表紙
目次

「我的漢語」
2014年12月3日

「鼓」文字を考える

八音では、タイコこと、鼓は"革"楽器である。
 鼓[コ,つづみ]/𩉨/()---「支」は竹枝(撥・・・桴)
様々な形のものがあり、名前も色々。
 小堂鼓、鼓、大鼓
 鼓、戰鼓、排鼓、板鼓、等々。
 晉鼓、建鼓、應鼓といった名称展開も。

但し、鼓は、一文字もあるから、桴(バチ)拊か否かで「鼓」とは別分類になるのかも知れぬ。
 / or ・・・柄付の振りつづみ(所謂、"デンデン太鼓")
特別扱いするタイコも少なくなかったようだ。軍人や官僚に指示命令を伝えるために作られたものだらけだったということか。
 ・・・軍団用大型太鼓か
 /䩿・・・陣太鼓
 ・・・騎兵用小型の鼓
  or 𪔳・・・時刻打ちの鼓
 ・・・夜番の時刻打ち鼓
もちろん、文字としては、タイコではなさそうなものもある。
 目偏・・・瞽(めしい)
 肉月・・・
 (草)偏・・・ 

「鼓」は偏がタイコの象形文字で、旁がそれを打(撥)つ桴(バチ)である枝を示すという。従って、正確には、タイコそのものではなく、タイコを打つという動作を示すようだ。
本来なら、皮革を張ったものということで、「皷」がタイコそのものなのだろう。
尚、旁だが、本来は「支」ではないという。が正しいらしい。

」=「士」(上部)+「口」(胴)+「_」(台座)ということ。
上部はどう見ても「牛」だ。これが飾りとは思えないから、牛皮を意味しているのかも。そうなると、皷と表記するのは意味が無さそうだ。
」は「豆」と似ているが、豆の上部は蓋らしいので、タイコとは無縁な文字とされる。まあ、ソリャそうだろう。
しかし、「豈/」になると、上部は一種の飾りらしい。ひょっとすると、戦闘用タイコかも。
そう推定するのは、鎧(ヨロイ)が戦闘用というだけで、根拠薄弱だが。余りに素人発想か。

さて、「」の展開だが、思い浮かぶのはなんといっても樹木。
これは立木という意味だがさもありなんである。
なんとなれば、という文字があり、旁の寸とは手であり、立てるという意味になるそうだから。これなら木偏を付ければ樹である。
納得。

しかし、になると、水だ。潤うということで、恵みの雨という意味。うーむ。
ま垂れ[广]だと廚だし、がん垂れ[]になると、厨房として馴染みの言葉になるが、どういうことなのだろうか。タイコを叩かれ、料理人が時間に追われて立ち働きする場所ということかネ。

そう言えば、膨張という、よく使う言葉がある。こちらは、肉月偏に旁が彭である。彭は、で、旁は音が流れ出る様を現す。つまり、タイコの音が広がっている状況を示すことになる。
まあ、なんとなくわかったようなわからないような感じ。
鐡になるとお手上げ。

せっかくだから、漢字の部首「口」とは祝詞容器と看破した白川静的見方で、を考えておこう。
すぐに思い浮かぶのが、「口」を加えた漢字「喜」である。普通は、人々が喜ぶのだから、飲食シーンか、歌うシーンを指す文字とみなす訳だが、それは間違いとなる。
口は、人体の「くち」ではなく、祭祀器「サイ」だから、神の喜楽と考えねばとなる。
そうかも知れぬ。
そう感じるのは、嘉とは、にさらに「加えた」という"ナンダカネ〜"説明を見かけたりするから。文字の形成過程を眺めれば、どう見ても、手のような部首が加わっているのだから、それを無視する訳にもいくまい。それは、/(スキ)らしい。()つまり、農耕儀礼の表象ということになる。成程そういうことか。
ただ、偏の場合は、それを省略した「喜」もありうるのかも。
 ・・・礼吉
 ・・・歎声
 ・・・酒食
 ・・・
 、等々。
ここらを眺めると、もともとの鼓は呪術的祭祀用具で、国家的に利用されるようになって役割が大きく変わったということか。
 (C) 2014 RandDManagement.com