■■■ 「說文解字」 卷三 を眺める[8]  ■■■
巻三には<卜>部がある。(卜 卦 卟 貞 占 𠧙 𠧞)
ここは、読み応えあり。

「古事記」では"ふとまに"は国生み成功に繋がる結節点的なイベントだし、天岩屋戸でも鹿卜が挙行され、鍵を握る役割を果たしていることがわかるからだ。(古代の意思決定上の重要な祭祀行為だが、中華帝国は亀甲卜法で倭とは異なる。しかも、鹿骨を使っているから、倭人社会は北方民族系のアルタイ狩猟系文化濃厚としてしまいかねない。しかし、ツングース系を介すればシャーマニズム/巫の色合いがある筈で、その辺りの影響は余り感じられないので、ママそうした説を受け取るべきではなかろう。「魏志倭人伝」の記載から見て倭人はあくまでも骨卜。実際、猪、莵や海豚/入鹿も使われていた訳だし。平城京以後は公式亀甲卜となるが、俗的には牛馬骨卜になった。古代の骨卜は、灼剥に波波迦の樹皮を用いるところがポイントと考えた方がよいと思う。忘れ去られたのは、熱した金属箸を差し込む方法に代替されたから。)

中華帝国から倭に伝来した方法は、3種あると考えると、文字から状況がほぼ推定できる。・・・

【卜[象灸龜之形]
卜  …亀甲卜@殷(灼剥龜による𠧞[灼龜坼]検分)
貞  …貝卜(探湯"くがたち" 湯鼎卜)
圤  …土卜(塊"つちくれ"であるが。)

【占(視兆問)
卦  …圭占(複数枚土器/𡋣占)
 …蓍占(蓍之徳圓而神卦之徳方以知)=鋸草@周
    ⇒筮占(竹占)

【式盤(易方位)】…同時的遊戯用具化
     →roulette[F.]@18世紀

上記には、多少、説明が必要だろう。

この3分類の肝は、易で用いる筮竹は明らかに竹占で、竹卜では無いこと。卜が裂け目の象形で、それは巫視見立てを意味していると考えればそうならざるを得ない。
どう講釈されようが、筮竹の本質は陰陽の乱数発生。コインのトスとなんらかわりはない方式。そうなれば、その竹占での陰陽視認用語に卦という文字が使われる理由を説明できるストーリーは1つしかなかろう。
筮占以前は、凹裏面が形成された祭祀土器によって、土地廟で巫によって占われていたと。
但し、この想定にはなんらの証拠がある訳では無いし、<土>部に属する圭(瑞玉)や封(爵諸矦之土)文字のイメージが被さるから、卦を占用土器と推定することには躊躇しがち。

しかし、周代の陰陽占は鋸草を用いており、竹ではない。(蓍が鋸草であるとの確定は無理。間違いの可能性も。1株百茎的に山野で繁茂する多年草が選定されたと考えればよいと思う。倭人の水辺の葦に当たろう。尚、ノリ面で見かける目途萩は別種で草丈1m。茎は木質。)変更されたのは、渡来竹派の巫の力量が圧倒的に優っていたので、儒教的合理主義を志向する官僚が採用したからだろう。(「易」は、子の言葉が当たり前の様に引用されているから、儒教勢力編纂書。)
竹派の巫という表現は奇異だが、単に火炎が関与する土器使用を避け、"竹根"製杯に似た祭祀用具を用いたに過ぎない。(現在でも竹根製占用具は使用されている。)南方の巫は土着だが、流浪身分で組織も無く、中原と違い臣下という訳ではない。
残念ながら、<竹>部に当該器具の漢字は収録されていない。
筊杯/珓杯(ポエfortune stick)表平-凹・裏凸の三日月型2個一組。出目で神意を問う。
  


㗊舌干𧮫只㕯句丩古十卅言誩音䇂丵菐𠬞𠬜共異舁𦥑䢅爨革鬲䰜爪丮鬥又𠂇史支𦘒聿畫隶臤臣殳殺𠘧寸皮㼱攴教卜用爻㸚 

巻二 

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