■■■ 「說文解字」 卷十三を眺める[3]  ■■■
「古事記」登場の𧏛貝比賣には、見慣れない漢字が使われているが、これは倭製文字の可能性がある。(言うまでもないが、超希少文字の誤記はありえまい。)
  [「說文解字」収載]"𧊧"[≒蛤]:  蛤貝比賣
  [「說文解字」非収載]"𧏛":  𧏛貝比賣

字義は赤貝とされるが、他書の用例は皆無なので確実とは言いかねる。
常識で考えれば、普通に"蚶≒𫋉"を使えばよいのであり、わざわざ漢籍に見当たらない文字を使う必要などなさそうだから。
(「康熙字典」申集中 虫部十@NDL#29/40pp48-52には見つからない。但し、頁1094第27所収ともされていたりする記載もみかける。)

なかなかの難題。

𧏛の字体は[討+虫]であり、虫部所属として収載すると"討"は部首"言"扱いになってしまう。それもアリだが。
  討+⺫=罸
  討+亻=傠
しかし、だからといって、「說文解字」 は部首収載を嫌って𧏛を外したと見るには難あり。およそ、漢籍に登場したことがなかったのははっきりしているからだ。

ただ、素人からすれば、そんな文字があってもおかしくないという気分になる。
  
📖倭の海人の医療は独自か@"「古事記」解釈"
浜栗 赤貝への海人信仰は古くからある。死者を送り出す際の岐佐理とは、筋状貝殻による掻きだし用具を意味していそうで、この貝名の名残りの様に思える。尚、沿海部には、巨大で恐ろしい威力を持つこうした貝の登場譚が残っていることが知られている。
  

糸素絲率虫䖵蟲風它龜黽卵二土垚堇里田畕黃男力 

│ 巻十二

├┬┐
⑫⑫⑫
弓甾曲
├┐
⑬⑬
弜弦
┌┘

│ 巻十三

├┬┐
②②②
素絲率
┌─┘

├┬┬┐
④④④④
䖵蟲風它
┌──┘
├┐
⑤⑤
龜黽



-----

  巻一

│   巻十三

├─────── ⇒巻十四

├┬┬───── ⇒巻十四
③③③
垚堇里
┌─┘

├┬┐
⑤⑤⑤
畕黃男
     

 (C) 2024 RandDManagement.com  →HOME