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■■■ 健康の考え方 2016.2.1 ■■■


反砂糖運動にどれだけの意味があるか

砂糖を目の敵にする流れが奔流化し始めたようだ。

欧米ならそれは手っ取り早い肥満人口減少策であるのは間違いないだろう。
欧米の最大の肥満原因など、調査などしなくても自明である。活動に必要な量に比して、摂取カロリー量がとてつもなく過大というにすぎまい。通勤は自動車で、オフィスにてデスクワーク、帰宅すればソファーで寛ぐだけなのに、食べる量は半端ではないのだから。
この習慣を止めればよいだけの話だが、これができないに過ぎまい。

まともな指針を専門家が打ち出しても聞く耳もたぬ人だらけだの社会ということ。そうなると、大量に飲んでいるドリンク類の砂糖削減を狙う施策に靡くのはよくわかる。

そうなると、飽和脂肪悪し説の喧伝から、砂糖は危険物質と決めつける動きへとシフトすることになる。前者は高カロリーの筆頭でもあるから、目のつけどころは良いが、この先カロリー量減少を果たす役割はそれほど期待できないのは確か。

ただ、これを日本に持ち込むのはどうかネ。
中高年は短時間に高カロリーを摂取することになりそうな砂糖摂取をしてるようには思えないからだ。そんな可能性がある人だけ注意すればどうということもないように思うが。
コーヒー程度の砂糖など、一日摂取カロリーで見れば1%程度だろうから、そんなことに精力を費やすのは損だと思うが。

すぐにブドウ糖になる砂糖は、迅速な脳細胞エネルギー供給源でもあり、一気に大量摂取することを避ければ、そこまで敵視する必要はなかろう。
そもそも、II型糖尿病というのは、インスリンが出ても細胞の反応が鈍いので高血糖になってしまう疾患。これを、素人的に解釈すれば、脳細胞が、筋肉等でのブドウ糖消費をさせないように指示していることになる。つまり、脂肪分解がさっぱり進んでいないので、そのままだと脳がブドウ糖不足に直面しかねず緊急事態と誤判断したことを意味していそう。
ともあれ、消費が抑制されている時に、膨大な糖分が供給されれば、血液は高血糖になり身体的にただならぬ状態になる訳だ。

そんな見方をすれば、糖尿病予防には、脂肪をブドウ糖に変える活動の低迷を防ぐことが第一義的に重要なのではなかろうか。そして、脳の正常な判断を回復させること。つまり、脳細胞に必要な栄養成分を過不足なく摂取することにつきるのでは。摂取カロリー量が多いため、欠乏しがちな成分があったりするのが一番まずかろう。

肥満はあくまでも結果。
重要なのは、脂肪をつけたり、燃焼させたりの繰り返しを活発に行える能力があるか否かでは。この機能が活発なら、砂糖摂取は決して悪くないと思うが。

(報道例)
"Yet MORE evidence that fizzy drinks are harmful: Just one can a day causes dangerous fat to wrap around major organs." Daily Mail, January 12 2016
(それに対応する専門家の意見)
"Sugary drinks linked to increased fat levels around vital organs" January 12 2016 NHS Choices
(当該論文)
Ma J, McKeown NM, Hwang S, et al.:" Sugar-Sweetened Beverage Consumption is Associated With Change of Visceral Adipose Tissue Over 6 Years of Follow-Up." Circulation on American Heart Asso. January 11 2016

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