「說文解字」[09b]

巻九には、儒者からみた社会風土が余すところなく示されていて、傑作な文字系譜と云えよう。

　巻八①人→巻九①鬼→②嵬→③山→④屵→⑤厂→⑥石

鬼神とは死者の魂でもあり、宗族霊として族長から認定されて祭祀対象に含まれていない彷徨える死霊ということ。(死去した、乳幼児や未婚の男子は基本ノンメンバー。女性は付属的地位であり考慮の対象ではない。)物の怪的な霊とは、こうした死霊の類縁であって、動きを見つけたら即座に叩き潰す対象。自然物(山/磐)に宿る霊への崇拝は「山海経」が示すように古代信仰そのものだが、それを唾棄すべきとする儒教的観念は水と油。

以下「古事記」用例。
人→①鬼─
"鬼":　非使用
　　　"魂"：　宇迦之御魂神　大國御魂神　專爲我御魂
　　　　　　　　　　　　底度久御魂都夫多都御魂阿和佐久御魂　布都御魂
　　　　　　　　　　　　我之御魂　墨江大神之荒御魂
　　　"醜"：　因甚凶醜　以姿醜被還之事
　　　"魄魔魑":　非使用
─①鬼─②甶┤
"甶":　非使用
　　　"畏"：　17用例
─①鬼─②厶┤
"厶":　非使用
　　　"嵬":　非使用
─①鬼─②嵬─
"嵬":　非使用
─①鬼─②嵬─③山─
"山"：　160用例
　　　"岡"：　8用例
　　　"崇"：　非使用　　[御眞木入日子印惠命＝崇神天皇]
　　　"嶺"：　初降于高千嶺(序の漢文)
─①鬼─②嵬─③山─④屾┤
"屾":　非使用
─①鬼─②嵬─③山─④屵─
"屵":　非使用
　　　"岸"：　岸田臣
─①鬼─②嵬─③山─④屵─⑤广┤
"广":　非使用
　　　"府"：　府無空月(序の漢文)
　　　"廬"：　黑田廬戸宮　檜坰之廬入野宮
　　　"庭"：　16用例
　　　"序"：　齊五行之序(序の漢文)
　　　"廣"：　15用例
　　　"廁"：　朝署入廁之時
　　　"底"：　13用例
　　　"庶"：　13用例
　　　"廂"：　「其廂人先忌矢可彈」　伏隱河邊之兵彼廂此
─①鬼─②嵬─③山─④屵─⑤厂─
"厂":　非使用
─①鬼─②嵬─③山─④屵─⑤厂─⑥丸┤
"丸"：　12用例
─①鬼─②嵬─③山─④屵─⑤厂─⑥危┤
"危":　非使用
─①鬼─②嵬─③山─④屵─⑤厂─⑥石┤
"石"：　79用例
　　　"破"：　14用例
　　　"碓"：　雀爲碓女　大碓命小碓命
　　 ⏩続

❾𦣻面丏首𥄉須彡彣文髟后司卮卩印色𠨍辟勹包茍鬼甶厶嵬山屾屵广厂丸危石長勿冄而豕㣇彑豚豸𤉡易象　⇒

│　巻八
①人
├┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
│②②②②②②②②②②
│儿尸毛老衣身臥𡈼从𠤎
││
│③頁
││　巻九
│①𦣻
│├┬┬┬┐
│②②②②②
│面丏首𥄉須
│┌───┘
│├┬┬┐
│③③③③
│彡彣文髟
│　　　│
│　　※↓
├┬┐
││①后
││├┬┐
││②②②
││司卮卩
││　　├┬┬┐
││　　③③③③
││　　印色𠨍辟
│①勹─②包─③茍
①鬼
├┬┐
②②②
甶厶嵬─③山
　　　　├┐
　　　　④④
　　　　屾屵
　　　　　├┐
　　　　　⑤⑤
　　　　　广厂
　　　　　　├┬┐
　　　　　　⑥⑥⑥
　　　　　　丸危石

　　 ※↑
┌──┘
④長
├┬┐
⑤⑤⑤
勿冄而
│
⑥豕
├┬┬┬┬┬┬────⑦　⇒巻十
⑦⑦⑦⑦⑦⑦⑦
㣇彑豚豸𤉡易象
　　　　　