 2015

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