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「我的漢語」
2015年1月9日

2014漢語盤点

2014年末は恒例の象徴的「漢字」の発表。そんなニュースが流れるのはせいぜいが正月3が日まで。皆、すぐに忘れる。そういった程度のもの。
どうせ、縁起でもない文字が選ばれるから、書の行事と組み合わせての発表習慣は日本以外では行われていないと考えていたが、ハズレ。台北では、海峡両岸の書家が揃って揮毫することになっているようだ。

日本 
経済ネタの漢字は実につまらない。生徒の書初め展の優秀作品を思わず思いだしてしまった。「初日の出」というのが古典的お題だが、なんと「青色申告」に出会ったことがある。親の苦労を見ている姿が目に浮かぶ達筆だった。税務署の特別賞受賞作だったかは、うろ覚えなので、定かではないが。
2位は熱。米国での発想をそのまま真似るところがいかにも日本的。
3、4位が嘘と災で、ここらが社会ニュースとして一番飛び交った事件の象徴といえそう。前者は偽造と詐欺の合体で、後者は噴火、豪雨、墜落を日本的な悲しみに昇華させた文字といえそう。
   日本漢字能力検定協会 「今年の漢字」 [PDF]

中国 
四中全会の議題は「法治」であり、その一大スローガンは依法治国だから、予想通りの漢語盤点。国家語言資源監測語料庫から選んだものらしい。もちろん、これは国内での話で、海外的にはなんといっても馬航。国威発揚の北京APECや月球探測器嫦娥五号は霞んでいそう。
   人民網日本語版 「今年の漢字、中国は「法」 日本は「税」」

従って、馬航の地の中国語圏で選ばれる漢字は自明。
マレーシア[馬来西亜] 
馬来西漢文化中心+馬来西亜中華大会堂総会の選定であり、航が1位なら、2位は難に決まっていよう。要するに航難。
もっとも、これを突発的なものとして除外すると、日本同様に税である。4月からの待ったなしの消費税が控えている訳で。目前馬来西亜社会物価悄悄調整ということ。
   聯合早報 「航字当選馬来西亜年度漢字」

虎退治でしか、政策転換ができかねる大陸とは違う体制であると自負していた筈の台湾でも悪事が露見。
台湾 K
黒心と黒心企業が怒りの矛先になった訳である。2位以下は、餿、油、怒、食、仮、偽、混、怨、崩、と碌でもない文字が並ぶ。
   聯合新聞網 「2014代表字「K」 明年可否找回「愛」… 」

大陸も台湾も、腐敗撲滅論が沸騰している訳だが、どちらの政府も腐敗そのものに関心がある訳ではなかろう。どのようにして力を維持するか、まさに考慮のしどころ。
その悩みを図らずも吐露したとも言えそう。
両岸[中国・台湾] 
中国共産党シンパの与党が選挙で敗退したので、良い方に転じよという祈りでは。
   人民網日本語版 「2014年の両岸の漢字が発表 「転」」

それは対岸の火事という訳でもない。
沖縄 
幕切れと勘違いしそうだが逆。独立運動開幕なのかも。
   琉球新報 「<社説>2014年回顧 新たな時代の幕が開いた 犠牲拒む意思を示した年」

結局のところ、世界を一番良く見ているのは都市国家の人達ということになろうか。
シンガポール[新加坡] 
「時局乱,人心自然乱!」で「感受比較深刻」ということ。集票は四分の一であり、イスラム国の組織的恐怖主義級端分子もあるし、泰国、台湾、香港、等での爆発激烈街頭抗争運動が強烈な印象を与えたようだ。流石、世界をよく見ている。
   聯合早報 「本地読者投選“乱”字当頭」

「乱」はまさにドンピシャでは。その感覚なき社会には危うさを感じざるを得ない。
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