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「我的漢語」
2015年8月20日

龜文字一瞥

「龜」という部首があるが、日常使われる漢字とは言い難い。しかし、爬虫類であるカメを指すことはわかる。それなら、書けるかと言えが、似たものにはなるが正確には思いだせないのが普通。
そんな文字を逍遥してみたくなった。諸橋辞書で。

何故、この文字が簡単に読めるのかは甲骨文字を見れば誰でもが納得するのではなかろうか。カメの姿を横からみれば、さもありなんという上出来のフォント。余りにピッタリすぎて、まさに拍手喝采である。
しかしながら、画数が多いからどうしても使われなくなる。
例えば、勝鬨の声で知られる、「戦い構え」に組み入れられた文字もあるが、小生は見た覚えがない。いかにも、亀甲を用いた占いを思わせ、成程感があるが。もっとも、占い自体が遠の昔に無くなってしまったからいらなくなってしまったとも言える。
 鬨+龜=

当然ながら、龜のまま通用する訳もなく、略字化される。

 →[略字]→

これが大問題。漢字ではよく発生するパターンであり、もともとは全く関係ない文字なのに、同じ部首のように見えたりする訳である。上の鬥で例をあげるなら、決闘。「門構え」では意味がわからぬが、決鬪となればソリャソウダとなろう。

そこで使われるのが、よく似た部首。
 
こちらだと画数が少なく複雑ではないから、書けるかも。但し、それはこの文字ではない。
 虫+黽=の部署として。
 糸+黽=(縄)もあげることができるか。
この文字自体は、アオガエルとされている。
しかし、普通に使っているカエルの文字は違う。黽は書くのがえらく面倒なので、こちらにした可能性が高そう。圭はおそらく、当該カエルの鳴き声。
 虫+圭=
 圭+黽=・・・これが本来の文字では。
そう思うのは、いかにもカエルの鳴き声にしたくなるような文字があるから。
 曷+黽=𪓮

ヒキガエルはカエルとは異なるというのが、日本を除いた、世界的な見方だが、こと黽の世界ではヒキガエル相当の文字は色々あるようだ。日本はそれを見習ってしまったということだったか。
 𪓜、  、 、と色々。
 句+黽=𪓞 or はカエルではないか。

堅い鱗で獰猛そのもので、カエルとはえらく違うと思うが、こちらはどうなのだろうか。ワニが魚偏というのは解せぬのだが。
 魚+咢=()
 +黽=・・・独立した象形文字かも。
𪓔の冠は角である可能性があるから。蛟龍を指すらしい。
まさか、𪓷が、鶏肉味である鰐肉ということはないとは思うが。常識的には蛙肉ということかナ。なにせ、食い気第一の中華文化である。

水棲ではない異質な動物も。
蠅や(鰐)を見ると、腹ボテ姿だから、その辺りの概念かネ。
 虫+朱=蜘
 朱+黽=

ちなみに、水棲生物という点では、関係しそうな文字もあるが関係はよくわからない。
 魚+黽=、 (水)+黽=

龜と違って見易い部首だから、繩以外にも、文字は色々あるようだ。余りつかわれてはいないような気がするが。こんなところはなんとなく馴染み感をさそう。
 冥+黽=、 (邑)

さて、本題的なカメに戻ろう。

「黽」の甲骨文字を見ると、背中から見たカエル姿と言われると確かにそうかもという気にはなるが、ゲンゴロウの方が似ている。両者は同一のカテゴリーかも。
龜の甲骨文字を見てしまると、黽はカメとは思えなくなる。
ところが、その発想がかたまった瞬間、すぐに裏切られる。ゲンゴロウは黽ではなく、龜なのだ。
 子 or 龍蝨(龍虱)

生物学で習うカメ類では、陸に揚がらないスッポンやウミガメ類は、黽とされているから、結構いい加減な概念なのかな。
なにせ、実際、黽も龜もあったりするのだから。
<カメの1種>
 央+黽=𪓛
 央+龜=𪚻
<スッポン一般>
 敝+黽=・・・現在もこの字。
 敝+龜=・・・するとコレは?
スッポンは底棲のようで、カエルの腹とは違うとはいえ、他のカメと違い柔らかいし、水掻きが顕著である。どちらに着目するかということだろうか。
<これはナンダカネ>同じものを指していると思うが。
 皮+黽=𪓜・・・ヒキガエルの一種
 皮+龜=𪚷・・・カメの一種

<ウミガメ>
 旦+黽=・・・ウミガメ (朝日の海を泳いでいる情景か。)
 辟+黽=・・・オオウミガメ (「辟=尸[人]+口+辛[刑罰に用いる刃物]」であり、霹靂では雷の一種だし、完璧だと傷無し玉になる。海底の大王のお遣いということか。)
これに関係していそうだが、オオスッポンかも知れぬし、はっきりしている訳ではないものも。魚でもあるというのは解せぬ訳で。
  

以下は、ウミガメかスッポンかなんともいえぬだろう。根拠なき素人感覚の判定にすぎぬが。
 元+黽=黿、 兒+黽=𪓬
麻+黽=𪓹はカメ臭いし、 弭+黽=𪓯、 臼+黽=𪓢になると大型かも知れぬ。

黽ばかり見てしまったが、ここらで本丸の龜に入ろう。
最初に例外。
 去+龜=𪚸・・・ヒキガエル(本当かいネ。)

印象的なのは、いかにも亀占卜なもの。もっとも、中華食文化を考えると、亀スープや亀焼きの可能性も無いとはいえないが。
 火+龜=𪚱、 龜+𪚰
だからこそ、靈的カメの𪛈
そうそう、気になったのは、𪛁とは、「秋」の異體字らしいこと。穀物の実りとカメが関係しているということか。

カメの種類と文字の対応は無理である。ただ、アルビノの正反対のカメを指す文字ははっきりしているようだ。まあ、真っ黒なカメもいるとは思うが。
 主+黽=𪚹・・・烏カメ (♂蛇+♀亀の玄武が黒色ということだから、特別なカメかも。)

カメ話はこんなところが精々。
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